5日目
Chefchaouen
本当はシェフシャウエンに2泊の予定でしたが、色々な事がありすぎて疲れたので、宿を変えてもう2泊する事にしました。
バストイレが部屋に付いているホテルをBooking .comで検索し、ネット予約はせずに直接ホテルへ。ホテルが提示した金額がBooking .comより高かったので伝えると、一気に値段を下げて貰えました。
部屋でシャワーを浴びた後近くでランチを食べ、フェズまでのバスチケットを買うためにバスターミナルへ行きました。
こちらの窓口でも実にスムーズに発券してもらい、全くストレスなし。フェズ行きのバスは1日4本もあるみたいだったので、午後一番のバスを予約しました。
ムスタファのお店に行く途中道に迷ってキョロキョロしていると、ターバンを巻いた男性が親切に「広場はあっちだよ、どこに行きたいの?」と話しかけてくれました。私たちが日本人だと分かると、「僕のお店には日本人がいっぱい来るんだ!ちょっと来て!これを見て!」とあれよあれよと店の中へ。
彼が取り出したのは、大きな一冊のノートブックで、そこにはたくさんの日本人からのコメントが書かれていました。私たちがノートブックに目を通している間にお茶を入れてくれて、2階にある彼の家(?)に招待されました。
彼の名前はアリ。彼もまた絨毯屋でした。彼のノートブックに書かれた日本語の情報から推測するに、彼は頻繁に日本人観光客に手料理を振る舞っていること、砂漠ツアーの斡旋も行っていることが分かりました。
部屋中に積まれた絨毯を広げ始めそうだったので、実はもう昨日買ってしまったから買えないんだ、と言うと、急に元気がなくなるアリ。「いくらだったの?」と聞く彼に昨日買ったものと値段を言うと、「…悪くないね…」とさらに元気がなくなるアリ。
申し訳ないな、と思っていると、「今日の夜ここにご飯を食べにおいでよ、僕が作るから!」と言われ、いくらなんでも悪いよと言うと、「ベルベル人はおもてなしが大好きなんだ、遠慮しないで9時にここに来て!」と言うアリ。夕飯9時か…と思いながらも何だか面白そうなので、9時にまた来る約束をして別れました。
寄り道してすっかり遅くなってしまったけれど、一応ムスタファの店にたどり着きました。彼は留守にしていて、彼の仕事を手伝っている男性がムスタファに連絡をしてくれました。予想通り郵便局はもう閉まっているから明日郵便局に行くことになりましたが、ムスタファが車で迎えに来てくれ、山の上にあるホテルに連れて行ってくれました。
ホテルからの景色。「あの山には登れるの?」と聞くと、「登れるよ!山の上には大きな大麻畑があるよ!」と言われ、登るのをやめました。
彼の第一夫人の息子と第二夫人にも挨拶し、ホテルのバーで景色を見ながら謎のお茶タイムを過ごしました。
イスラム教では奥さんを4人まで娶れるそう。何だかもう世界が違いすぎて全部が映画みたい。
この後フェズに行くというと、彼の知り合いの会社がフェズにあり、スタッフに日本人女性もいるからそこで砂漠ツアーの相談をしなさいと言われました。
「フェズに着いたら色んな人から砂漠ツアーの勧誘があると思うけど、しっかりと会社を構えていない奴らばかりだ。そういうツアーは一切責任も取らないから、きちんとした会社に頼んだ方がいいよ」と言って、さらにフェズで妹がマネージャーをしているというリヤド(邸宅ホテル)も紹介してくれました。
明日一緒に郵便局に行く約束をして別れ、ホテルに戻って休憩した後再びアリの店へ。忙しいな…
到着するとすぐに晩ごはんのタジンの準備を始めるアリ。私たちは待っているだけ。
汲んできた水を使って野菜を洗い、器用に手際良く野菜を切っていきます。ほぼ毎日自炊しているそう。
もうすでに美味しそう。
最低限の道具だけで料理をする彼を見て、私たちのキャンプ道具なんて彼から見たら要らないものばっかりなんだろうな、と思いました。
本当はチキンタジンを作りたかったけど、鶏肉が手に入らなかったので今日は挽肉を使ったタジンケフタだそうです。
「ヴォアラ〜」と言って蓋を開けると見事なタジンケフタが完成していました。
3人でパンをちぎり合い、黙々とケフタを食べました。今まで食べたどのレストランよりも美味しい…!
お腹が膨れた所で、恐らく本題の砂漠ツアーの話が始まりました。
アリが言うには、アリはもともとサハラ出身のラクダ使い。今はサハラに住んでいる家族が砂漠ツアーを行っているそう。「ほとんどの会社が1泊2日の夕暮れ・日の出ツアーを行なっているけれど、それではサハラを満喫出来ない。本当に楽しむなら3泊はして欲しい」というアリ。
私たちは完全ノープランでモロッコに来ていたため、砂漠で3泊も過ごせるのはかなり興味がありました。
近くの絨毯屋のムスタファに日本人スタッフのいるツアー会社を紹介されたよ、と言うと、「ああ、彼はマフィアだから気をつけて」と衝撃的な言葉が飛び出しました。
彼の紹介の会社は日本人スタッフもいるし、トリップアドバイザーで見ても高評価の会社だったので恐らくそんなことはないと思いますが、ムスタファはお金があり、奥さんが2人もいること、アリの家は言っちゃ悪いけどこんなに小さくて結婚していないことから格差を感じました。
誰が本当のことを言っているのか、昨日のバスのおじさんも含めて誰が善人なのか、恐らくモロッコ旅行で疲れるのはこういう所なんだろうな。
15年ほど前に姉と二人でインドを旅した時も、初めの1週間は全ての人を疑っていましたが、2週間目には人を疑うことに疲れ、直感を頼りに心を開くと見え方が変わってきたことを思い出しました。
モロッコ人もきっと同じ、恐らくそんなに悪人はいないし、ただただ自分のところで客を囲いたいだけなんだと思います。絨毯はムスタファの所で買ったことだし、砂漠ツアーはアリにお願いしようかなと思いました。
アリは金額の話は出さないまま、「チキンのタジンを食べさせたいから、明日の夕ご飯もまたうちに来て!その時ツアーの詳しい話をしよう!」と言われ、帰路についたのでした。
6日目
Chefchaouen
嬉しいことにこちらのホテルは朝食付き。屋上のカフェで朝ごはんをいただきます。
ホテルの部屋の天井に、メッカの方向を示す印が。イスラム社会ならではの気遣い…!
荷物を送るためにムスタファのお店に行くと、彼は留守だったので待たせてもらうことに。
しばらくして彼が帰って来たので、一緒にタクシーで郵便局へ。色々と局員に説明をしてくれて、680ディルハムで日本へ送れることに。
住所を書いている間、その郵便局員の携帯電話が鳴りまくり焦りました。着信音は「ミッション・イン・ポッシブル」のテーマでした。
ムスタファは、「並ばずに安い値段で送るようにしてもらったから、彼にチップで100ディルハム渡して」と言われたので渡し、結局安かったんだか高かったんだか分からなくなりました。
ムスタファにはフェズに着いてツアーが必要だったら紹介してもらった所に行くよ、と言い、お別れしました。シェフシャウエン滞在中毎日会っていたムスタファ。本当にマフィアだったのでしょうか。とにかく荷物が無事に届けば何でもいいです。
夕方までホテルでゆっくりして、夜にアリの家へご飯を食べに行きました。
今日はチキンが手に入ったらしく、チキンタジンを作ります。
彼の料理は本当に絶品です。お店出した方がいいよ、と言うと、「日本にお店を用意してくれたらシェフになるよ!ビザと住む場所もよろしくね!」と言っていました。
砂漠の入り口であるメルズーガからの1泊2日の砂漠ツアーの相場は30〜40€ほど。前まではサハラ砂漠内にラグジュアリーキャンプがたくさんあったそうなのですが、最近は砂漠内のキャンプが全て禁止になったため、砂漠の外側のキャンプから少し中に入って夕日を見てキャンプ地に戻り、日の出を鑑賞して帰ってくる内容だそうです。
アリの提案するツアーは、
1日目)キャンプ地付近でラクダに乗って夕日を見た後キャンプ地に宿泊。
2日目)ラクダに乗ってサハラの奥地に進み、アルジェリアとの国境付近にある「ノマド」の家でキャンプ。
3日目)ラクダに乗って戻りつつ、砂漠内でピクニックしてゆっくりキャンプ地に戻り、宿泊。
というプラン。アルジェリアの国境付近まで行けるなんて、とっても魅力的!
アリは「本当は2人で3泊4日のツアーで400€だけど、370€にまけてあげる!君たちいい人だから」と言いましたが、絨毯で既に散財してしまった私たちはもう少し値切りたい…。
300€までしか出せない、と言うと、アリはお父さんに聞くと言って電話をかけ、電話を私に代わりました。お父さんに、「3泊4日、300€で可能ですか?」と聞くと、全く悩まずに「問題ないよ」と言われ、あっさり70€を値切ることが叶いました。
これも高いか安いかは行ってみないと分からないけれど、とにかく念願のサハラに行ける!
前金として半額の1500ディルハムをアリに渡し、アリ、アリのお父さんと連絡先を交換して、逐一連絡が取れるようにしました。
シェフシャウエンでの日々は予想以上に濃い4日間となりましたが、美味しいモロッコ料理も食べ、絨毯も買い、砂漠の手配も済んで大満足。思いのほか出費がかさみましたが、夢にまで見た念願のモロッコです。ここはとことん楽しもうと思います。
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