スガ旅

夫婦で世界の大自然を歩いた旅の記録

私たちのモロッコ探検記⑦【メルズーガ(サハラキャンプ)】

13日目

昨晩はアジズが私たちに毛布を4枚もかけてくれたため、朝までぐっすり眠れました。彼は毛布1枚で寝ていました。


私たちの寝たテント。

寝癖をつけたまま外に出るとアジズがもう起きていて、私たちを見るなりすぐに朝食の準備を始めてくれました。

荒野にブランケットを敷いてちゃぶ台を出し、優雅な朝食タイム。
昨日ラグジュアリーキャンプでランチをした時は、快適すぎてこのまま泊まりたいと思ってしまいましたが、荒野の中でぽつんとちゃぶ台を囲むなんて、これこそ贅沢キャンプ!負け惜しみじゃありません。

朝食をいただいた後、出発です。お世話になったお母さんにお礼を言ってチップを渡しました。お母さんは私の手にチュッとキスをしました。

ノマド家の近くに水が湧いている場所を発見。他にも井戸のあるところがありましたが、井戸水に砂が入っていたりするので、砂漠の民は自分のターバンを口に当てて濾過して飲んでいるようです。

砂漠の奥まで来たせいか、周りには観光客の姿が見えません。見渡す限り、サハラの中に私たちだけ。

前日のタイヤ痕や足跡は風が消し去ってくれたのか、なめらかで美しい砂丘を歩きます。

風紋と言うのでしょうか、一晩のうちに自然が生み出す芸術ですね。本当に美しい。

ここで、夫が乗っているラクダのジミーがストライキを起こしました。どうしても砂丘を登りたくないようで、鳴きながら嫌がっています。
私たちは一旦ラクダを降り、徒歩で砂丘を越えることに。ラクダたちはアジズがだましだまし進ませて、砂丘を越えるよう。

サラサラと滑る砂丘を越えるとまた大きな砂丘が見えました。山登りより大変だな…。

遠くでアジズがラクダに悟られないよう、低い丘を越えようとしています。

ジミーとバラクも砂丘を越え、しばし休憩。ラクダの座り方が愛おしい…。


遠くで一服するアジズ。

急な下り坂だったので、夫がジミーを誘導。立派なラクダ使い!

午後2時ごろ、ラグジュアリーキャンプ跡地に到着。排水管やケーブルなどが散乱していましたが、井戸や木陰がありました。アリのお父さんのアフメッドがバギーで先回りして、昼食を持って待っていてくれました。

ラクダたちも自由に食事休憩となり、各々お気に入りの草を食べに行きました。アジズは私たちのランチを出した後、近くの井戸で着ていた衣装やターバンの洗濯を始めました。自由…!

夕方までここで過ごすようなので、昼寝。静かで涼しくて気持ちいい。

アジズが「お茶飲む?」と聞いてきたので、飲みたい!と答えると、枝を拾ってきて火を起こし始めました。

私はモロッコのお茶が大好きです。「ベルベルウィスキー」と言って、お酒を飲まない彼らが一番よく飲むお茶。普通の紅茶にでかいブロックの砂糖を沈めて沸かしたものです。こだわる人は色んなハーブも入れたりしています。ミントとか。

サハラの火の神と池袋の火の神が夢の競演…!夫は「俺今サハラ砂漠で焚火してる…!」と死にそうなくらい幸せそうでした。


気づくとすぐ後ろにいたバラク。

アジズに、ラクダ使いの仕事は好きかと尋ねると、「世界中の人と会えるし、世界中の言葉を学べるし、大好きだよ。家族は他の仕事に就けって言うし、弟はカムカムキャンプ(昨日のラグジュアリーキャンプ)で一緒に働こうって言うけど、キャンプで働けば客室の清掃やスーツケース運びもやらないといけない。俺にはフリーでラクダ使いをやってる方がずっといいんだ。」と言っていました。

アジズは、今まで会ったモロッコ人とは少し毛色が違いました。欲がなく、満ち足りてるというか、余裕を感じるというか…。砂漠でゴミが落ちていたら拾うところも、モロッコ人らしくない。(失礼)

井戸で洗濯した衣装は砂の上で天日干しをして、食器を洗った後は私たちとお茶をしながらおしゃべりしたりして過ごしました。すごくいい距離感。
今度は自分のテントを持ってきてキャンプしたいな、その時は絶対アジズと一緒に。

日が傾いてきた頃、初日のキャンプ地に向けて出発です。ちょっと寂しい。

キャンプ地まではまだかなり距離があります。見渡す限りずっと砂漠。

帰り道、ラグジュアリーキャンプについて考えていました。つい最近から砂漠内でのキャンプが強制退去となったおかげで、なるべく人工物を見ずに、人にも会わずに静かに過ごすことが出来ました。
今まで長い間砂漠キャンプを営んできた方々には大打撃だろうし、そこで働いていた人たちも仕事がなくなり苦しいと思います。でも、個人的にはこのタイミングで来られて良かったと思いました。
思い描いていたサハラ砂漠にホテルのように快適なキャンプがたくさんあったら、きっとまた来たいとは思わなかっただろうな。
観光客の立場から、快適さは町で求めるべきだと思うし、美しい砂漠はそのままの姿で守って欲しいと思いました。

暗くなって来ましたが、まだまだ辿りつきません。このまま夜になって月明かりで歩くのもいいなあ。

と思ってたら、本当にこのまま日が暮れました。アジズは砂漠を知り尽くしているので全く怖くありません。

「月の砂漠」を頭の中でリピートしながら、贅沢なひと時を噛みしめていました。太陽が完全に沈み、星が見え始めます。月が明るいので満天の星空とまではいきませんが、本当に来て良かった。モロッコに来て良かった。アリに会えて、アジズに会えて良かった。

8時前、キャンプに到着!遅くなったのでアフメッドが心配して外まで探しに来ていました。
夫からアジズに感謝の気持ちとして多めにチップを渡しました。アジズとの2日間は本当に最高でした。絶対にまた来ます。

キャンプには新しいお客さんが来て焚き火を囲んでいました。フランス人女子の3人組で、話しかけてみるととっても気さくでいい子たちでした。

一緒にご飯を食べることにしてまたテーブルをくっつけます。「ラクダどうだった?」「お尻痛くなかった?」とやたらと乗り心地の心配をしていました。
私が「アジズ!」と呼ぶと、フランス女子が異常に反応して大爆笑。聞くと、映画「フィフス・エレメント」でのワンシーンで、アジズという少年に"Aziz, lumière!!"(アジズ、明かりを!)と言うシーンがあるとかで、その後誰かが「アジズ!」と呼ぶたびに「リュミエール!!」と言ってゲラゲラ笑う3人娘。
何回観たの?と聞くと、好きすぎて400回は観た、と言っていました。

食後はお茶をいただき、焚き火を囲みながらアジズたちの演奏を聴きました。隣のキャンプとジャンベを共有しているらしく、隣のキャンプの演奏が終わるまでみんなでなぞなぞを出しあって盛り上がりました。
また奇遇なことに、3人娘は昨日までトドラ渓谷に滞在していたらしく、ジュリオたちのガイドでクライミングも楽しんだとのこと。絶対やった方がいいよ!と言われ、挑戦することに決めました。

夜中の0時頃までみんなで楽しんだ後、テントに戻り仮眠です。明日の朝7時半のバスでトドラ渓谷に向かうため、アフメッドが7時に迎えに来る予定です。

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