スガ旅

夫婦で世界の大自然を歩いた旅の記録

サナブレスの道⑨

DAY33

Ourense(ZERODAY)

8時に目が覚めると、イングリッドは先に起きてシャワーを浴びに行っていた。久々の寝坊だ。

キッチンに行き、パンを焼きコーヒーを入れる。冷蔵庫にはバターもジャムも牛乳もあって、全部揃っていた。私がホステルを営むなら絶対に外せない3つのものだ。もう少し歳をとったら地元でやってみたい。

朝食後にシャワーを浴びる。ホステルのオーナーが、こっちの方が近いから使っていいよと車椅子用のバスルームを使わせてくれている。
トイレにもシャワーにも手すりが付いていて、初めてこれがありがたいと思った。
捕まらないと下着も脱げない。片足で立つのが難しく、着るのも脱ぐのもものすごく時間がかかった。
自分が不自由な思いをしないと気が付けなかったことだった。

シャワーを浴びた後、外のカフェでイングリッドと待ち合わせて一緒に散歩に出かけた。イングリッドは明日からの陽気に合わせて服を買い換えたいと言って、デカトロンに行った。
デカトロンはヨーロッパではよく見かけるアウトドアショップ。イングリッドが服を選んでいる間、足のサポーターやクリームなどを見て、トレッキングポールに目が留まった。
5€、めっちゃ安い…。800kmポールなしで歩き、足を引きずってからはたくさんの人からポールを使えと言われ、持って帰れないし、残りあと少しだからと頑なに拒否していた。

5€、少しは助けになるかもしれない…そう思って1本購入した。

薬が効いているせいもあるが、初動の2-3分を我慢すれば痛みが和らいだ。いつもは痛過ぎてかかとを浮かしていたのを、我慢してかかとをつける。数分痛みに耐えなければいけないが、痛みから逃げる動きをするよりも早く足が慣れてくれた。

これが正しいのか間違っているのかはわからないけど、今のところの解決策が見えた気がした。

一度座ってしまうと立ち上がる時にまたリセットされるので、何度も痛みに立ち向かわないといけない。でも足は引きずらなくて済む。ゆっくりだけど歩ける。

こんな調子で、リハビリとしてイングリッドと一緒に坂を登ったり、降ったりして昨日より多く歩くことにした。休んでいるだけじゃ弱ってしまう気がしていたし、明日は22km歩く予定だから少しでも慣らしておきたかった。

バルで休憩しながらの町歩きは、足には負担をかけたかもしれないけれど最高に気持ちよかった。土曜日のせいか人々はどの通りにも溢れ、テラスはどこも賑わい、みんな太陽を楽しんでいた。

川沿いではピクニックをしている人も大勢いて、公園のベンチというベンチは満席。これがスペインだ。みんな外に出て楽しむ。人に会う。太陽の下で昼からワインを飲む。

私たちもお腹が空いてきて、昨日行ったプルポのお店に行きピンチョスを3品ずつ注文。これが本当に美味しくて驚いた。
スペインに通い続けているイングリッドも、今までで一番の店だと感動していた。美味しい料理は心まで元気になる。大事なことだ。

午後はスーパーに行き、夕飯のサラダの買い足しをして、そのままアイスクリームを食べに行った。通りを見渡せば、私たちだけでなく子供から老人まで、みんなアイスを食べていた。幸せな光景だった。

2日間、少し歩き過ぎたZERODAYだったけど、心の充電は満タンに出来た。理解し合える友人と二日間のオウレンセ旅行を満喫し、明日からの活力を養った。
一緒にいてくれてありがとう、と夕食後にイングリッドに言った。イングリッドは嬉しそうに「私の方こそ」と笑って私の肩をなでた。

歩いた距離
14.2km

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