スガ旅

夫婦で世界の大自然を歩いた旅の記録

私たちのカミーノ⑭

29日目

Cacabelos → Vega de Valcarce

朝7時過ぎに起床、周りの人たちはもう出発したようです。個室なので、周りの目を気にせず着替えも出来て、本当にいいアルベルゲでした。
8時前に出発。まだ星が見えていますが、もうすぐ夜が明けそう。

8時半に次の村に着いたのでとりあえず朝食。テラスでパンを食べながら日の出を見ていると、昨日知り合ったジョズエとアルベルタも通り過ぎて行きました。

次の村はビジャフランカという村ですが、道が二手に分かれます。道路沿いの道と、山沿いの道。私たちは道路沿いを歩きました。

ビジャフランカに着くと、反対の道を選んだ人たちをずいぶん追い越したようで、かなり早く進んだみたいです。猫がたくさん居たので少し立ち止まりました。


猫の行列。


ついてくる。

後ろからジョズエとアルベルタが来たので、村の中まで一緒に歩きます。

ジョズエから聞いた通り、アルベルタは常に何かを食べています。落ちている栗やクルミを拾って食べたり、木になっている実を食べたり、そしてとても幸せそう。2日前は落ち込んでいたけれど、この陽気なイタリア人たちのおかげですっかり忘れていました。

一緒に2回目の休憩。彼らはイタリア語で注文してもちゃんと通じます。

昨日に引き続き今日もご馳走になってしまいました。アルベルタに、次はどこで休憩する?と聞かれ、連絡先を交換。


子猫の兄弟。

ビジャフランカはとても美しい村でした。ジンから「今日サンティアゴに到着する」とメールが来ました。私たちとマリアに会いにバスで戻ってくると言うのですが、私たちとマリアは現在離ればなれ…。ジンは解決策を見つけてまた連絡すると言っていました。それにしてもめっちゃ早いな…。

マリアからも何度かバスに乗って私たちの所に来る、とメールが来ましたが、ある時は日曜日でバスがなかったり、ある時は私たちのいる所までのバスがなかったりで実現しませんでした。
私にも数日の間に感情のアップダウンがあったように、マリアの過ごした数日にも感情の起伏があったようで、メールの文面からそれが見て取れました。

マリアは最後の1週間は私たちと一緒に歩くことを望んでいましたが、私たちがマリアのためにどこかで待つのも何だか違う気がしていたし、何よりゴールまでにまた必ず会えると確信していたので、マリアを励ましながらいつも通り私たちのペースで進むことにしていました。

イスラエルから来たレウトとシーラに遭遇。彼女たちは昨日の監獄アルベルゲでも一緒で、アストルガからのスタートです。二人とも私より若いけれど祖国の行末をしっかりと考えていて、昨日の夜小一時間ほど話しただけで大好きになりました。歩くのがあまりにも遅いと嘆いていたので、念のため私たちの今日の目的地と、休憩予定地も伝えました。

ビジャフランカを出た後はずっと道路沿いを歩きます。同じ景色をだらだらと歩くので、夫も私も音楽を聴きながら。


栗の木。


イチジクの木。

道路を歩きすぎて疲労…。途中の村で休憩します。


ドアがかっこいい。

入ったカフェで巡礼者メニューを幸せそうに食べるアルベルタを発見。ジョズエはやっぱり逆流性胃腸炎のため食べません。


イタリアのクールマイユールで見た屋根と同じ屋根。

ジョズエたちを追い越す度に「ノ〜!」と叫ばれます。彼らの方が身軽なので、納得いかないみたいです。

「この村で一緒に休憩しよう」と言われた村に到着。先にコーヒーを飲んで30分ほど待ちました。

ジョズエたちも到着。私たちの目的地はあと1.5kmほどですが、ジョズエたちは5kmほど。もっと近くにしたら?と言うと、荷物を送ってしまったために行かなければならないそう。ポーターサービスのデメリットですね…。

ジョズエたちと別れ、私たちは今日の目的地、ベガ・デ・バルカルセへ。
村に入ると「朝食付き8€」の看板が目に入り、吸い込まれるようにそちらのアルベルゲへ。

アルベルゲのオーナーはマリアというかわいい女性で、とても優しい人です。部屋にはぎっしりと二段ベッドが並べてあり、東欧系の大人数グループと一緒になってしまいちょっとうるさい…。

シャワー後、村の唯一のレストランで晩ご飯。

ここがものすごく美味しいレストランで感動!今まで食べた巡礼者メニューの中でも一番でした。横に座っていたオーストラリア人ご夫婦とおしゃべりしながら食事して、オーストラリアのおすすめトレイル情報を教えてもらいました。イスラエル人のレウトとシーラも無事到着したようで、同じレストランで再会しました。

夜、寝袋に入ってから誰かのイヤホンからの音漏れが酷く、朝までずっと部屋中にトランスミュージックが流れていました。

30日目

Vega de Valcarce → Fonfria

朝ごはんは宿のキッチンにてセルフサービス。手作りのマフィンやケーキ、パンなどテーブルいっぱいに用意されていました。ノラも同じ宿だったようで、後ろから急に話しかけられ思わず「おはよー!」と日本語で返してしまいました。

歩き始めると先日モリナセカの宿で一緒だったフランクさんと再会。小さい身体で一生懸命歩く姿がかわいい。フランクさんはシリコンバレーの近くに住んでいるそうで、初対面の時は見た目から日本人かと思ってしまいましたが、日本語は話しません。本当に、見た目だけでは国籍はわからないものですね。


のどかな村々を抜けて行きます。

ラ・ファバからは登りになります。今日もちょっとずつ休憩して登り、一気に降りる予定です。山のてっぺんにあるオー・セブレイロで宿泊する人も結構いるみたい。

オーストラリアのママ友3人組に再会。会うたび、別れるたびにハグしてくる人たちです。

登り始めるとノラに追いついたので、しばらくおしゃべりをしながら一緒に登りました。話題は主に私たちの旅行やビーガンのこと。ノラから、ハン先生も奥さんと色んな国に行っていて、各地で無償で治療をしていることを聞きました。また、ビーガンでもこうやって800km歩けるんだから、肉や卵を取らなくたって栄養は十分取れるんだよ、と教わりました。でも私は韓国に行ったら絶対にサムギョプサルを食べたい、と言ったら笑っていました。優しい優しいノラ。

山の中腹で、しきりに巡礼者を呼び止めるイケメンに遭遇。彼はウクライナ出身のエリック。「振り返ってこの景色を見るべきなのに、みんな素通りするんだ…!」と嘆いていました。私たち夫婦とノラも足を止め、さらに後ろから来たフランス人グループも足を止めました。


エリックの見せたい景色。

「僕はしばらくここでみんなの足を止める任務に徹するよ」と言うエリックは、終始「足がクソ痛い」と連呼していました。


馬も通ります。

オー・セブレイロ直前の村で休憩していると、レウトとシーラもやって来ました。二人ともとても辛そう。まだカミーノ5日目くらいのはずなのに、シーラは足裏の水ぶくれが酷いらしく、靴を脱いで休憩。レウトは登りでは息が出来なくて苦しいと言っていました。
2人はユダヤ教なので、カフェに入っても食べられるものが限られます。漠然と、ユダヤ教とキリスト教は仲が悪いのかと思っていましたが、彼女たちのようにカミーノを歩いてみようと思う人たちもいるんだと驚きました。
宗教の話から、突然彼女たちに「仏教で好きな教えは何?」と聞かれ、私は「色即是空」を説明。私の拙い英語ではおそらく2%も伝わらず、「よく分かんないけど、深いね」と返されました。全仏教徒のみなさんごめんなさい。

オー・セブレイロに到着です。こじんまりして美しい村ですが、バスで観光客もたくさん来ていました。一生懸命登ったてっぺんにバスが止まっていると、何だか少しがっくり。

ガリシア州に入ったようです。カラフルな石碑に色々書き込まれていますが、こういった公共のものに直接何かを書き込む精神が分かりません。


お山の上に建つ巡礼者の像。

次の休憩場所を目指して山を下って行きます。

残り150km!ガリシア州に入ったのでタコ料理も楽しみ。

今日の目的地、フォンフリアに到着です。周りには何もなさそうな村なので、アルベルゲで夕飯もお願いしました。昨日の宿で一緒だった東欧系のグループもまた同じ部屋で、散々大声で騒いだ後にフランス人のマダムに「みんな休んでるんだから静かにしなさい!」と怒られていました。助かります。

夕飯会場は別棟にあり、長テーブルでみんなで頂くスタイル。夫の横には足がクソ痛いエリックが座りました。

夕飯はスープとお肉の煮込み、パンに米と嬉しい内容。

ウクライナではこんな山の風景を見たことがなかったと言うエリックに、モンブラン山群の写真を見せる夫。「Amazing!!!」を連呼していましたが、痛み止めを飲みすぎたのかどんどん呂律が怪しくなり、眠そうになっていました。


絶品のサンティアゴケーキ。

食事の後は大音量で音楽が鳴り始め、スタッフが踊りながらサンティアゴケーキを配るサプライズ。

その後も音楽は止まらず、謎のダンスタイムが始まりました。女将さんは色んな人をダンスに誘っていましたが、みんな相当疲れていたのか参加したのはまさかの2.3人…。ダンスに参加するパワーがゼロのエリックと私たち夫婦はこっそり抜け出しました。外に出るとフランクさんもいて、顔を見合わせて苦笑い。


「他の人より短い」と夫に指摘を受けた寝袋姿の私。

ノリが悪くて本当に申し訳なかったけれど、何だか風邪を引いたようで悪寒が止まりませんでした。昔から我が家が信仰している「改源」を飲み早めに就寝。

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