スガ旅

夫婦で世界の大自然を歩いた旅の記録

私たちのモロッコ探検記⑨【トドラ渓谷】

16日目

Les gorges du todra

今日は午後からクライミングなので、午前中にティネリールの町までお金をおろしに行きました。ここトドラ渓谷にはATMはありません。

ホテル前に出て町に行くタクシーや乗合バスを待っていましたが、なかなか来ず…。見かねた宿のスタッフが車で送ってくれた上、お金を渡そうとすると断られました。優しい…!

午後は待ち合わせ場所のトドラ渓谷へ。同じ宿のイギリス人青年3人組は午前中から登っていて、私たちはまずジュリオが開拓したビアフェラタに挑戦することに。


カメラを向けると余裕のポーズ。

ガイドしてくれるのはフランス人のオーシャンです。
ビアフェラタは、梯子や人工の足場を使って岩によじ登るもので、ハーネスとカラビナも使用しながら安全に上を目指します。

とはいえ、下を見るとけっこう怖い…!

ボルダリングの経験はあるものの、屋外でこんな高さの岩に登るのは初めてです。

この後はクライミングが控えているけど、正直これだけでもう十分なくらいスリル満点で疲れました。

下りはハイキング気分で降ります。オーシャンは片手にリンゴを持ってかじりながら余裕で降りていきます。かっこいい。

ジュリオたちのいるカフェまで戻る途中、クライミング装備で歩いていると、たくさんの観光客に「写真撮ってもいい?」と聞かれました。オーシャンは毎日のことでうんざりしているのか、全て断っていました。かっこいい。

途中でオーシャンに話しかけてきた男性がいて、後から聞くととてもしつこく付き纏われているんだとか。「ヘルメットしてロープを持ってこんなに汚れた私に『君は美しいね』なんて言ってくるのよ、彼らはみんなフランスに行きたいだけなの。私に興味があるんじゃなくて、私の国籍を利用したいだけなのよ」と言っていました。

最強と言われる日本のパスポートを持っている私たちにはピンと来ませんが、モロッコのパスポートでビザなしで行ける国は限られます。
モロッコで出会った人々に、気軽に「日本においでよ!」なんて言っていた自分が恥ずかしくなりました。
アリも、「君が日本での働き口や住居、ビザの手配をしてくれたらいつでも日本で料理を作ってあげられるのに」と言っていたのを思い出しました。
フェズで会った少年も、大学で勉強した後はフランスに行って働きたいと言っていたし、みんな国を出ることに意欲的、いやむしろ、国を出ないと稼げないように感じます。立憲君主制の国の内情はよく分かりませんが、アリは金持ちはより金持ちに、貧乏人はより貧乏に、という政治が生活を圧迫していると話していました。
ほぼ世界中の国にビザなしで旅行出来る日本人は、本当に恵まれた環境なんだなと再認識。旅に出て得るものは大きい。

次にオーシャンとハイキングの話になり、「ツブカル山は行った?」と聞かれたので、昨年ツブカル山の近くでテント泊をしていたハイキング客二人がテロリストに斬首された事件があったので、心配だから行かなかったんだと話すと、「今はセキュリティもしっかりやっていたから大丈夫よ!とても美しい所だったわ。あの事件はショックだったけど、普通に考えて治安もわからない場所で女の子二人で野宿するのはそもそも危険よね」と言っていました。
モロッコ人にも大変ショックな事件だったそうですが、当人の危険を回避する判断も甘かったんだな、と気が引き締まりました。
北アフリカ最高峰のツブカル山、次回は是非登ってみたいな。

ジュリオたちと合流し、今度はクライミングに挑戦です。トップロープと言って、まずはジュリオやエミリー、オーシャンがコースを選び、上まで登ってロープをゴール地点に通し、降りてきます。
ロープの片方は自分のハーネスに固定、もう片方はビレイヤーが操作します。


エミリーにロープの結び方を教わる夫。

トップロープは高校生の時に何度かクライミングジムで登ったことがあるのですが、屋外、しかもこんな絶壁でやるのは初めてです。ビレーはエミリーがやってくれるので、彼女を信じて這い上がります。

登ってみると、岩はザラザラしていてチョークがなくても滑りにくく、足場も見つけやすい。ロープで確保されている安心感で、割とスイスイ登れました。

ボルダリング経験のおかげかエミリーの社交辞令か、「素晴らしいわ!何も言うことはないわ!」と褒めてもらって上機嫌。

夫にとっては初めてロープを使ったクライミングですが、夫も楽しいようでスイスイ。

クリアするごとに場所を変えてくれて、計4本か5本くらい登れました。だんだん難しくなってくると、ジュリオが横まで登ってきて「ここに足を置いたらいい」とか助言をくれるのですが、彼はロープなし、しかもスリッパを履いただけなので見てるだけでヒヤヒヤします。全く怖くないんだろうな…

日が暮れるまで楽しんで、みんなで宿に帰って晩ご飯。やってみるまでは恐ろしかったけど、エミリーがしっかりとビレーしてくれて、さらに多少引き上げてくれたおかげで達成感も十分!楽しかった〜。

明日はトドラ渓谷を出て、ワルザザートで一泊する予定です。モロッコ旅も残すところわずか。滞在2週間強でも全然足りません。

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