スガ旅

夫婦で世界の大自然を歩いた旅の記録

私たちのJMT(ジョンミューアトレイル)⑪

21日目(DAY135)

Onion Valley Trailhead-Kearsarge Pass-Bullfrog Trail-Forester Pass 手前(11マイル/18km)

なぜかほぼ眠れなかったけれど6時過ぎに起床。もったいないので朝再度ホットシャワーを浴び、狂ったように頭をたくさん洗いました。

7時から朝食のはずが、朝食会場がわからないので誰か来るまで外のテラスでココアを飲んで待ちました。
昨日一緒のシャトルだったドイツ人の彼も、場所がわからないので一緒に待機。

さらにアメリカ人の若い夫婦もコテージから出てきて「朝食会場どこ?」と聞いてきたので、わからないからとりあえずここで待ってると伝えると、「この前吊り橋のキャンプサイトで会ったよね!」と言われ、軽く挨拶をしたことを思い出しました。

昨日シャトルバスの時間を教えてくれたおじさんも部屋から出てきて朝食会場を探していると、「Dinning Room」と小さく書かれた部屋を発見!

開けてみると、宿のお母さんがキッチンにいて、「好きな席に座って!」と朝食準備が整っていました。アメリカ人夫婦の部屋が分からなかったので、外で「Breakfast!」と叫んでみたものの、出てこない。ドイツ人の彼がお母さんに「みんな朝食会場がわからないみたいだよ」と伝えてくれて、お母さんがみんなを呼びに行き、無事みんな朝食にありつけました。

朝食は一つのテーブルを囲んでみんなで頂くスタイルで、ベーグル、卵、ベーコン、フルーツ、オレンジジュース、コーヒーと盛りだくさん!
ベーグルをトースターで焼き、バターをたっぷり塗ってジャムも乗せて食べている間にお母さんが卵を焼いてくれました。ああ、幸せってこの事だ…。

朝食での話題はヒッチハイク。
昨日シャトルにいなかったおじさんもアメリカ人夫婦もヒッチハイクで降りて来たようで、オニオンバレーでのヒッチハイクはそんなに難しくないようでした。

お腹いっぱい朝食を食べ、5分で出発準備。慌てすぎて食器洗い用のスポンジをキッチンに忘れました。

ベアバレルに入りきらなかった物資を寄付して、急いで待機しているシャトルに乗り込みます。

心身ともに本当に癒されたマウントウィリアムソンモーテル。心の底からありがとう!

オニオンバレーのトレイルヘッドに向かいながら、またあそこに登るのか…と気が重くなります。キラサージパスまで何時間で登れるかな…荷物も重くなったし、夕方くらいになっちゃうかな…。

トレイルヘッドに到着したのが午前8時半。トイレなどを済ませ、8時50分に出発。

ここから昨日鬼のように下った道を、また登り返してJMTに戻らないといけません。

ドイツ人の彼と、「本当に本当に登りたくないね。でも行かないとね…」と言いながら登り始めました。

あれ?何だろう。調子がいい。

昨日はフラットな道もやっと歩いていたのに、今日は登りもある程度のスピードでさくさく登れる。

あっという間にドイツ人の彼と距離があき、夫と二人、スイスイ登って行きました。

1時間に1回休憩を取り、ふんだんにある行動食を食べ、12時前にはキラサージパスのてっぺんに到着。なんと3時間くらいで登ってしまいました。


お口で溶けて手で溶けないm&m'sは、ザックの中で溶けました。

自分でもびっくりするほど体力が回復していて、昨日の下りよりもむしろ今日の登りの方が楽だったことに驚きました。ザックの重さも全然気にならない。昨日までは単純にガス欠だったのか…。

パスで10分くらい休憩し、ブルフロッグレイクまで一気に下りました。

午後1時過ぎ、ブルフロッグレイクに到着し、抜群の場所でランチ休憩。ついに私待望のピーナッツバターサンドを食べられます。

ガスも水もあるし、コーヒーを沸かしてパンにピーナッツバターをたくさん塗って食べました。目の前は美しい湖。幸せ…!

一緒の宿だったアメリカ人夫婦が追いつき、「いい場所ね!私たちもここでランチ休憩していい?!」と言うので、もちろん!おいでよ!と言って一緒にランチタイム。

二人はロス在住の夫婦で、ケイティとブレンデン。とてもハッピーな仲良し夫婦で、ランチにトルティーヤを作っていました。

気になったので近くでじっと見ていると、大きなサラミを1切れずつご馳走してくれました。めっちゃ美味しい…!そして物乞いみたいでごめんなさい…!

お返しに「松茸のお吸い物」をあげると、何だかすごく喜んでくれて記念撮影。

残り4日だけど、また楽しい仲間が増えました。
二人と「また後で!」と別れ、JMTのルートに戻ります。

少し行った所で女性のレンジャーが待機していて、「パーミットはある?」と初めての検問となりました。すぐにパーミットを渡すと色々とシートに書き写していたので、きちんとチェックしているんだなあと驚きました。

「日本から来たのね!素敵!もうほぼゴールじゃない!あとちょっとだけど楽しんで行ってね!」と励まされ、記念撮影。

ピーナッツバターサンドが効いているのか、いつもならバテバテの時間だけどまだまだ体力が残っているので、目的地のフォレスターパス手前のキャンプサイトを目指します。

夫が前を歩いていて、何かを発見した様子。

「あれ、オマールじゃない?」

よく見ると確かにオマールっぽい人がだいぶ前を歩いてる…!前に会った時と変わらずゆっくり自分のペースで、時折立ち止まり写真を撮りながら。

急いで近くまで降りていき、「オマール!」と声をかけると、「タロー、モモ!」と振り返るオマール。

お互い感動して抱き合って喜びました。嬉しい!オマール無事だった!

「もうすっかりゴールしてるものと思っていたよ、何でここにいるの?」と聞かれ、昨日はインデペンデンスに泊まったことを話しました。

なんとオマールはヨセミテから一度もリサプライをしておらず、全日程の食糧を担いでいたのです。すごい…!そんな人他にいるでしょうか…!

ゴール予定は私たちより1日後だけど、今日のキャンプ地は同じくらいになるかも、とのこと。

久々の再会を喜び少し立ち話した後、また後でね!と別れました。ずっと心配していたので、本当にほっとしました。

明日のフォレスターパス越えに向けて少しでも近づいておきたい私たちは、その後も抜きつ抜かれつ、みんな同じくらいのペースで歩みを進めました。


仲良く大集合して休憩。

自分たちでも体力の回復具合に本当に驚いていて、きちんとエネルギーを取る事の重要性を体感しました。(とは言え、MTRからオニオンバレーまではリサプライが出来ないので、多くの人はオニオンバレー手前で飢えと戦うことになると思う。)

ケイティたちは焚き火が好きなので、焚き火が出来る限界の標高でステイ。私たちはそこから1時間ほど登り、目的のキャンプサイトへ。

ベアロッカーもある開けた気持ちのいいサイトで、川もすぐ裏にあります。

設営後、川で顔を洗ったりしているとオマールが到着!手を振ると気がついたようで、彼もここにステイすることになりました。

夕飯のフリーズドライを食べ終わったくらいにオマールがご飯を食べにやってきて、彼がベアバレルを2個持っていることを知りました。だから全期間の食糧を運べるのかと納得。ただ、めっちゃ重そう…。

オマールはイスラエル出身。ビーガンで、ベアバレルには大量のビーガンフードが入っていました。
以前エステリーナの家で頂いたフムスやシャクシュカ、ファラフェルが美味しかったのでその話をすると、オマール特製水で溶いて作るフムスを伝授してもらいました。


見た目はあれだけどとても美味しかった!

なぜJMTスルーハイクを決めたの?と聞いてみると、LA近郊に住むオマールはヨセミテには度々ハイキングに来ていて、その際にJMTの道しるべを見て、「これは何だろう…?」と興味を持ったのがきっかけだと話しました。また、昨年はホイットニーポータルからトレイルクレストの分岐まで登ってJMTに入り、途中から違うトレイルに入ったそう。マウントホイットニーにはまだ登ったことはないけど、「今まで登ったどのパスとも勝手が違う」と言っていて、確かに最後はパス越えではなく登頂なんだ…、と思い出しました。

オマールと再会出来て本当に良かった。今日は本当にいい一日だったなあ。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):18.2km


22日目(DAY136)

Forester Pass 手前-Forester Pass-Bighorn Plateau(9.5マイル/15km)

ちょっと寝過ぎて7時前に起床。
テントを出るとオマールはもう起きていました。

朝ごはんに味噌ラーメン。一人で1人前を食べられる幸せ…!

今日は最後のパス、フォレスターパスを越える予定。
私の人生初となる標高4000m。色んな人からフォレスターパスはきつかったと聞いていたので、大ボスを攻める気持ちで出発です。

今日もさくさく進めるかと思いきや、昨日ほどの馬力は出ず…。やっぱり昨日は朝ごはんに卵とベーコンを食べたのが大きかったのでしょうか。1時間ほど歩いて休憩。

どれがフォレスターパスなのかなーと、いつも通り疑いの目で岩山を眺めながら歩きます。
丘が出てきましたがこれがパスなわけがないので、これを越えたらまた何か出てくるのでしょう。もう騙されない。

なかなか姿を現してくれないフォレスターパス。どんどん標高は上がっていき、今までのパスくらいの標高の3600mくらいまで来ました。


宿のフリーボックスからもらったピーナッツバターのクラッカー。美味しい。

かっこいい岩山がぐんぐん迫ってきます。もう少しでしょうか。


振り返ると美しく広がるシエラの風景。

ついにパスをロックオン!3700mを越え、酸素が薄くなっているのを感じます。

パス直下に来ました。降りて来たハイカーに、「トレイルは雪で隠れているからストレートアップして!」と言われました。パスに人がいるのも見えます。

息が切れないよう、焦らずにじりじり登り詰め、12時40分にパス到着!初めての4000mにテンションが上がります。

休憩しながら下を眺めていると、ケイティたちもすぐに上がってきました。二人とも無事にパスに到着し、ハイファイブ!

パスでお昼を食べようかとも思いましたが、コーヒーも入れたかったので下の水場まで降りてからランチ休憩することに。

南側の斜面はかなり急で、北側から登れて良かった…と思いながら下山。地球以外の惑星のようなこの風景も、もうあと2日で終わるのか…。

小川の近くまで降りてランチ休憩。今日もコーヒーとピーナッツバターサンドです。幸せ。

ケイティ夫妻も降りて来たので、明日の行程の情報交換をしていると、彼らはホイットニーポータルに車を置いているとのこと。明後日の下山時間が一緒だったらローンパインまで乗せてくよ!と嬉しいお言葉を頂きました。
ホイットニーポータルからローンパインまでは交通の便がないので、ヒッチハイクをする予定でした。とても助かる…!

明日はギターレイクまで行って、夜中にマウントホイットニーに登ってサンライズを見るという二人。私たちも、ギターレイクでフルの水分補給をしてマウントホイットニー直下まで行っておきたい。

なるべくギターレイクに近づけるよう、今日はもう少し歩く事にしました。

フォレスターパスからの道はため息が出るほど美しく、何度も足を止めてしまいます。ああ、本当にここまで来られて良かった。


ついにサインに「MT. WHITNEY」の文字が!感無量!

パスから5マイルほど下ったところをケイティたちはキャンプ地としていましたが、私たちはそこからさらに1時間ほど歩き、ビッグホーンプラトーという丘の上に小さな池があるとても美しい場所を発見。ここでキャンプをすることにしました。

設営をしてゆっくりしていると、オマールが前を通過。手を振ると、オマールもトレイルから離れてこちらにやってきました。
3人で景色を眺めながら、ここすごく良い場所だよね、と言うと、「ベストだね…!」と、ここを気に入ったようでテントを張っていました。


パックトレインに手を振りました。

テントからマウントホイットニーを含む山々が美しく眺められる最高の場所。タダでこんな場所でキャンプ出来るなんて本当に贅沢です。そしてインディペンデンスでのリサプライ以来なんでも幸せに感じる…!

私たちのJMT最後のパス、フォレスターパスを越えたお祝いにステーキのフリーズドライ。

向かいの池には動物たちが水を飲みに来たりして、いつまでも眺めていられる心地よい時間を過ごしました。



夫が夜撮影したシエラの星空。


  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):18km

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私たちのJMT(ジョンミューアトレイル)⑩

19日目(DAY133)

Wood Creek Trail-Glen Pass-Bullfrog Lake Trail(11.3マイル/18.2km)

朝6時過ぎに起床。寒くてなかなかテントから出られません。

朝ごはんにインスタントラーメン一人前を半分ずつ食べました。今日は長い一日になりそうで、出発準備もなかなかはかどらず…。

朝8時半に出発。今日の行程は、グレンパス(標高3,635m)を越えてキラサージパストレイルの分岐まで下る予定。明日は待ち望んでいたリサプライ日で、オニオンバレーまで下ってそこからインディペンデンスの町まで降りるのです。VVRぶりのシャワー…!そして待ちに待ったピーナッツバターとポテチとコーラ!

インディペンデンスでの宿はあらかじめ予約しており、宿泊の他にリサプライ品の保管、洗濯、トレイルヘッドへの送迎込みのフルパッケージでお願いしています。サンフランシスコから送った私たちのバケツがもう宿に届いているはずで、その中にはしばらく飲んでいないコーヒーや、クラッカー、ラーメンなんかも入れています。

トレイルヘッドへの迎えが午後3時のはずなので、それまでに私たちも下山しないといけません。当初の行程では今日はグレンパス手前のレイレイクスで宿泊予定でしたが、明日パスを越えて3時までにトレイルヘッドに着ける自信がなく、VVRのフェリーの二の舞を踏まぬよう、今日中にパスを越えることにしました。

標高差1000m以上の登りですが、ピーナッツバターが手を振って待っているような気がして頑張れます。
昨日は最下部まで降りて来られたので、今日は出発と同時に登り始めます。

急な登りとフラットな道を繰り返し、確実に高度が上がってきています。1時間ごとに休憩を取り、残しておいた1本のエナジーバーを二人で分けて食べます。

午後1時、当初のキャンプ予定地だったレイレイクスに到着。順調!ここでお昼休憩を取ることにします。


川と違って流れのない湖では水が汲みにくい。

インスタントラーメン一人前を、また二人で分けて食べました。「一杯のかけそば」みたいだね、と話しながら、やはり私が多めに食べてしまいました。

午後2時、パスに向けて出発です!

一時間ほど急な登りを登っていたら、夫が上で手を振っていました。もう着いたのか!ピンチョパスと同じく意外に簡単だった!と思っていたら、「あそこパスっぽいね」と。

あそこ…?

えっバカじゃないの?

でも確かにてっぺんに人が歩いてるのが見える…。

文句を言っててもオニオンバレーはこっちに来てくれないので、渋々登り始めます。

風も強く、横は切れ落ちていて普通に怖い。おまけに雪もある。

くそっアメリカではこれをハイキングと呼ぶのか…。何かに負けそうになりながらも必死で登ります。向こう側にはピーナッツバターが待っている!

下も上もあまり見ないように前だけ見て登っていると、次第に目線の先にてっぺんが見えてきました。

最後は深いトレースのついた雪渓を渡り、パスに到着!

感動よりも恐怖!これがハイキングなんですか…!

20分ほど休憩し、下山開始。下りもかなり急で、左足首に激痛が走ります。左足首を守るように降りていたら、右足首もぐにゃっとやる始末。

慎重に時間をかけてゆっくり降り、キラサージパスの分岐までやってきました。ところが近くに川が見当たらず、水を確保する必要があったので、さらに0.3マイル歩いてブルフロッグレイクトレイルの分岐まで行きました。

ブルフロッグレイクトレイルまでの下り途中、若いハイカー集団とすれ違いました。一人は日本語が話せる女の子で、「去年の夏に日本にインターンに行きました!」と快活に話していました。彼らはJMTではなく湖を巡るループというトレイルに挑戦しているそう。色んなトレイルがあって面白いなあ。

すでに何張かテントが張ってあり、一番人気のなさそうな川のすぐ側に設営。蚊がすごいけど、明日のことを考えたらどうだっていい。

「Are you Japanese?」

急に声をかけられたと思ったら、日本人男性でした。
JMTをノースバウンド(北向き)に歩いていて、今日で4日目とのこと。
VVRはどうだったとか、マンモスレイクはどうだったとか情報交換して別れました。

私たちはサウスバウンド(南向き)なので、標高をだんだんと上げていき高山病対策にもなっていると思いますが、ノースバウンドの人のスタート地点はマウント・ホイットニー。スタート地点が4000m越えです。タフなんだなあ、と思いました。また、南に行くほどパス越えがハードになってきたので、ノースバウンドの人は後半は楽だろうなあとも思いました。

とは言え、私たちの残りのパス越えはあと1つ。そのあとは最終ゴールのマウント・ホイットニー。

よくここまで頑張ったなあと感動。とりあえず、明日は久々に自分を甘やかしてあげたいと思います。

夕飯には「スリーシスターズシチュー」というフリーズドライ食を食べました。私の実家である雑貨屋のロゴにもなっている「スリーシスターズマウンテン」にちなんだ料理かと思いましたが、ネイティブ・アメリカンの伝統的な料理だそう。コーンや野菜、フルーツが入ったスープで栄養満点でした。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):19.1km


20日目(DAY134)

Bullfrog Lake Trail-Kearsarge Pass-Onion Valley Trailhead(6.3マイル/10km)

今日は待ちに待ったリサプライ日。嬉しすぎて全然眠れませんでした。朝6時過ぎにテントを出て、マッシュポテトを夫と仲良く半分こ。

出発準備もサクサク進み、8時には出発。

ブルフロッグレイクを通過します。カエルの鳴き声を聞き、そうか、ブルフロッグってウシガエルのことか…と納得。


小さいけれど美しい湖。

今日はオニオンバレーへ下るだけだ〜と思っていたら、なぜか登りが続く…。


警戒心ゼロの雷鳥の親子。

1時間ほど歩くと、恐怖のパスが立ちはだかりました。えっ今日パス越えあるの…?

予想外の展開にテンションが下がりましたが、これを越えなくては食糧にありつけない。もうこうなったら何だって登ってやる。
確かに「キラサージパストレイル」と、トレイル名の中にしっかりと「パス」の文字が入っているのに完全に見落としていました。昨日のうちにグレンパスを越えておいて本当に良かった…!
ただ、今日パスがあるということは、同じ道でここに戻って来るため明日もパスがあるということ。辛すぎる…。

貧血気味なのかエナジー不足なのか、少しフラフラでしたがゆっくりしっかり登ります。

小一時間ほどでキラサージパス(標高3,569m)到達。先にいたおじさんが写真を撮ってくれました。彼もリサプライのため、オニオンバレーへ下るとのこと。

ここから地獄の下りが始まります。急な斜面を下れば下るほど、明日ここをまた登ってパス越えするのか…と泣きたくなりました。
回避したいけど出来ない。明日のことは明日考えよう。


道路が見えた!

ちょうどお昼頃、オニオンバレートレイルヘッドの駐車場に到着。お迎えが3時だったか記憶があいまいだったので、調べようとするも圏外。さっき山の上の方では一瞬電波が入ったのに…!

しかたなく、荷物を夫に預けて空身で電波の入る場所まで登り返すことに。

途中すれ違ったカップルに、「何か落し物でもしたの?」と聞かれ、宿のシャトルが来るはずなんだけど電波が入らなくて調べられないから、電波のあるところまで戻るんだと言うと、「後からくる男性もシャトルに乗るって言ってたから聞いてみたら?」と。彼らにお礼を言って別れ、すぐ後から来た男性はパスで写真を撮ってくれたあのおじさんでした。

今日どこに泊まるの?と聞くと、私たちと同じモーテル!シャトルの時間が分からないことを伝えると、「3時ピックアップだよ、ヒッチハイクした方が早そうだな…」と言っていました。おじさんにお礼を言ってトレイルヘッドまで一緒に降りて、「また3時にね!」と別れました。

まだ2時間あまりあったので、水を確保すべく川へ。川でゆっくりしようと思ったものの日差しが半端じゃなく、水を汲んで日陰のある場所まで移動しました。

暇なので最後のフリーズドライを昼ごはんにして食べ、スマホのパズルゲームをして時間を潰しました。


夫はその間も釣り。

3時少し前、駐車場の一番目立つ所に移動すると、同じくマウントウィリアムソンモーテルに行くという人たちが5,6人集まっていました。
ノースバウンドで進んでいるというお母さんに、「ミューアパスの雪はどうだった?クランポンは必要?」と聞かれ、クランポンは必要ないけど、ミューアパスよりマザーパスに気をつけて!と助言しました。

シャトルの時刻を教えてくれたおじさんの姿は見えないままシャトルが到着。シャトルと言っても車内はお菓子の空箱など散らばっている汚い車でしたが、宿まで送ってくれるのは本当にありがたい…!

ノースバウンドでJMTに入っているドイツ人のソロハイカーと同じ車に乗り込み、彼は南のパスの状況を、私たちは北のパスの状況を提供し合いました。
遠くにインデペンデンスの町が見え、Googleマップで見ても小さいのは分かっていましたが、町の周りが限りなく砂漠!本当に何もありません。
町の北側はネイティブ・アメリカン居留地となっていることをドライバーのおじさんが教えてくれました。

モーテルに到着。チェックインをすると、真っ先にウェルカムドリンクを頂きました。夫はビール、私はアイスティー。

その後、すでに部屋に私が送ったリサプライバケツが置いてあること、部屋に置いてあるバスケットに洗濯物を入れてフロントに持って行くと、洗濯から乾燥まで1時間でやってくれること、洗濯中に着るものがなければ貸してくれること、明日朝食後にまたシャトルでトレイルヘッドまで送ってくれることを案内されました。ここは天国ですか…?

フロントにはリサプライバケツが山のように積んであり、中にはハイカーが寄付したフードや日用品、ガスなどが沢山入っていたので、洗濯物を出してからしばらく夫とバケツを漁り、ナッツとリッツ、多めに残っているガス缶などをありがたく頂きました。中には「五目ご飯」や「お赤飯」のフリーズドライなどもあり、日本人も沢山来ていることを知りました。

部屋はコテージで、キッチンなども付いています。1泊じゃもったいない…!

荷解きする前にとりあえずフリーフードから頂いたリッツを一気食いしました。量を気にせず食べられる幸せ…!
久々のシャワーはやはりなかなかシャンプーが泡立たず、5回目くらいでやっとスッキリしました。
30代に入ってから引っ込むことのなかったお腹周りがスッキリしていてちょっと嬉しくなりました。

宿のお母さんがとても気さくな方で、パンを買いたいんだけどお店はあるかと尋ねると、「道路の向こう側にシェブロン(ガソリンスタンド)があるわよ、夕ご飯はそこのサンドイッチもいいし、この通り沿いにおいしいタコトラックもあるわよ!」と教えてくれました。

とりあえずシェブロンに行き、念願のパンとピーナッツバター、大量に入ったm&m'sとポテチ、コーラを購入。
レジの男性はネイティブ・アメリカンで、どこから来たのか、と聞かれたので日本ですと返すと、
「私たちインディアンは日本人が大好きです。日本には本当に感謝しています。日本人はとてもよく働き、私たちに仕事もくれました。」と言われました。
私たちは何もしていないからお礼なんて言わなくていいよ、でもありがとう!と返し、何だか日本人でいることが誇らしい気持ちになりました。どこかの日本人の方、ありがとう!

帰り道、宿のお母さんおすすめのタコトラックに寄り、チキン・ビーフ・ポーク・チョリソーのタコスを計10個テイクアウト。

夕飯だけで全種類の肉を食すという偉業を達成しました。

VVRのハンバーガーの時と同様、食後に胃がもたれ吐き気がしていましたが、頑張って夜遅くまで起きて胃を休め、ポテチも食べることが出来ました。
私、恐ろしいほど貪欲になってる…。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):14.4km


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私たちのJMT(ジョンミューアトレイル)⑨

17日目(DAY131)

Deer Meadow-Bench Lake(13.5マイル/21.7km)

朝6時半過ぎ、夫が先に起床。私がテントから出る前に、マイランとイーサンは出発したようでした。

今日はマザーパス(標高3,688m)越えなので、お昼にフリーズドライを食べることにして、朝ごはんは二人でオートミール(2袋)を分けて食べました。やっぱり私の方が多く食べてしまう。

洗濯物を取り込み、乾いたズボンを履いてお湯を沸かしていると、なんだかズボンの中に違和感。
虫?と思ってズボンの上から触ると、でかい。
熊もびっくりの声で絶叫して夫を呼び、半泣き状態でズボンを下げると、大きな蛾でした。
ついに私のメンタルは崩壊、さらに絶叫して大騒ぎ。大きな蛾が私の太ももで死んでいました。

夫に取り除いてもらったけれど、精神的ダメージがかなりでかく、しばらく落ち込んでいました。
たかが虫だけど、全部が嫌になりそうでした。

9時前、少し遅くなったけど気持ちが落ち着いてから出発。
昼過ぎにはマザーパスに着けるかね〜なんて呑気に話していましたが、そんなに甘くはありませんでした。

今日も朝から灼熱地獄。マザーパスの前に湖があるはずなのですが、一向に着かない…。

とんでもないスイッチバックを登り、登っても登ってもさらに岩山が立ちはだかります。


本日もスガソーラーシステムを発動させました。

お昼前、やっと湖に到着。もう二人ともお腹が空きすぎてバテバテです。

ちょうどいいスポットを探してお昼休憩にします。マザーパスまではまだまだみたい。

昼ごはんにフリーズドライを二人で分けて食べた後、15分ほど昼寝しました。体力が回復すると信じて…

午後1時過ぎ、マザーパスに向けて出発。

登っても登っても、越えられなさそうな岩山しか見当たりません。くそっどれがマザーパスなんだ…。


湖があんなに遠くになりました。

「あれがマザーパスだね」と夫。

えっあれってプロが登るやつじゃないんですか。全然越えられる気がしないのですが大丈夫でしょうか。

降りてくるハイカーに、「トレイルは雪で通れないから、岩をよじ登ってね!楽しいわよ!」と言われ、さらにテンションが下がります。誰か嘘だと言ってくれ…こんな危険なパス越えあるのか…

雪渓を越え、岩をよじ登り、落ちたら終わりの気持ちで死に物狂いで午後4時半にパス到着。達成感よりも明日からのパス越えが恐怖に変わりました。

サミットではなく「パス」だけど、私たちにとってはサミットみたいなもの。山登りは好きだけど、毎日山登りは辛い。

夫の時計では誤差があったけど、実際は3,688mのはず。富士山は3,776mなので惜しくも届かず…!「富士山のようにでっかく、ミナナロー(3776)」で覚えてました。

とりあえず休憩するも食べるものがなく、水で空腹を満たします。

午後5時下山開始。明日もパス越えがあるので、なるべく降りた地点でキャンプしたい…!


マザーパスの下りも壮絶!

なんだか他の星に来たような、現実的でない風景です。

午後7時前、力尽きたところでキャンプ。

今日の夕飯はフリーズドライのパッタイ。かなり寒かったので、からくて美味しかった!

身体を拭くことも出来ずに寝袋にイン。ベタべタして気持ち悪いけど、あと3回寝たら私の今一番求めているオニオンバレー…!

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):15.5km


18日目(DAY132)

Bench Lake手前-Wood Creek Trail(14マイル/23km)

朝6時過ぎに起床。かなりの寒さだったけれど、コクーンを寝袋内に入れて寝たので朝までぐっすり眠れました。
足先も冷えず非常に優秀。今日はゾンビの夢を見ました。

朝ごはんにフリーズドライを食べ、8時過ぎに出発。
背中がやたらと痛いので、鎮痛剤を飲みました。
今日はまだマザーパスの下りの途中だったので、下り切ってから次のピンチョパス(標高3,672m)への登り。ピンチョパスからまた下って、次のグレンパスの登りの始めまで行く予定。怒涛の3日連続パス越えです。ピンチョパスって名前の響きが割と好きです。

まずは1時間ほど下ります。


草に朝露がついていて綺麗でした。

渡渉ポイント。私たちはログを使って上手く渡れましたが、私たちの前のおじさんと後のおじさんは滑って落ちたみたいで濡れていました。

最下部に到着です。ここからピンチョパスまで4マイル。昨日よりは楽かも…?

と思いきや、登りが始まるとすぐにバテてしまう私。夫はそこまでお腹が空いていないのに、お昼休憩にしてもらいました。

午後1時前、ピンチョパスに向けて出発!

昨日のマザーパスと違い、すぐにパスの取り付きまで行けました。雪は残っているものの、マザーパスほどではありません。

取り付きからはずっと急なガレ場を登りますが、きちんと道になっているので、ゆっくりゆっくり登ります。
1時間ほど上り詰めると急に到着!もっと上まで登るのかと思っていたので拍子抜けしました。嬉しい!


ピンチョパスの向こう側。

昨日と同様行動食がないので、水をしきりに飲んで休憩。

ここから一気にグレンパスへの最下部まで下ります。ここから12km…。夕方までに着けるのでしょうか。

ガレ場の下りが足に響き、途中から左足首に激痛が走ります。つらい…。

渓谷沿いを下って登って下って…。下りのはずなのにたまに登りがあってイライラ。

6時前、最下部に到着!ここから橋を渡ってキャンプ地に行きます。

立派な吊り橋ですが、一人ずつしか渡れません。

落ちるんじゃないかってくらいグラングラン揺れました。

川沿いにフラットな場所があったので設営!蚊もいなかったので、川で頭をゆすぎ、身体を拭きました。生き返る…!日も落ち始めていたので洗濯はせず。

夕飯は恒例の米とふりかけ。空腹を満たすには米が1番!しじみスープも飲みました。
私の食欲がひどく、またしても夫以上に食べてしまいました。

明日はグレンパス越え。グレンパスまでは8マイルほどあるので夕方になるかな…。何よりガスが残りわずかなのが心配。
最悪インスタントラーメンをバリバリ食べることになるかもなあ。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):22.9km

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