スガ旅

夫婦で世界の大自然を歩いた旅の記録

私たちのカミーノ⑪

23日目

León → La Virgen del Camino

朝はゆっくり起きて、10時過ぎに宿を出発です。
レオン旧市街で朝食を取り、11時頃にレオンを出ました。

レオンは見所がたくさんあるので、多くの人がレオンで2泊していきます。観光と都会にあまり興味がない私たちは、レオンは1泊にして少しでも進むことにしました。気に入った村があったらそこで2泊もありかな、と思いながら。


都会でもちゃんと探せば黄色い矢印が。


私たちはもちろんサンティアゴに向かいます。

マリアからメールが来て、彼女はレオンが気に入ったのでもう1泊するとのこと。ただ、私たちにも追いつきたいので、2日後にオスピタル・デ・オルビゴという町の「アルベルゲ・ヴェルデ」に一緒に泊まらないかと提案されました。そのアルベルゲはマリアの親友が絶賛していたそうで、特に急いでもいなかった私たちは快諾しました。

素敵な巡礼者像を発見。向かいのパラドールを見上げています。パラドールは歴史的な建物を改装した高級ホテルのこと。アプリ「Buen Camino」によると、この建物は16世紀に建てられたそうです。

レオンを出る橋の上から魚影を確認する夫。通りすがりのおじいちゃんも気になったのか、並んで確認していました。

レオンを出て8kmほど進むとラ・ビルヘン・デル・カミーノという町に着きます。カフェで休憩だけするつもりが、コンパクトで居心地のいいこの町にて宿泊することに。

レオンから近いせいか入ったアルベルゲも空いていて、好きなベッドを使って!と言われました。
シャワー・洗濯を済ませてスーパーに行き、冷凍のグリル野菜と米を購入しました。


広くて綺麗な食堂。

夫が米を炊いてくれて、私は冷凍野菜をレンジでチンしただけ。

夫が米の火加減に手こずっている時、二人の男性が自炊しにキッチンにやってきました。彼らはとても手際が良く料理上手で、「たくさん作っちゃったから食べて!」とサラダ、パスタ、フルーツを分けてくれました。めっちゃ美味しい。

私たちも何かお裾分けしたかったけど、夫が炊いてくれた米がかなりゆるくてシェアできない…と告白すると、ハンガリー出身の彼が「炒めるといいよ!」と救いの手を差し伸べてくれました。


私たちのゆるい米を炒めてくれている。

何ということでしょう。もはや米とは思えない、マッシュポテトみたいな物が出来あがりました。料理上手の彼でも手に負えなかったようで、途中で放棄されました。塩をかけて食べました。

夕飯を食べている間に雨が降ったらしく、虹が出ていました。干した洗濯物はびしょ濡れに…。仕方なくベッドの縁にかけて干しました。

夜暗くなってから、犬を連れた1人の男性がチェックイン。ポーランド出身の彼の名はダリウス。ポーランドの自宅から歩き始めたらしく、ザックにはポップアップテントがくくり付けてありました。「イエスが亡くなったのが33歳、僕も今33歳。強いメッセージを感じて歩くことに決めたんだ」と目を輝かせながら語るダリウス。犬の首輪にはカミーノロゴのタグがぶら下がっていて、「カミーノドッグだよ」と言っていました。大好きなご主人様とこんなに長い散歩に出られて、犬はさぞかし幸せだろうなと思いました。

24日目

La Virgen del Camino → Hospital de Orbigo

今日はマリアとの待ち合わせの村、オスピタル・デ・オルビゴに向かいます。ただ、マリアのいるレオンからは35km以上離れているので、マリアには無理しないでと伝えました。

せっかく夢だったカミーノに来ているのに、私たちと歩調を合わせるために急いで欲しくなかったのです。予定ではまだ10日以上歩くつもりだし、また会える自信がありました。マリアに、少しペースを落としてくれたら追いつけるのに、と言われましたが、私たちもゴールまで体調がいいとは限らないし、歩けるうちに進みたい気持ちがありました。

村を出るとすぐに分岐があります。北の道は道路沿いを歩くけれど短く、南の道は農道を歩く少し長めのルートです。分岐の看板前でモナに会い、モナは少しでも短い方がいいと北に行きました。私たちは道路の横を歩くのがストレスなので南へ。

歩くペースは本当に人それぞれ。私もカミーノに来る前に、目安としてエクセルで行程表を作成してきました。TMBでもJMTでも作っていましたが、これは完全に目安です。実際に来てみないと自分たちが1日に歩ける距離なんて分からないし、山道か、道路か、山越えはあるか、きつい下りか、さらには体調にも左右されます。

早起きして朝方4時や5時から歩き始める人や、私たちのように8時とか9時から歩く人もいて、実に様々。早起きして星空の下を歩き、早めに目的地に着いていいベッドを確保するモナタイプか、チェックアウト時間ギリギリまで寝て目的地に夕方に着き、アルベルゲ難民になる私たちタイプか…。

ガイドブックでは早めの出発を推奨している場合が多いですが、まだみんなが寝ている横でゴソゴソ準備するのもストレスですし、朝ごはんが無いと歩けない私にとってはバルが開く時間くらいのゆっくりスタートがちょうど良いです。人も少ないし、アルベルゲに早く着いても時間を持て余しちゃうし。

先日会ったヨシ君タイプだと、朝方早い時間から歩き始めて夕方まで歩くので、1日でかなりの距離を進むことができます。彼のようにただただ歩くのが好きで、アルベルゲには寝ること以外に何も求めないのであれば、かなりの短期間で完歩できるでしょう。あとはヨシ君のように長時間歩行に耐えうる強い足が必要。

自分で作成したエクセル表に従って忠実に歩くペイ・ジュンを見たマリアは、「毎日どこまで歩くか最初から決めてしまったら仕事みたいになるじゃない」と言っていました。これも、ペイ・ジュンに時間はないけど、マリアには時間があるという違い。私たちもわりと時間はあったけど、ヨーロッパ在住の彼女と違い、シェンゲン協定という期間の制限があります。7月もまるまるヨーロッパで過ごしたこともあって、10月末までにはシェンゲン協定国を出ないといけません。

この道のように、黄色い矢印に従ってずっと一本道かと思えば分岐があり、一瞬立ち止まってどちらに進むか考えます。どちらを選んでもきっと正解。我々の人生も選択の繰り返しです。自分で選んだことならば、仮に後で後悔したとしても、その時の自分にとってはベストな選択だったんだと思うようにしています。(そう思わないと人生後悔ばかりになってしまう…)

また、歩く目的が「宗教」のためではない人にとって、カミーノの魅力は「人との出会い」となるでしょう。仲間を作ることは楽しくもあり、自分のペースを乱すこともあります。面白いなあと思うのが、例えば休息日を設けて1日ずらすだけで、歩くメンバーがガラッと変わることです。カミーノには毎日世界中から巡礼者が集まってきます。なかなか一人になることは難しいですが、日々共に歩く顔触れが変わるのはリフレッシュにもなります。

気づけば残り300km。終わりが見えてきた気がします…!


松ぼっくりがネコ車いっぱいに積まれていました。

目的地の村に差し掛かると、私たちの前に白くうごめくものが立ちはだかりました。

羊の群れでした。羊飼いのおじさんと牧羊犬が誘導しています。

私たちの向かっているアルベルゲと同じ方向に進む羊たち。車道に出てからは羊渋滞が起こっていました。

途中から横の道に入っていく羊たち。ようやく普通に歩けます。

オスピタル・デ・オルビゴに到着です!マリアの言っていた「アルベルゲ・ヴェルデ」に行き、無事にベッドを確保出来ました。マリアにはやはり遠すぎたようで、明日ここに泊まるとメールが来ました。

ここのアルベルゲにはとても広い中庭があり、猫や犬がたくさんいて、ハンモックなんかもあっていい雰囲気。ただ、ちょっと私の苦手なヒッピーテイストな空気。

宿のスタッフから溢れ出るラブ&ピースの空気が私には若干重く感じ、夕食の時間まで夫と外をぶらつきました。ごめんなさい。

夕食・朝食は寄付制のベジタリアンメニュー。夕食はスタッフの演奏後、みんなで一緒に頂きます。驚いたことに、私たちのテーブルはベジタリアンやビーガンの人ばかり。みんなこの夕食を求めてここに来ていたんですね…!横に座った韓国人の女の子もビーガンで、何で私ここにいるんだろう…という気持ちになりました。

同じテーブルの皆さんがビーガンフードの話題で盛り上がっている中、ビーガンやベジタリアンに対する知識が壊滅的な私は、隣に座っていた韓国人のノラに色々教えてもらいました。
ノラ自身、動物愛護の観点からベジタリアンになり、その後健康の為にさらにストイックなビーガンになったそう。家族の中でもノラだけだそうで、自分の主義を貫く強さに感心しました。

優しいノラは、サムギョプサルが大好きな私に「韓国に来たら美味しいお店教えてあげるね」と言ってくれました。こういうノラのような他者への理解が、世界平和への第一歩なんじゃないかなと思いました。私も見習わなくちゃ。

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