スガ旅

夫婦で世界の大自然を歩いた旅の記録

私たちのJMT(ジョンミューアトレイル)⑦

13日目(DAY127)

Bear Creek-Selden Pass-Piute Canyon Trail Junction(13.4マイル/21.6km)

目覚ましをかけて寝ていたのは最初の2日間くらいで、それ以来ずっと自然に目を覚ました時間に起きています。

今朝は7時前に起床。朝ごはんにお湯で作るマッシュポテトを一袋、夫と分け合って食べ、8時半に出発です。

今日はセルデンパス(標高3,321m)を越え、ミューアトレイルランチ(MTR)の先まで行く予定。
MTRはJMTのルートからそんなに遠くなく人気のリサプライポイントとなっておりますが、ストアはないため、基本的にはあらかじめ荷物を送った人が立ち寄る場所です。宿もありますが、現在1泊のみは受け付けておらず、2泊か3泊の客のみ受け付けている様子。私たちは荷物を送っていないため、MTRはスルーしてその先まで行く予定です。

本来であれば13日目の今日はMTRあたりからスタートの予定なので、少しずつ距離を取り戻したい…!

セルデンパスまでの道のりは思いのほかなだらかな登りでしたが、朝ごはんのマッシュポテトが足りなかったのか1時間もするとバテバテの私。休憩のたびに何かを口に入れて凌ぎました。

セルデンパス手前のマリーレイクがあまりに綺麗だったため、ここでも休憩。窪んでいる場所がセルデンデンパス。思ったより低くて嬉しい。

セルデンパスを越えると、すぐにハートレイクが見えて来ます。とりあえずハートレイクまで降りて休憩することに。

VVRで買ったピーナッツバタークラッカーに、トゥオルムメドウでアンソニーからもらったピーナッツバターを塗ってお昼ご飯。


終わって欲しくないくらい美味しかった…。

休憩していると、ヨシュアとクリスティーナが通りました。今日はどこに泊まるの?と聞くと、「MTRの奥の温泉があるところでキャンプするよ!」とのこと。確かにMTRの裏の方に温泉が湧いているポイントがあるという情報はキャッチしていましたが、水たまりのような温泉だとか…。
「MTRにはフリーフードがあるから、もし食糧必要だったら漁りに行こうぜ!」と言っていたけど、私たちはVVRで一応補給済みなので、寄り道はせず前に進むことに。

ここから一気に2.3時間くらい下ったところにMTRとの分岐があります。


分岐の標高は2,547m。

お腹も空いていてMTRのフリーフードが頭の中で手を振っていたけれど、私たちは前に進まないと!と夫と二人MTRの誘惑を我慢し、キングスキャニオン方面へ進みます。

お昼にピーナッツバターを食べてから、ずっとピーナッツバターの事を考えながら歩いていました。
ピーナッツバターをたっぷり塗ったパンが食べたい。オニオンバレーに下りたら絶対にピーナッツバターとパンを買おう。この先の旅でもピーナッツバターは常に持ち歩こう、と。

喉の渇き、止まらない汗、汗が乾いて塩だらけになったTシャツとキャップ、カサカサに乾燥して白くなった唇。
シエラの灼熱の太陽が私たちを苦しめます。とにかく水がある場所まで行かなくては…。

立派な橋が架かった川に辿り着き、水分補給。ここからはキングスキャニオン国立公園に入ります。

実感が湧きませんが、ついにJMTも半分を歩き切ったのです。

この辺でキャンプ地を探そうと、橋を渡って少し行くと、川沿いにファイヤーピットを発見!

もう歩き疲れたしここでキャンプしよう、とテキパキと設営。

あれ、なんかいつもと違う…
蚊がいない…?

川沿いにもかかわらず、蚊がいないことに気がつきました。何ということでしょう。日頃のストレスの90パーセントを占める蚊問題が、突然消えたのです。

すぐにバケツで川の水を汲み、手ぬぐいを濡らして身体を拭いたり頭を拭いたりし、今日汗だくになった服も水洗い。タンクトップでいても蚊に刺されない…!


妖怪あずき洗いかと思ったら夫だった。

とても快適に仕事を済ませ、夕飯の準備。

今日はVVRで購入したフリーズドライフードと、しじみワカメスープ。味も美味しくて大満足!(多分何を食べても美味しい)

ここからは食糧は減る一方、軽くなるのは嬉しいけれど、食べ過ぎて後々飢えないように気をつけないと…。

野菜不足解消のため、食後に二人で青汁を飲んで就寝。明日は当初の行程を取り戻せるかな。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):25.8km


14日目(DAY128)

Piute Canyon Trail Junction-Evolution Lake(13.4マイル/21.6km)

朝6時半に起床。今日も食糧は無事でした。

朝からラーメンを食べて今日の長丁場に備えます。
昨日25kmも歩いてくたくただったのに、寝て起きるとまた歩けるのが不思議。私の行動食はあとわずか、オニオンバレーまでは確実に持たないので、朝ごはんのラーメンパワーに期待。

8時半に出発。今日は出発前にアミノ酸の粉を飲んでみました。

今日エボリューションレイク(標高3,314m)まで行ければ完全に行程を取り戻したことになるけれど、無理はせず行けるところまで行こうと思います。

サンホアキン・リバーの渓谷沿いをずっと歩きます。こんな崖っぷちにも馬の糞が落ちていて、馬がここを歩いている姿を想像すると、絵になるなあと思いました。

キングスキャニオン国立公園は、今までとは違った雰囲気。

正午、ちょうど川沿いにいいスポットを見つけたのでお昼休憩。私はお腹が空きすぎて、チーズ1本、サラミ1本、コーンのスナックを食べてしまいました。この後も長いのに止まらない食欲…

この休憩の後、すぐに渡渉ポイントにぶつかりました。浅そうに見えて中央は割と深く流れも強かった…。トレッキングポールは必須だなと感じました。

午後2時半、昨日のキャンプ予定地だったエボリューションメドウに差し掛かりました。日本で予定を組み立てた時はそこがどんな場所だかあまり想像もしていませんでしたが、「メドウ=蚊が多い」ことが多いので、ここに宿泊せずに正解でした。


蚊は多いけど美しい風景。

3時を過ぎてから、暑さと空腹でバテバテに。全然力が出ない…。夫は私より食べていないのにさくさく歩いて、すこし先で私が来るのを待っています。

エボリューションレイクまではまだ登りが続くので、今日の私の状態では無理と判断。エボリューションレイク手前2キロ地点まで登り、キャンプすることにしました。

汗をたくさんかいて髪の毛がベタベタだったので、バケツに川の水を入れてゆすいでもらいました。心なしかさっぱりしたけど、ベタベタはやはり変わらず。

午後6時半、フリーズドライフードを二人で分けて食べ、食後にカモミールティーを飲みました。


VVRのハイカーボックスからゲットしたフリーズドライフード。美味しかった…!

あと6日、飢えとの戦いが始まったと同時に、食べたいものばかりが頭に浮かんできた1日でした。

オニオンバレーに降りたらすぐにコーラとポテチを買おう。ピーナッツバターと食パンも買おう。JMTが終わったらFRIDAY'sのポークリブが食べたい。などなど。

夫はダイエットになるかもとポジティブに考えていて羨ましい…。夕飯を食べ終わったそばから明日の朝食を楽しみにしている私でした。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):21.9km

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私たちのJMT(ジョンミューアトレイル)⑥

11日目(DAY125)

Upper Vermillion-VVR-Mono Creek(1.1マイル/1.7km)

朝9時45分発のフェリーでバーミリオンバレーリゾート(VVR)に行くので、7時過ぎに起床。
標高が1,000m近く下がったせいか、凍えずに朝までぐっすり眠れました。

朝ごはんのオートミールを食べていると、続々とハイカーたちがやって来ました。みんなVVRに行くハイカーたちです。

キャンプしていた場所から150mほど行った所にフェリー乗り場があるので、9時にはみんなそちらに移動(早い…!)。

30分ほどぼーっとして待っていると、フェリーがやって来ました。生き返ったようにキラキラした表情のハイカーたちが続々と船から降りてきて、飢えた獣のような私たちを見て「Enjoy!!」とさわやかに去って行きました。

12人で船に乗り、9時45分きっかりにいざ出港!昨日声をかけてくれたご夫婦が船長に、「この子たち、昨日あと2分早ければってところで船に乗り遅れたのよ!」と紹介してくれ、みんなから「Oh...それは残念だったね…」と慰められました。

20分程でVVRに到着。到着後、ウェンディというハイカーヘルパーが施設の説明をしてくれました。
ウェンディは軍隊上がりみたいなリーダーっぷりで、これからまさにブートキャンプが始まりそうな勢いでした。

「PCTハイカー・JMTハイカーは1泊目のキャンプは無料。水は濾過しなくても飲める綺麗な水よ!
ランドリーとシャワーはそれぞれ7ドルずつ。受付でトレイルネームかリアルネームを登録して、スルーハイカーは1本無料のビールかジュースをゲットして!バッテリーやケータイの充電はそこの電源を使って!」


"Next beer 163.4mi."の案内が。

何てハイカーフレンドリーな施設!
早速夫と飲み物を選び、私はポテチとコーラ、夫はビールを手に受付をしました。今日中にトレイルに戻らなくてはならないけど、シャワーとランドリーを使いたいと言うと、洗濯洗剤とバスタオル、シャワー用のトークンをくれました。お会計は基本的にチェックアウト時に一括なので、フェリー代やショップでの買い物、カフェでの食事も後でまとめて一括払いです。

夫が、「今日、ゼロデイ(歩かない日)にしてもいいかもな〜」とぽつりと言ったので、私もその気に。キャンプ場も無料だし泊まって行きたい!


シャワー用のトークンと洗剤。シャワーは8分。

そこに同じくJMTハイカーのスコットが話しかけてきました。スコットは昨日、私たちがフェリー乗り場に向かって走っているのを目撃して、「急げ!」と声をかけてくれた人。彼は昨日早々にフェリーを諦め、今朝一緒の便でここに来ました。

去年もここに宿泊したらしく、本当に素晴らしかったからまた来たんだ、と言っていました。夜はハイカーは無料のBBQもあるとか。
ベアクリークトレイルという別のルートがとてもいいので、そちらを通ってJMTに戻るよ、と言っていました。私たちがフィッシュクリークトレイルでプチ遭難した事を話すと、絶対に行かない!と言っていました。
「JMTに来たきっかけは?」と聞かれ、映画「Wild(原題)」(邦題「わたしに会うまでの1600キロ」)を観たんだ、と話すと、「じゃあ君もお母さんを亡くしてドラッグ漬けだったんだね」とジョークを飛ばされました。いやいや、私の人生は至ってノーマルだけど、この映画のおかげでアメリカにロングトレイルがあることを知ったんだ!と伝えました。

スコットはショーンコネリー似の素敵なおじさまで、映画に出てますよね?と言ったら笑っていました。

いい出会いもありますます泊まりたくなってきたけれど、今後の行程も不安。夫と相談し、昨日の下山くらいのスピードが出せるなら泊まってもいいよ、と言われ、諦めることに。絶対にもう走れない…。

という訳で、せめて歩いてJMTに戻ることはなしにして、午後のフェリーでトレイルに戻ることにしました。

帰りのフェリーの時刻までに全ての準備を完了すべく、シャワーを浴びて洗濯を回している間にランチを食べ、乾燥機を回します。

ランチに食べたハンバーガーがものすごいボリュームで、1/4だけ残してしまいました…。残した分をベアキャニスターにどうにか入れられないか考えましたが、諦めました。

食糧のチェック中、ストアの前にハイカーボックスを発見。ハイカーボックスとは、食糧や日用品をリサプライしたけれど、ベアキャニスターに入りきらなかったり持ちきれなかった場合にこの中に入れ、他のハイカーに譲りますというありがたいボックス。中を見てみると新品のフリーズドライフードが3袋も!
味にはずれなしのマウンテンハウスのフリーズドライは一袋10ドル〜15ドルほどするので、40ドルほど節約出来ました。

他にもハイカーのみなさんが自作したであろう食べ物がジップロックに入った状態でたくさん入っていましたが、何なのかわからなかったため市販の袋に入っているものだけ頂戴しました。

ここから10日間は無補給になるので、ショップでガスを1缶とフリーズドライ食をもう3食、あと目に入ったミニドーナツと一回分のココアを一袋買いました。

今朝一緒のフェリーに乗ったみんなはここにステイするらしく、ここを行程に組み込まなかった自分を激しく責めました…。あと1日余分に行程を組んでたら本当に泊まりたかった。素晴らしい施設。

後ろ髪を引かれながら、VVRを後にします。さようなら、VVR。私に元気をくれてありがとう、VVR。

昼に食べたハンバーガーがもたれて、軽く吐きそうになりながら乗船。太田胃散を飲んだけど一向に効かず…。

元のフェリー乗り場に近づくと、これからVVRに向かうハイカーたちがたくさん待っていました。みんな今日泊まれるんだね、最高だね、羨ましい。

フェリーを降りると、待っていたハイカーたちが皆「Happy trails!!」と声をかけてくれました。
私も今朝乗船する時に言われたように「Enjoy!」と返します。

さあ、気持ちを切り替えていかないと。ここから元のトレイルに戻ります。が、ザックが重いのと吐きそうなので全然力が出ない。力を出すためにでっかいハンバーガーを食べたのに、今にも吐きそう。

夫が呆れ顔でこちらを見ていて、本当に申し訳なく情けない、けど本当に吐きそう。

本当はJMTの行程を少しでも進める予定だったけれど、冷や汗が止まらず胃液が出続けている私を見かねて、JMTとの合流ポイントでキャンプすることに。

合流ポイントから橋を渡ったところにとても感じの良いキャンプ地があり、そこにテントを張りました。

夕飯はいらないくらいお腹がいっぱいだったので、夫常備のカモミールティーを飲んでお腹を休ませました。
元気な夫はその間釣りに出かけていました。

明日からは10日後のオニオンバレーまで完全にリサプライ無しなので、気を引き締めていかないと!
10日後のシャワーがすでに楽しみで、私は文明の中でないと生きられないな、と再確認しました。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):5.2km


12日目(DAY126)

Mono Creek-Bear Creek(8.9マイル/14.3km)

朝6時過ぎに起床。今日から10日かけて、少しずつ行程を取り戻さなくては…。

朝ごはんのオートミールを食べて、8時にキャンプサイトを出発。

本来ならばセルデンパスを越えた先のミューアトレイルランチまでの予定ですが、今日は初っ端から登りがきついため、セルデンパス手前のベアクリークで1泊する予定。

出発してすぐに、きついスイッチバックが始まります。まだ気温も低いため、暑さはマシ。
午前10時、まだ同じようなスイッチバックを登っています。永遠に続くんじゃないかと思うようなダラダラした登りで、頭がおかしくなりそうになりました。

日本での登山ならば縦走と言っても2泊3日くらいしかしたことがなく、二つの山を登って降りて温泉に入って美味しいご飯を食べて…ですが、今この山を越えてもさらに高い峠を越えるためにまた下って…の繰り返し。風呂にも入れずご飯も食事というよりはカロリー摂取と言った方がいいようなもの。
毎日蚊とハエと戦って、身体中刺されてかゆいし、重いザックで肩や背中はアザだらけ。
トイレのためにスコップで穴を掘っているだけで蚊に刺されまくるし、食事も排泄もゆっくりなんてできない。
何で私、スルーハイクしようって言ったのかな…。

2015年、仕事帰りに日比谷シャンテで見た映画でPCT(パシフィック・クレスト・トレイル)を知り、アメリカにはこんなに長いトレイルがあるのか…!とものすごく興奮して色々と調べたところ、PCTの他に東海岸にあるアパラチアン・トレイル、そしてPCTの一部となる西海岸のJMTがある事を知りました。

youtu.be


世界旅行に出かけるならば、ぜひ歩いてみたいと思い夫に相談。夫は、セクションハイクでいいんじゃないの?と言っていましたが、何度も来れる場所じゃないし、セクションハイクは休みが取れなくてスルーハイクを渋々諦めてするものだと思っていたので、絶対にスルーハイクと決め込んでいました。

これが1週間とかだったら、こんなに苦労することなかったんじゃないか、とネガティブな気持ちが溢れ出てきました。

そんな私とは裏腹に、すれ違うハイカーはみんな生き生きとした表情で「今日も素晴らしい日だね!Happy trails!」と明るく声をかけてきます。みんな辛くないのかな…

言い出しっぺの私よりもむしろ夫の方が覚悟が決まっていて、「3週間風呂に入れない覚悟で来てるから、臭さとか不快感とかどうでもいい」と、めちゃくちゃ男気溢れています。

今日で12日目。トータル24日間の予定だから、ちょうど半分。嬉しかったり悲しかったり、怖かったり辛かったり、毎日歩いてご飯食べて寝ているだけなのに、気持ちのアップダウンも激しい。

正午過ぎ、やっと登り終えたのか、フラットな道に入りました。昨日夫が少し話したというサンフランシスコからのカップルと再会し、全く同じ行程で進んでいることを知りました。

ヨシュアとクリスティーナ。とてもいい人たちで、「毎日台湾のティーセレモニーをしてるから、今度一緒にしようね」と言われました。
それ以来、私たちの食後のお茶の時間もティーセレモニーと言うようになりました。

この後の休憩中に、私のザックにかけてあったフリースが消えていることに気がつきました。いつもよりラフにくくりつけていたせいか、途中の木の枝か藪かにひっかけて来たのでしょうか…。
夫がすぐに探しに行ってくれましたが(優しい)、しばらく戻ってみたけど無かったとのこと。だいぶ手前で落としたみたい。長年連れ添ったマウンテンハードウェアのセール品のフリースとここで別れることになるとは…。それよりも、"Leave No Trace(痕跡を残さない)"の精神を大事にしているトレイル上に物を落としてしまったことが一番申し訳ない。ごめんなさい…!

今日のキャンプ地の手前にベアクリークの渡渉ポイントがあり、流れも激しいし一人で渡るのは危険と聞いていましたが、私たちが通るときには水かさは膝上くらい、流れはたしかに強いけれど、危険はありませんでした。

無事に渡渉を終え、ファイヤーサークルのあるキャンプ地を見つけて設営。

まだ4時前だったので、川で汲んだ水で手ぬぐいを濡らし、身体を拭き、汗を吸った服もゆすいで干しました。少しはさっぱりしました。夫は今日も釣りを楽しんでいました。

5時頃に米を炊いてフリーズドライのビーフシチューと一緒に食べました。

常にお腹が空いている私を心配してか、夫が「もっとご飯食べる?スープもいる?」と自分の分を分けてくれたのが本当に嬉しかった。夫よりたくさん食べるのにすぐにバテて申し訳ない。

今日はいつも以上に蚊が多く、早々にテントに入りました。明日はセルデンパス越え。JMTのハーフポイントまで行けるといいな。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):16.2km


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私たちのJMT(ジョンミューアトレイル)⑤

9日目(DAY123)

Deer Creek-Fish Creek(12.9マイル/20.8km)

ディアクリークにてキャンプした私たちは、朝8時出発の予定が寒すぎて寝袋から出られず、7時頃やっとテントから出てラーメンを食べ、9時に出発。

昨晩はかなり冷え込み夫も私も夜中の3時に凍えて目が覚めてしまい、あまりよく眠れませんでした。標高3000m付近でのキャンプなので当たり前ですが、日本と違って3000mを越えても木が生えているので油断していました。

今日は本来なら7.4マイル(12km)先のパープルレイクで行程を組んでいましたが、今後のリサプライなど色々考慮して、その先のフィッシュクリークまで進むことにしました。

パープルレイクまではダックトレイルパス(標高3,089m)という峠を越えるため、ディアクリークからずっと登りが続きます。汗をかかないようゆっくりゆっくり登り、景色を眺めては写真を撮り、のんびりと進みました。


夫とはペースが違いすぎるので、基本1人。

途中、初めてパックトレインに遭遇!馬が荷物を運んでくれるのですが、かなり高価なようです。

どんどん上に登って行きました。私も乗せていってほしい。

最後の登りが終わると、湖が見えてきました。14時過ぎ、パープルレイクに到着です。

ここで大休憩を取ろうと決めていたので、ザックを降ろしてお湯を沸かし、コーヒーとミニケーキで一息入れました。


リスの兄弟?かわいかった。

先ほど私たちを追い越したパックトレインが戻ってきました。と思ったら、お兄さんが「オレンジ食べる?」と聞いてきました。

食べる!と夫が即答。ちょっとこれ持ってて、と手綱を渡されて嬉しそうな夫。

立派なオレンジを4つも頂きました。山でフルーツが食べられるなんて贅沢…!

この後、正規のJMTルートだとここからさらにバージニアレイクまで登り、一気にフィッシュクリークまで下るルートなのですが、休憩していた場所に、バージニアレイクと反対方向の道にフィッシュクリークと書いてある道しるべが。

地図を見てみると、フィッシュクリークトレイルというものがあり、バージニアレイクを通らずにフィッシュクリークまで川沿いに歩くルートでした。

夫も釣竿を振りたいし、サイドトリップみたいでいいかもね、とJMT正規ルートから外れてみることにしました。

プチ遭難

パープルレイクからずっと下りが続き、あまりハイカーが通らないのか地面が踏み固まっておらず砂埃が舞う…!馬の糞は落ちているので、パックトレインが通る道なんだな、と安心して下りました。

下りきると、川沿いに出ます。右に行くとレッズメドウ方面、左に行くとJMTとフィッシュクリークの合流地点。私たちはもちろん左に進みました。

川沿いは川沿いだったのですが、川からは距離があり、あまり人が入っていない雰囲気。止まる度に蚊に囲まれるので、急ぎ足で進みました。

午後5時を過ぎて、目の前に川が出てきました。橋もないし、そのまま進もうとする夫を止め、一旦地図とGPSで現在地を確認することに。

蚊のせいで見落としていたのか、どうやら道を外れているようでした。ここで川を渡るルートもマップには載っていないので、とりあえずGPSを見ながらトレイルに戻ることに。

しかし、GPSではトレイル上にいるはずなのに、一向に道も踏み跡も見えない…。GPSを信じて進むか、先に進むのを諦めてJMTに戻るか悩んでいましたが、とりあえず道が出てくるかもしれないからとGPSを頼りに藪の中を歩き続けました。
私はすでにロストした事に焦り、半泣き状態。

するとかなり流れの激しい川にぶつかり、ここがおそらく昔のルートで、GPSのマップが更新されていないことに気がつきました。

元来た道まで引き返し、最初にぶつかった川の先に踏み跡があるかどうか、夫が渡渉して調べに行ってくれました。
川の向こうから、大きく丸サインをする夫。
良かった…!道がある…!

ここも流れが割と早かったので、戻ってきた夫と手を繋いで慎重に渡渉。渡った先に道がありましたが、やはりあまり人が入っていない様子。

トレッキングポールをカンカンと定期的に鳴らし、熊と鉢合わせないように祈りながら進みました。明らかに馬の糞ではない糞や、大きな獣の足跡もありました。

ひたすら登り続け、20時前にふらふらになりながらもJMTルートに合流。夫と抱き合って喜びました。すぐ横にキャンプサイトがあったので、テントを張ってお湯を沸かし、コーヒーを飲んで落ち着きました。

バージニアレイクを通っていればこんな事にはならなかったはずだけど、本当に戻って来れて良かった…。釣りどころではない、恐怖のフィッシュクリークトレイルでした。もうルートを外れる事はないでしょう。

昼間に馬のお兄さんからもらったオレンジを夫と2個ずつ食べ、ありがたいね、美味しいね、と言いながら二人で泣きそうになりました。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):22.8km


10日目(DAY124)

Fish Creek-Silver Pass-Upper Vermillion(12.9マイル/20.8km)

今日はバーミリオンバレーリゾート(VVR)というリサプライポイントまで約13マイルの行程。トーマスエジソンレイクの右端からフェリーが出ているので、それに乗らなくてはなりません。(フェリーを使わず歩くとさらに+8km)

VVRにはキャンプ場もあり、スルーハイカーは無料で宿泊可能。さらにビール1本無料というサービスもあります。シャワーやランドリーもあり、昨日の遭難事件を癒してくれそう。

フェリーは午後の便は16時半頃らしいので、それまでに辿り着けるかが勝負です。

今日はリサプライ出来るからと、朝からフリーズドライフードを食べ、9時半に出発。

出発からすぐに登り始め、シルバーパス(標高3,277m)越えが始まります。

雄大な岩山がそびえ立ち、どれがシルバーパスなんだとドキドキします。

どんどん高度を上げて行き、3200mくらいまで上がりました。毎日高地にいるせいか、高山病の症状はありません。

登りつめて空しか見えなくなって来たところで、降りてくるハイカーに魔法の言葉「Almost there!」を頂きました。

いよいよ越えられるのか…!と喜びながら登ってみると、美しい湖を眺めながらのフラットな道に入りました。

シエラネバダの山々は峠付近に湖が多く、殺伐とした岩山の目の前にのどかで平和な風景が広がります。

このまま下りに突入すると思いきや、シルバーパスをまだ越えていませんでした。


あの雪渓の上がシルバーパス…!

一度休憩し、エネルギーを補給してから雪渓越えに挑みます。

予想に反して15分ほどで峠越え完了。踏み跡もしっかりついており、短い雪渓でした。

12時半、ここから10キロ以上の下りです。標高は2,415mまで下がる予定。

あと4時間で間に合うかどうか心配ですが、いつもよりも足早に下り始めました。

リサプライの心配をしていない夫は、いつもよりもゆっくりしていて珍しく私が先に降りていきます。

確かにゆっくりと景色を眺めながらおりたいところですが、このリサプライを逃すと10日後まで食料補給が出来ず、飢えと戦う事になる…
夫の頭の中では今の食糧で10日は持つだろうと思っているらしく、私の頭の中では6日分くらいしかない食糧に不安を感じていました。

急ぐ私に対して不機嫌な夫と気持ちが噛み合わぬまま、とにかく下り続けました。

夫の電波が入ったのでフェリーの時刻を調べてもらうと、16:45の便。ここから1.5キロ先のフェリー乗り場まであと15分しかない…!

今までの亀の歩みはなんだったんだというくらい、重いザックを背負ったまま小走りでフェリー乗り場に向かうも、5分前にすでに出港してしまっていました…。

あまりに落胆して膝から崩れ落ちていた私に、そこにテントを張っていたご夫婦が話しかけてきました。

「フェリーを逃して本当に残念ね、食糧はある?晩御飯でも朝食でも、私たちに言ってくれたら分けてあげるわよ!」

優しい…でも今日の食糧はあるんです!ありがとう!と断り、今後の行程を考え直す事に。

食糧を出してみると、やはり10日は持たない状態だったので、VVRには明日の朝の船で行き、リサプライしてから歩いてJMTに戻ることにしました。


船が1日2便ってどういうことだ!

歩いて戻るルートが昨日のような藪漕ぎの道じゃないことを祈り、今日はここにテントを張ることにしました。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):17.8km

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