スガ旅

夫婦で世界の大自然を歩いた旅の記録

vía de la plata(銀の道)④

DAY4

Almadén de la Plata → Monesterio(33.6km)

朝5時過ぎ起床。リビングに荷物を全て運んでから身支度スタート。昨日の夜食べてからすぐ寝たせいか何だか胃が重く、コーヒーだけで済ませた。

6時半出発。まだ真っ暗だ。
昨日は車道だったから怖さはなかったけど、今日は何だか怖い。犬が吠えながら走ってくる音だけが響き、柵があるのかないのか分からず運に任せるしかなかった。

すぐに雨が降り出し、カッパを着る。暗闇で雨で遭難したくない。道を間違えると嫌なので、慎重に地図を見ながら進んだ。途中行き過ぎて川を渡るポイントを見失ったが、戻ったらちゃんと渡れる場所があった。危なかった。

牧場から牧場へ、鍵付きのゲートを通りながら進んでいく。雨のせいもあってかなかなか時間がかかっていた。

途中懐っこい牧羊犬が近づいてきて、足を温めてくれた。ついてくるかな、と思ったけど来なかったので先に進むと、前から別の牧羊犬が牙むき出しで走ってきた。
どうすることもできず立ち止まっていたら、さっきの犬が後ろから吠えながら走ってきて、前から私に向かって来た犬を制してくれた。
守ってくれた、びっくりした。

お礼を言って先に進んだ。

次の町に着いたのはもう10時を回っていた。トイレも借りたかったのでバルに入るととても忙しそう。カウンターの端にいた男性に、「トーストとカフェラテありますか?」と聞くと、「僕は店員じゃないよ、でもほら、見てみて、トーストはあるよ」とキッチンを指差して教えてくれた。

キッチンではオーナーらしき小柄の男性が忙しそうにチャキチャキ動き回り、次々にオーダーを捌いていた。男性が私の前に来るのを待って、トーストとカフェラテを無事注文。「何塗る?」と聞かれ、「バター!」と叫ぶ。すぐに品物が目の前に置かれ、料金を聞いたら2€だった。

ここまで全てスペイン語オンリー。銀の道は英語がほぼ通じない。つまり、食べたいものは単語を覚えないと手に入れられない。
逆に言えば、自分の注文しそうなものの単語だけ覚えていけばいい。他は使わない。
ここまでの毎日、どこの店も外国人が来たからと言って優しく接してくれるわけではないし、冷たいわけでもない。地元の人と一切平等に接してくれる。それはそれで嬉しい。

朝食とトイレを済ませて、ここからまたしばらく歩く。町を出る時に「次の町まで6時間」と書かれた看板を見てちょっと心が折れそうになる。

パンも食べたし、重い腰を上げて再出発。
この町を出てからは何人か巡礼者と顔を合わせた。のんびり橋に腰をかけている人、寡黙に歩く人、みんなそれぞれ自分のペースで歩いている。だいたいソロが多い。

雨が強くなったり弱くなったり、カッパを着たり脱いだりするのも一苦労。というのも、今日は1日牧場ルートなので道は糞だらけだし、ザックを下ろす場所がない。ベンチなんてないし、休憩もずっと立ったままだ。足が痛んできた。

前の町まではルートを楽しんで歩いていたけど、後半は辛くなって来た。でも歩かないと休めない。
足取りが重くなり、一気にペースダウン。半分ほど歩いたところに高速のサービスエリアのような場所があり、トイレを借り、90セントのオレンジジュースを買った。ここでも座らずに出発。本当はここで何か食べれば良かったのに、ザックを下ろすのが面倒で食べなかった。

ここからさらに2時間ほど歩いたところで、ペースの遅さに気づく。燃料切れのようだった。ザックを足の上に下ろして、昨日スーパーで買ったナッツを口に詰め込む。がんばれがんばれ。あと少し。あの坂を登れば街が見えるはずだ。
 

ノロノロと最後の丘を登り、夕方になってやっと辿り着いた。足が痛い。
ふらふらと町の中を進み、ルート上にあるアルベルゲの扉の前に辿り着くとドアには「本日休業」の文字。落胆して、もう一つの町外れにあるアルベルゲを目指す。ここから1km。

雨の中最後の力で頑張って歩き、辿り着いたアルベルゲは最高に綺麗な施設だった。オスピタレロはとても優しく、犬もいた。薪ストーブもあった。そしてクラクフの奥様方もいた。

昨日会ったスイス人の女の子と一緒のタイミングでチェックインし、ベッドを無事確保。コンセントもすぐ近くにあるし、あと少しで切れそうだったスマホをすぐに充電した。シャワーを浴びて、洗濯はなし。何かお腹に入れようとキッチンに行き、味噌汁にご飯を入れて食べた。

そのままキッチンでダラダラしていたら、クラクフの奥様方が料理を始め、なんと私にも「一緒に食べない?」とパスタを分けてくれた…。ツナとトマトのペンネ。あったかくて美味しすぎて、とてもありがたかった。


「寒い日は温かいものを食べるのよ」とアナ。

2人の名前はアナとスターシャ。2人合わせてアナスタシアみたいだ。
アナは英語が話せるけど、スターシャはポーランド語オンリーなのでアナが通訳してくれて3人で色んな話をした。

クラクフに着いた時にバスの運転手に「中央駅まで行きますか?」と聞くと、「ニェーニェー!(NO,NOの意味)」と言われ、勝手に「イェーイェー!」と勘違いして乗ったらえらい所で降ろされた話をしたら爆笑してくれた。ポーランドネタがあって良かった。

スイス人の女の子は昼寝から戻り、「スーパーに行くけど必要なものはある?」とわざわざ聞いてくれた。その後別の巡礼者にも同じことを聞かれた。
何というか、私に余裕がないのか、人を思いやる周りのみんながすごく尊かった。

歩いた距離
36.8km
使ったお金
朝食2€
オレンジジュース90セント
アルベルゲ14€(朝食つき)
合計16.9€(≒2,670円)

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