スガ旅

35歳を迎え、夫婦で仕事を辞めました。

SUGATABI.

スガ家の旅の記録

JMTを終えて

JMTが終わり、ロサンゼルスからフランスのパリに移動。その後バスク地方のバイヨンヌという小さな町に来て、身体を休めています。

もう1週間も経つというのに、私の心はシエラネバダに置き去りのまま。それほど私の人生の中で強烈な1ヶ月でした。

新しく出来た「家族」とありがとうの気持ち

ケイティがよく、「トラミリー(tramily=trail family)」と口にしていましたが、トレイルで出会い、同じ困難を乗り越えてきた同志たちとは今でも家族のように頻繁に連絡を取り合い、またどこかで山に登りたいね、とか、シエラが恋しいね、とか話しています。
不思議な縁で同じ期間をあの山奥で過ごした世界中のトラミリー。JMTが終わり次第彼らは元の生活に戻り仕事に復帰するわけですが、皆やはり気持ちが追いつかない様子。
衣食住を背負い、あれだけの大自然にどっぷり浸かっていたのに、何不自由ない都会の生活に戻って戸惑いを感じるのでしょう。1人は昨日、レンジャーのポストが空いていないか問い合わせをかけたそう。みんな揃ってJMTロスです。

「美しい自然の中で毎日キャンプできる!」
「登山じゃないから頂上まで行かずに縦走できる!」
と、メリットしか頭に入れずに挑戦したJMT。

昼は灼熱の太陽に照らされながら汗だくで歩き、夜は凍えるほど寒い中防寒着を来て眠り、毎日山を登っては下り、熊に怯え、蚊と戦い、少ない食料で過ごした24日間。

その反面、私たちを暖めてくれる朝日に毎朝感謝し、川で身体を清められることに感謝し、山を越える度に目の前に広がる光景に感動し、少ない食料を夫と大切にわかちあった24日間でもありました。

「ありがたいね」

トレイル上で夫と何度も口にした言葉。
都会で日常生活を送っていたら当たり前過ぎて感じることのできなかった気持ちでした。

歩いた距離は434km

ジョンミューアトレイルは、かの有名なヨセミテ国立公園のハッピーアイルからアメリカ本土最高峰のマウント・ホイットニー頂上までの340kmですが、私たちはハッピーアイルの許可証が取得出来なかったため、手前のグレイシャーポイントから歩いたことと、リサプライのためにトレイルと町を何度か往復したこと、道に迷ったこと、ゴール地点からトレイルヘッドまでの下山も合わせて、実際に歩いた総距離は434km。計算してみて驚きました。

ヨセミテ国立公園から入り、キングスキャニオン国立公園、セコイア国立公園、そしてインヨー国有林を通過しました。

南下するにつれ景色がどんどん変化し、とくに後半、絵の具をこぼしたような青空の下に白く険しい岩山が広がっている風景が、今でも脳裏に焼き付いています。

自分が蟻のように小さく感じるくらいの大自然の中を毎日歩き、考えていたことと言えば今日は何を食べようかとか、今日のキャンプ地に蚊はいるかなとか、あそこトイレにちょうど良さそうだなとか、頭めっちゃ臭いなとか、そんな程度です。ひもじくなってからは馬の糞がお饅頭に見えるようになってきたりもしました。

ただ歩くだけの1ヶ月。電波も入らず外からの情報はなく、トレイルの状況はすれ違うハイカー同士が口頭で伝え合う。アナログでシンプルで、不便ゆえに頭を使い、絶望したかと思えばちょっとしたことに幸せを感じ、私の場合、穏やかというよりは泣いたり笑ったり忙しい日々を過ごしました。

この美しくもハードなトレイルを歩ききることが出来たのは、公園を管理し、常にトレイルの整備を行ってくれているレンジャーの皆さん、また、各リサプライポイントで私たちハイカーを笑顔で温かく迎えてくれたスタッフの皆さんのおかげです。

また、JMTを歩いたおかげで、自然保護と観光の両立や、それに伴う経済効果なども知ることができました。私の故郷も国立公園内にあるため、帰国したら今一度日本の国立公園に注目してみたいと思いました。

映画のことば

私がJMTに興味を持つきっかけとなった映画の中で、印象的な言葉がいくつかあります。

『わたしに会うまでの1600キロ』(原題『wild』)

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PCTを歩いた女性のエッセイが映画化となった作品で、主人公シェリルのお母さんのこんなセリフがあります。

“There is a sunrise and a sunset every day and you can choose to be there for it. You can put yourself in the way of beauty.”

「朝日と夕日は、見ようと思えば毎日見られる。美しさの中に身をおきなさい。」


週末はたまに山に行っていましたが、買い物好きでもグルメなわけでもない私は会社と家の往復のみ。行き帰りの満員電車に揺られながら、窓に映る疲れ果てた自分の顔を見る毎日。朝日と夕日をゆっくり眺めるということは、つまりは心の余裕です。都会で忙しく働き、そんな余裕がなかった私の心にこの言葉はかなり突き刺さりました。



『MILE... MILE & A HALF』

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また、JMTを舞台としたこの作品のオープニングは、ジョンミューアのこんな言葉で始まります。

“Wander a whole summer if you can…time will not be taken from the sum of your life. Instead of shortening, it will definitely lengthen it and make you truly immortal. ”   —JOHN MUIR


「ひと夏の間 散歩しても寿命は縮まない
むしろ真の意味で不死身の人間になれるのだ」
             ジョン・ミューア


世界旅行を決め、仕事も生活も全て手放すことに罪悪感を抱いていましたが、この言葉に救われました。私たちの場合「1年の散歩」になりますが…。
人生100年時代に向かう今、1年くらい日本社会から離れることが悪とは思わなくなりました。そしてJMTを終えた今、あの時決断して本当に良かったと心から思います。


『ロング・トレイル!』(原題『A Walk in the Woods』)

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アパラチアントレイルを舞台にしたこちらの作品にも、ジョンミューアの言葉としてロバート・レッドフォードのセリフにこんな言葉が出てきます。

“Grab a loaf of bread, throw it in a sack, and jump over the back fence.”

「パンを手に取りザックに詰めて、垣根をとび越えろ」


こんな衝動に駆られることはしばしば、でもなかなか出来ないのが現実です。
この映画を観て、何歳になろうがこの気持ちは変わらず、そして何歳であろうと実行できるんだと勇気付けられました。

次の目的地

私には到底無理だろうな、と思っていたJMTスルーハイク。下調べや準備は大変でしたが、勇気を出して踏み出せば、想像を絶する感動が待っていました。
そして、そんなことがこの世界にはいっぱいあるんだろうな、とまた夢が広がりました。

明日はサン=ジャン=ピエ=ド=ポーという町に移動し、明後日から800kmという長さの巡礼路を歩きます。
とてつもない長さですが、果たして歩ききれるのでしょうか。

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