スガ旅

夫婦で世界の大自然を歩いた旅の記録

サナブレスの道⑦

DAY31

Lubián → A Gudiña(24km)

今朝も足の痛みは良くなっていない。6時半に起きて、洗面所・トイレが下の階なので手すりにつかまりながらゆっくり階段を降りた。

顔を洗い、朝ごはんを食べて痛み止めを飲む。効いて来るまで40分、準備をしながら待った。
8時半出発。まだ効いてる気はせず、朝一だからしょうがないかと歩き始める。薬なしではもはや歩行が困難だ。

ルートは山道に入る。薬が効いて来るとスピードが上がり、前にいたアンナに追いついた。ルート上は川になっていて石から石へと渡ったり、泥に足を突っ込んだりと弱っている足には少し大変だった。それでも道路を歩くよりも気持ちが良かった。


濡れた靴を交換するアンナ。替えの靴を持ち歩く人も多い

山道はどんどん登りになっていき、登山道のようになっていった。毎日距離しか確認していないので、高低差は見ていない。今日は山に登る日だったのかと登りながら知る。

急な坂でイングリッドを追い越し、夢中で汗をかきながら登った。登りは足には調子が良かった。

一番上につくと、そこはカスティーヤ・イ・レオン州とガリシア州の州境だった。ここから最後の州、ガリシア州に入る。やっとここまで来たかと嬉しくなった。

ピクニックテーブルとイスがあったので休んでいると、女性が登ってきた。デンマークから来たソフィア。自己紹介をして、色々話していると、コロナ前に日本に来て熊野古道を歩いたという。
私も行ったことないよというと、素晴らしかったとおすすめしてくれた。
また、デンマークは山がないけどフラットな分自転車が楽しめるよ、シェルターがあって泊まりながらハイキングもできるよ、と言っていて、デンマークも私のバケットリストに入った。

そこから下りもまだ大丈夫、少し痛みは感じるけど、我慢できる。と思っていたら薬が切れたのかどんどんスピードダウン。やっぱり痛い。左足をかばいながら山を下る。

出発してから13kmくらいで村があり、バルが1件だけあったので吸い込まれた。アンナとイングリッドも中にいた。もう13時を回っていたのでお昼ご飯にトスターダを食べた。クリスティーナ夫妻も到着し、みんなでテラスで休憩した。

私が薬を飲むのを見て、アンナがとても心配した。でも飲まないと辿り着けない。歩けないんだ。

自分のことは自分でわかる。出来ることとできないこともわかる。もう無理だと思ったら自分で決断できる。そう思っていた。でも、当たり前にサンティアゴまで歩けると思っていたのに、この有様だ。想定外だった。
毎日身体はさほど疲れていないのに、ただただ足だけ痛い。他は全く元気だ。ピンピンしている。前回のカミーノで風邪をひいて寝込んだ時の方が全身もメンタルもつらかった。今回は足だけなのに、歩き旅には致命傷だった。

休憩中に薬が効いてきて、ここからまた10kmどうか効いていてくれと願いながら出発。
再び山道に入り、どんどん登っていく。景色もトレイルも最高に美しかった。足の痛みなしだったらどんなに幸せだったことだろう。

あまりの景色の美しさに、みんな思い思いの場所でピクニックをしていた。

私も足を止めたかったけど、薬が切れる前に町に着きたくて先を急いだ。

残り5km、足が痛くなり始めた。残り2kmで足首に違和感を感じる。痛い方の足の、足首の表側だ。ゴロゴロするように痛み始めた。何か変だ、いつもと違う。

5歩進んでは触ってマッサージをして足首をほぐして、を繰り返して2km歩くのにひどく時間がかかった。

町の入り口に薬局があり、鎮痛剤を買い足す。そのままアルベルゲを目指すが、400mが気が遠くなるほど長く感じた。もう、だめかもしれない。明日からは無理かもしれない。

やっとの思いで到着すると、アンナとイングリッドが受付していた。
アルベルゲは新しく広くて綺麗で、快適そのものだった。トイレもシャワーも男女分かれていて、3人同時にシャワーを浴びることができた。
みんなで洗濯機に汚れた服をぶちこみ、乾燥機も使った。

今日は明日以降の足のことを考えたくて、一人でバルに行った。食事をしているとマティアスもやってきて、「明日バスか電車に乗ろうと思うんだ」と話すと、「悔しいかもしれないけど、いい判断だと思う。同僚で無理をして手術を3回受けた人を知っているからね。完歩を競うものじゃないし、歩けなかったパートはまた来たらいい。」と言ってくれた。
「最初は自信なかったはずなのに、途中から何の疑いもなく、サンティアゴまで順調に歩けると思っていたんだよね」
と話すと、「今回のカミーノはそうじゃないことを知るためだったんじゃない?」と言われて妙に納得した。思い通りにいかないこと、計画通りに進まないこと、そして、自分の身体を労わること。

明日、明後日は2日連続で35kmオーバーの行程で、おそらくこの道の中で一番美しい光景が広がっているんじゃないかと思うととても辛かった。自分の目で見たいけど、今は足を休ませたい。
痛みが出始めたサモラからここまで約230km、足を引きずりながらよく頑張った。私の左足も、それを助けてくれた右足も。
明日電車に乗って、二日分のセクションをスキップすることにした。

歩いた距離
32.7km
使ったお金
バル3.5€
アルベルゲ10€
バル13€
薬局4.5€
合計31€(≒5,000円)

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