DAY8
宿のロビー。
今日は姉が帰国する。札幌行きの便が夜だったので、一日イスラムツアーをすることにした。
姉妹でMatadorを愛用。左が私のSEG28、右が姉のGloberider45。
まずは宿からGrabで10分くらいの場所にある、マレーシアイスラム美術館へ。入り口で荷物を預かってもらえたので助かった。
マレーシアイスラム美術館。
このマレーシアイスラム美術館は、東南アジア最大のイスラム美術館として1998年にオープン。大人は20RM(600円くらい)。
ちょうど特別展示で「イスラム美術をめぐる旅」という展示をしていた。興味津々!
8世紀から近現代までの作品が美しく展示されている。
絵画や織物など様々。
かっこいいなと思う絵も
よく見るとアラビック?
見ても何がなんだか分からないけど、かっこいい。これがカリグラフィというのだからさらにかっこいい。
見れば見るほどアラビックに興味が湧いてくる。読みたい、書けるようになりたい。
そしてふと気づく。カリグラフィはたくさんあるけど、動物や人物などモノの描写がない。イスラム教の教えと関係あるのかな?
模様の中にしっかり文字が。
かっこいい!全部文字だよ!
このテイストは大好き。
上の階に移動すると、今度は世界中のイスラム建築の模型が…!何ここ楽しい!!
とんでもなく美しいよ…!
ミナレットが1本だったり4本だったり、国によって様々。
これはマリにある「泥のモスク」と呼ばれる"Great Mosque of Djenné"。何か見たことあると思って夫に写真を送ると、「高校生の時に行ったことがある」とのこと。お義父さんのお仕事でアフリカに滞在中連れて行ってもらったんだとか。いいなあ。
土づくりのシンプルなものもあれば、
こんなに豪華で大きなものも。模型でも十分世界旅行しているみたいで楽しい!
美術館の天井。イスラム建築は本当に細部まで美しい。
手書きのコーラン。文字以外のスペースが全て美しい装飾で埋め尽くされていて圧倒された。
他にも陶器などの工芸品が展示されている部屋があったり、ジュエリーなどの装飾品が展示されているところがあったけど、私たちは建築とカリグラフィでもうお腹いっぱい。それだけで午前中が終わってしまった。
「イスラム」と聞くと、宗教のことばかり先行して考えていたけど、「イスラム文化」について考えるきっかけとなる展示だった。もちろんイスラム教ありきの文化なんだけど、ここに来なかったら「イスラム文化」単体を考えることはなかっただろう。
次に向かったのは通称ブルーモスク。正式名称はスルタン・サラフディン・アブドゥル・アジズ・モスク。長くて覚えられないので、観光客は皆ブルーモスクと呼んでいる。
見学時間は決まっている。中に入るにはツアー参加が必須だが、なんと無料。礼拝時間の間を使って館内を説明しながら案内してもらえる。
少し時間があったので、近くのアラブカフェで昼ごはん。
骨つきチキンを注文。飲み物はセルフ。
カフェのお兄ちゃんも、お客さんのお姉さんも、「マレーシア、どう??」と日本人である私たちの感想に興味津々。
いろんな宗教や人種や文化が一つの国の中で多様に混ざり合って共存しているのがすごい!とってもユニークで、これこそ平和の在り方だと思って感動したよ、と言うととても喜んでいた。
時間になったのでモスクに移動。モスクに書いてある文字はコーラン。
入り口に行くと、何と見学希望者はほとんど日本人!あとは中国人が1組、韓国人が1組ということで、日本語ペラペラの方がガイドをして下さることに。
受付で靴を脱ぎ裸足になり、ヒジャブ(髪の毛を覆い隠すもの)とローブを貸してもらい、肌を隠す。バックパックは受付で預かってもらえた。
ムスリムは礼拝の前に心身ともに洗浄する。これをアラビア語で「ウドゥー」と呼ぶ。
観光客の私たちには無理強いさせず、「洗いたい人は洗ってください」ととても寛容だった。洗い場がこんなに立派だなんて知らなかった。そして、1日5回の祈りの前に毎回このような儀式を経ているのも知らなかった。
内部はピカピカの大理石。裸足がとても気持ちいい。
隅々まで綺麗。雑巾掛けとかするんだろうか。
礼拝堂はびっくりするほど広い!等間隔でファンも備え付けられ、とても快適。
ブルーモスク一番のフォトスポット。うっとりする。
イスラム教の勉強ができるクラスも。
ガイドさんはイスラム教について、イスラム教じゃない私たちに親切丁寧に説明してくれた。私たちがイメージしていたイスラム教は、あまりに遠く、事件が起こった時にニュースで目にしたりとネガティブな印象が多かったけど、それは身近にないものに対する恐怖心からくるものだ。これだけじっくりと見学させて頂き、説明をして頂き、見学が終わると友好的な感情だけになっていた。
「祈る」という神聖な場所に立ち入らせて頂き、貴重な体験となった。
次のモスクに向かうGrabの中では懐かしのブリトニースピアーズのPVを見ながら移動。かわいいな〜。
次はさらに空港に近づいて、通称ピンクモスクへ。正式名称はプトラモスク。
ローブのレンタル受付。
こちらは受付でローブを借りて中に入ることができる。ブルーモスクと違い見学は自由だけど、荷物を預けることができないので姉と交代で中に入った。
靴はもちろん脱ぐ。
赤いローブが観光客用のローブ。貸してくれるのはもちろんありがたいが、こういう場所にも関わらずマックス露出で来る人もいてびっくり。宗教施設なのにな…。
永遠への旅。「You are here」がかなり序盤で驚いた。
宗教によって死生観が違う。「死んだらどうなるのか」はあまり考えたことがなかった。
科学が進歩するまで、人々は死後の世界をいろんな形で想像してきた。きっとそれが宗教に関係しているのかなと思う。
科学が進歩した現在でも、全て科学で片付けるのはあまりにも味気ない。宗教によって慈しみが生まれたり、心が平穏になったり、理不尽な出来事にも耐えうる力を手に入れられたんではないだろうか。人を思いやる気持ちは本能だろうか。宗教によって生まれた感情だろうか。
私自身は仏教徒と言えるだろうか。いや、きっと違う。神社でお参りもするしクリスマスにカトリック教会に行くこともある。私は何を信じているんだろうか。人々の祈る先には何があるんだろうか。
様々な湧き出る疑問と感情を胸に、ピンクモスクからGrabで空港へ。姉がゲートに入るまでまだ数時間ある。
フードコートで最後の晩餐。マレーシア名物のもやし料理を初めて注文。何だか食べ慣れた味でホッとする。
チキンライスはちょっとイマイチで、バンコクで食べたカオマンガイが一番だったなと思い出す。
いよいよ姉、帰国の時。
帰ったら毎日顔を合わすのに、濃厚な1週間を二人で過ごしたせいなのか、なぜか二人とも泣きそう。
楽しかったね、気をつけてね、ありがとう!とお互い抱き合い、姉はゲートへ。
ここからは完全一人だ。気を引き締めて行こう。
まずはホテルまでのシャトルバスが出ている近隣のホテルに行かねば。結構道に迷いながらも何とかホテルに到着。
ここのホテルからシャトルバスが出ている。フロントで申し込みをして、シャトルバスを待つ。
バスが来て乗り込む直前、前に並んでいた女性に思い切り中国語で話しかけられる。
"Sorry?"と返すと、あっ!と言う顔をしてから英語で話しかけてくれた。私のことを中国人だと思ったみたい。
バスに乗り込み、人懐こい笑顔の女性は私の横に座った。
彼女はマレーシア人で、私にマレーシアの旅はどうだったかと聞いてくれた。この間別の人にも答えたように、多民族多文化多宗教がとても興味深くて最高だったと答える。
マレーシアでは何を食べたのかと聞かれ、中華料理、インド料理、あとはナシレマも食べたよ!と答える。
「ニョニャ料理は?」彼女が言った。
ニョニャ料理って名前は聞いたことあるけど、どんな料理なの?と聞いてみる。
「ニョニャ料理は、中華系の人とマレー系の人が結婚して生まれた料理よ!マレーシア料理でもなく中華料理でもない、全く新しい料理なの!」
え…めちゃくちゃ気になる!どこに行ったら食べられるの?と聞くと、マラッカの方で食べられるんだとか。
彼女はマラッカに住んでいるので、「次回はぜひマラッカに来て!案内するから!」と連絡先を教えてくれた。
日本は今寒いの?と聞く彼女に、夫が山で雪板を滑っている動画を見せてあげた。彼女はふかふかの雪の映像を見て喜んでくれた。
姉と別れて少しの不安を抱いていたけど、一気に笑顔になった。一人旅が始まった!と気分がとても高揚した。
バスに揺られて20分ほどでホテルに到着。チェックインと一緒に翌朝のシャトルバスの予約も済ませ、マラッカの彼女に別れを告げて部屋に行く。
部屋はベッド1台とバスルームも付いていて、十分な設備だった。シャワーを浴びて手洗いで洗濯し、ベッドに入る。
今まで訪れたイスラム圏の国々は、トルコ、モロッコ、エジプト、インドネシア。
マレーシアは、そのどこよりもイスラムを身近に感じられる旅だった。ありがとうマレーシア、明日からいよいよカンボジア旅が始まる。
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