スガ旅

夫婦で世界の大自然を歩いた旅の記録

サナブレスの道⑪

DAY35

Cea → O Castro(14.5km)

朝6時半起床。サマータイムなのでまだ暗い。
7時にバルが開くと言っていた気がして、起きてすぐに準備。朝一ベッドから起き上がる時が一番痛いのに、すっくと立ち上がることができてびっくりした。

あれ…?少し良くなってる…?

歩くと痛いが、今までほどではない。気がする。
もしかしたら33kmいけるかもしれない。

淡い期待を持ちつつ、イングリッドとともにバルへ。
バルはGoogleマップ上ではオープン時間は過ぎていたが、まだ閉まっていた。イングリッドはサマータイムを忘れているんじゃないかと言う。

コーヒーが欲しいので違うバルを探して向かう。
表向きは閉まっているように見えたが、明かりがついていたのでドアに手をかけると開いてる!
カウンターに駆け寄りトーストはあるかと尋ねる。
あるよ、と言われ、トスターダとカフェコンレチェを無事注文。助かった。

カフェコンレチェもトスターダもテーブルに運んでもらい、朝食にありつくことができた。

バルを出て、今日14km先の村でストップするか33km先まで行くか、歩きながら考えることにして別々に出発した。アルベルゲは33km先までなく、14kmの方はゲストハウスで1泊25€だ。ちょっと高い。

出だしは上々。ポールも使ってスムーズに歩く。ノーマル時のスピードは出ないが、1週間前よりは歩けている気がする。ただ、くるぶし下のビリビリとした痛みが気になる。

日が登ると一気に暑くなった。5km先にバルがあると思って水筒に水は入れてこなかった。水は残り少ない。

5km先のバルに到着。開いていない。Googleマップで確認すると臨時休業になっていた。
やばい、他にバルはないか探すと、10km先までなかった。

仕方がない、歩くしかない。残りわずかな水をちびちび飲みながら、汗を流して歩く。ここ数日快晴だ。ガリシア州は雨が多いと思っていた。
顔と手の甲は日に焼けて真っ黒だ。シミも増えた気がする。

順調だと思っていた足は、やはり痛み始めた。でも前ほどではない。歩けないほどではない。

モホンは残り70km台になった。ゴールは見えてる。セビージャから始めた時はとんでもなく遠く感じたけど、あと3日でゴールだ。出会った人々のことを思い出す。思い出すのは道よりもやっぱり人だ。

日本を出発する前、どんな出会いがあるんだろうかとワクワクしていた。他に歩いている人はいるんだろうかと不安だったけど、本当にたくさんの人に出会った。出発前には一つも予測できなかった。

「モモ」の中で、過去、現在、未来について考える描写がある。出発前には未来だったものが、今はもう過去に変わっている。現在は、ほんの一瞬だ。
考えているうちにもう過去になっていく。
不思議だった。時間の流れがとても不思議に感じるようになった。

サマータイムで1時間進んだことも不思議だった。人が時間の概念を作っていることが不思議だった。

日が登れば朝が来て、日が沈めば夜が来る。
時計を気にしないで生きていられたら幸福だなと思った。

14km先の村に到着し、バルに入る。イングリッドも到着していた。ボカディージョとコーラを頼み、コーラを一気飲みした。

足は痛いけど、まだ歩けそう。だけどさらに倍歩けるかは自信がない。ボカディージョを食べながら30分ほど考えて、ストップすることにした。
イングリッドは喜んでストップすると言っていた。

バルの向かいに宿があり、扉の前まで行って電話をかけた。ホストは英語が話せて、そのまま中に入ってベッドを選んで使っていていいと言ってくれた。夜にチェックインの手続きに来るという。
オランダ人のルイスも到着し、部屋に入る。
高いだけあって最高のベッドが待っていた。
ピーターも到着し、フアンも到着した。昨日と全く一緒のメンバーだ。

シャワーを浴びて洗濯をして、イングリッドが料理を振る舞ってくれるというので近所の商店に買い物に出かけた。

イングリッドの料理中、4人はテラスでそれぞれのんびり自分時間を過ごした。みんなに夫が今ポルトガルの道を歩いているんだよと話した。

7時に食事。サラダとパスタで、どちらも絶品だった。料理中、手伝う?と聞くと、趣味だからいいの、ゆっくりしていて、と言われ何も手伝わなかった。料理することで気分転換になる人もいるんだなあ。

デザートはナティーヤ。カスタードクリームのようなもので、私は大好きだ。

みんなで地図を見て明日の行程を確認して、就寝。

歩いた距離
18.7km
使ったお金
バル4€
バル5€
ゲストハウス25€
合計34€

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サナブレスの道⑩

DAY34

Ourense → Cea(22.3km)

今日からサマータイムで1時間時計の針が進んだ。日本との時差は8時間から7時間に。
7時に起床したけど、本当はいつもの6時。外は久々に薄暗い。何だか変な感じ。
8時出発を目標に、キッチンで朝ごはんを食べて準備する。

イングリッドとともに8時過ぎに宿を出て、町を出る前にバルに寄ってコーヒーを飲んだ(宿のコーヒーがまずかった)。

それぞれ目的地は一緒だけど、バラバラに歩く。イングリッドは足が痛そうだった。私もまだ痛い。小さな歩幅で少しずつ歩みを進めた。

オウレンセを出るまでずっと登り坂で、どんどん高いところまで登って振り返って町を見下ろした。
モホンは100kmを示すが、喜びはあまりなく複雑な気持ちだった。歩き続けていたらきっと嬉しかっただろう。こればっかりは仕方がない。

後ろから巡礼者が追いついて、「イングリッドの友達?」と聞かれた。そう!彼女に会った?と聞くと、「20分前に彼女から伝言を預かったよ。全て問題ない、心配しないでってさ」と私に伝えてくれた。良かった、安心した。
彼はオランダ人のピーター。優しそうなおじさんだ。

足の痛みはあったが、ポールをうまく使って負担を軽減させた。目的地までは頻繁に村を通った。1km、2kmごとに村があり、3kmから5kmごとにバルがあった。ご褒美のようなセクションだった。

午後からはかなり暑くなり、汗を流しながら歩いた。暑さに弱い私はどんどんゆっくりになっていった。

イングリッドと合流し、バルに入る。ピーターもいて、あとからスペイン人の巡礼者も来て、みんなでビールやコーラを飲んで話しながら休んだ。

ピーターは四国のお遍路を計画中だそうで、たくさん本を読んでると言っていた。フランス人の道以上に日本のカミーノに興味のある人が多く、しかもみんな結構本気で計画してる。

フランス人の道の時は、「日本にもカミーノがあるんでしょ?!」みたいなテンションの人が多かったけど、この道では「熊野古道も歩いたよ」とか、「今年の秋にお遍路に行く」とか、もっと踏み込んでる感じの人が多い。みんなが口を揃えて言うのが、「日本語が難しい」ということ。

そらそうだ、日本以外で話されてない言語だし、アルファベットじゃなく漢字、平仮名、カタカナと3種類もある。彼らから見たら私たちは希少な言語を操る魔術師なのだ。

スペイン語でにんにくのことを「ajo(アホ)」というのだが、「日本語で"アホ"は"stupid"という意味だよ」と教えてあげると、みんな一瞬で覚えて使い始める。「あまり使わないでね」の一言も忘れずに。

2回ほどバル休憩を入れて、夕方にアルベルゲに到着。オスピタレロは全然現れず、7時頃になって酔っ払った状態で現れた。

その後みんなでバルに行き、オランダ人、スペイン人、ドイツ人、日本人(私)と国際色豊かな面々でご飯を食べた。オランダ人のピーターが、「俺が誘ったから俺が出す」と言ってみんなの分を支払ってくれた。初対面なのになんだか申し訳ない。

銀の道はリタイア後で余裕のある人が多いせいか、度々こういうことが起こる。嬉しいけれど、自分がそう出来ない分少しバツが悪い。

歩いた距離
27.6km
使ったお金
バル2€
バル1.5€
バル2€
アルベルゲ10€
合計15.5€(≒2,500円)

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サナブレスの道⑨

DAY33

Ourense(ZERODAY)

8時に目が覚めると、イングリッドは先に起きてシャワーを浴びに行っていた。久々の寝坊だ。

キッチンに行き、パンを焼きコーヒーを入れる。冷蔵庫にはバターもジャムも牛乳もあって、全部揃っていた。私がホステルを営むなら絶対に外せない3つのものだ。もう少し歳をとったら地元でやってみたい。

朝食後にシャワーを浴びる。ホステルのオーナーが、こっちの方が近いから使っていいよと車椅子用のバスルームを使わせてくれている。
トイレにもシャワーにも手すりが付いていて、初めてこれがありがたいと思った。
捕まらないと下着も脱げない。片足で立つのが難しく、着るのも脱ぐのもものすごく時間がかかった。
自分が不自由な思いをしないと気が付けなかったことだった。

シャワーを浴びた後、外のカフェでイングリッドと待ち合わせて一緒に散歩に出かけた。イングリッドは明日からの陽気に合わせて服を買い換えたいと言って、デカトロンに行った。
デカトロンはヨーロッパではよく見かけるアウトドアショップ。イングリッドが服を選んでいる間、足のサポーターやクリームなどを見て、トレッキングポールに目が留まった。
5€、めっちゃ安い…。800kmポールなしで歩き、足を引きずってからはたくさんの人からポールを使えと言われ、持って帰れないし、残りあと少しだからと頑なに拒否していた。

5€、少しは助けになるかもしれない…そう思って1本購入した。

薬が効いているせいもあるが、初動の2-3分を我慢すれば痛みが和らいだ。いつもは痛過ぎてかかとを浮かしていたのを、我慢してかかとをつける。数分痛みに耐えなければいけないが、痛みから逃げる動きをするよりも早く足が慣れてくれた。

これが正しいのか間違っているのかはわからないけど、今のところの解決策が見えた気がした。

一度座ってしまうと立ち上がる時にまたリセットされるので、何度も痛みに立ち向かわないといけない。でも足は引きずらなくて済む。ゆっくりだけど歩ける。

こんな調子で、リハビリとしてイングリッドと一緒に坂を登ったり、降ったりして昨日より多く歩くことにした。休んでいるだけじゃ弱ってしまう気がしていたし、明日は22km歩く予定だから少しでも慣らしておきたかった。

バルで休憩しながらの町歩きは、足には負担をかけたかもしれないけれど最高に気持ちよかった。土曜日のせいか人々はどの通りにも溢れ、テラスはどこも賑わい、みんな太陽を楽しんでいた。

川沿いではピクニックをしている人も大勢いて、公園のベンチというベンチは満席。これがスペインだ。みんな外に出て楽しむ。人に会う。太陽の下で昼からワインを飲む。

私たちもお腹が空いてきて、昨日行ったプルポのお店に行きピンチョスを3品ずつ注文。これが本当に美味しくて驚いた。
スペインに通い続けているイングリッドも、今までで一番の店だと感動していた。美味しい料理は心まで元気になる。大事なことだ。

午後はスーパーに行き、夕飯のサラダの買い足しをして、そのままアイスクリームを食べに行った。通りを見渡せば、私たちだけでなく子供から老人まで、みんなアイスを食べていた。幸せな光景だった。

2日間、少し歩き過ぎたZERODAYだったけど、心の充電は満タンに出来た。理解し合える友人と二日間のオウレンセ旅行を満喫し、明日からの活力を養った。
一緒にいてくれてありがとう、と夕食後にイングリッドに言った。イングリッドは嬉しそうに「私の方こそ」と笑って私の肩をなでた。

歩いた距離
14.2km

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