スガ旅

夫婦で世界の大自然を歩いた旅の記録

私たちのJMT(ジョンミューアトレイル)⑥

11日目(DAY125)

Upper Vermillion-VVR-Mono Creek(1.1マイル/1.7km)

朝9時45分発のフェリーでバーミリオンバレーリゾート(VVR)に行くので、7時過ぎに起床。
標高が1,000m近く下がったせいか、凍えずに朝までぐっすり眠れました。

朝ごはんのオートミールを食べていると、続々とハイカーたちがやって来ました。みんなVVRに行くハイカーたちです。

キャンプしていた場所から150mほど行った所にフェリー乗り場があるので、9時にはみんなそちらに移動(早い…!)。

30分ほどぼーっとして待っていると、フェリーがやって来ました。生き返ったようにキラキラした表情のハイカーたちが続々と船から降りてきて、飢えた獣のような私たちを見て「Enjoy!!」とさわやかに去って行きました。

12人で船に乗り、9時45分きっかりにいざ出港!昨日声をかけてくれたご夫婦が船長に、「この子たち、昨日あと2分早ければってところで船に乗り遅れたのよ!」と紹介してくれ、みんなから「Oh...それは残念だったね…」と慰められました。

20分程でVVRに到着。到着後、ウェンディというハイカーヘルパーが施設の説明をしてくれました。
ウェンディは軍隊上がりみたいなリーダーっぷりで、これからまさにブートキャンプが始まりそうな勢いでした。

「PCTハイカー・JMTハイカーは1泊目のキャンプは無料。水は濾過しなくても飲める綺麗な水よ!
ランドリーとシャワーはそれぞれ7ドルずつ。受付でトレイルネームかリアルネームを登録して、スルーハイカーは1本無料のビールかジュースをゲットして!バッテリーやケータイの充電はそこの電源を使って!」


"Next beer 163.4mi."の案内が。

何てハイカーフレンドリーな施設!
早速夫と飲み物を選び、私はポテチとコーラ、夫はビールを手に受付をしました。今日中にトレイルに戻らなくてはならないけど、シャワーとランドリーを使いたいと言うと、洗濯洗剤とバスタオル、シャワー用のトークンをくれました。お会計は基本的にチェックアウト時に一括なので、フェリー代やショップでの買い物、カフェでの食事も後でまとめて一括払いです。

夫が、「今日、ゼロデイ(歩かない日)にしてもいいかもな〜」とぽつりと言ったので、私もその気に。キャンプ場も無料だし泊まって行きたい!


シャワー用のトークンと洗剤。シャワーは8分。

そこに同じくJMTハイカーのスコットが話しかけてきました。スコットは昨日、私たちがフェリー乗り場に向かって走っているのを目撃して、「急げ!」と声をかけてくれた人。彼は昨日早々にフェリーを諦め、今朝一緒の便でここに来ました。

去年もここに宿泊したらしく、本当に素晴らしかったからまた来たんだ、と言っていました。夜はハイカーは無料のBBQもあるとか。
ベアクリークトレイルという別のルートがとてもいいので、そちらを通ってJMTに戻るよ、と言っていました。私たちがフィッシュクリークトレイルでプチ遭難した事を話すと、絶対に行かない!と言っていました。
「JMTに来たきっかけは?」と聞かれ、映画「Wild(原題)」(邦題「わたしに会うまでの1600キロ」)を観たんだ、と話すと、「じゃあ君もお母さんを亡くしてドラッグ漬けだったんだね」とジョークを飛ばされました。いやいや、私の人生は至ってノーマルだけど、この映画のおかげでアメリカにロングトレイルがあることを知ったんだ!と伝えました。

スコットはショーンコネリー似の素敵なおじさまで、映画に出てますよね?と言ったら笑っていました。

いい出会いもありますます泊まりたくなってきたけれど、今後の行程も不安。夫と相談し、昨日の下山くらいのスピードが出せるなら泊まってもいいよ、と言われ、諦めることに。絶対にもう走れない…。

という訳で、せめて歩いてJMTに戻ることはなしにして、午後のフェリーでトレイルに戻ることにしました。

帰りのフェリーの時刻までに全ての準備を完了すべく、シャワーを浴びて洗濯を回している間にランチを食べ、乾燥機を回します。

ランチに食べたハンバーガーがものすごいボリュームで、1/4だけ残してしまいました…。残した分をベアキャニスターにどうにか入れられないか考えましたが、諦めました。

食糧のチェック中、ストアの前にハイカーボックスを発見。ハイカーボックスとは、食糧や日用品をリサプライしたけれど、ベアキャニスターに入りきらなかったり持ちきれなかった場合にこの中に入れ、他のハイカーに譲りますというありがたいボックス。中を見てみると新品のフリーズドライフードが3袋も!
味にはずれなしのマウンテンハウスのフリーズドライは一袋10ドル〜15ドルほどするので、40ドルほど節約出来ました。

他にもハイカーのみなさんが自作したであろう食べ物がジップロックに入った状態でたくさん入っていましたが、何なのかわからなかったため市販の袋に入っているものだけ頂戴しました。

ここから10日間は無補給になるので、ショップでガスを1缶とフリーズドライ食をもう3食、あと目に入ったミニドーナツと一回分のココアを一袋買いました。

今朝一緒のフェリーに乗ったみんなはここにステイするらしく、ここを行程に組み込まなかった自分を激しく責めました…。あと1日余分に行程を組んでたら本当に泊まりたかった。素晴らしい施設。

後ろ髪を引かれながら、VVRを後にします。さようなら、VVR。私に元気をくれてありがとう、VVR。

昼に食べたハンバーガーがもたれて、軽く吐きそうになりながら乗船。太田胃散を飲んだけど一向に効かず…。

元のフェリー乗り場に近づくと、これからVVRに向かうハイカーたちがたくさん待っていました。みんな今日泊まれるんだね、最高だね、羨ましい。

フェリーを降りると、待っていたハイカーたちが皆「Happy trails!!」と声をかけてくれました。
私も今朝乗船する時に言われたように「Enjoy!」と返します。

さあ、気持ちを切り替えていかないと。ここから元のトレイルに戻ります。が、ザックが重いのと吐きそうなので全然力が出ない。力を出すためにでっかいハンバーガーを食べたのに、今にも吐きそう。

夫が呆れ顔でこちらを見ていて、本当に申し訳なく情けない、けど本当に吐きそう。

本当はJMTの行程を少しでも進める予定だったけれど、冷や汗が止まらず胃液が出続けている私を見かねて、JMTとの合流ポイントでキャンプすることに。

合流ポイントから橋を渡ったところにとても感じの良いキャンプ地があり、そこにテントを張りました。

夕飯はいらないくらいお腹がいっぱいだったので、夫常備のカモミールティーを飲んでお腹を休ませました。
元気な夫はその間釣りに出かけていました。

明日からは10日後のオニオンバレーまで完全にリサプライ無しなので、気を引き締めていかないと!
10日後のシャワーがすでに楽しみで、私は文明の中でないと生きられないな、と再確認しました。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):5.2km


12日目(DAY126)

Mono Creek-Bear Creek(8.9マイル/14.3km)

朝6時過ぎに起床。今日から10日かけて、少しずつ行程を取り戻さなくては…。

朝ごはんのオートミールを食べて、8時にキャンプサイトを出発。

本来ならばセルデンパスを越えた先のミューアトレイルランチまでの予定ですが、今日は初っ端から登りがきついため、セルデンパス手前のベアクリークで1泊する予定。

出発してすぐに、きついスイッチバックが始まります。まだ気温も低いため、暑さはマシ。
午前10時、まだ同じようなスイッチバックを登っています。永遠に続くんじゃないかと思うようなダラダラした登りで、頭がおかしくなりそうになりました。

日本での登山ならば縦走と言っても2泊3日くらいしかしたことがなく、二つの山を登って降りて温泉に入って美味しいご飯を食べて…ですが、今この山を越えてもさらに高い峠を越えるためにまた下って…の繰り返し。風呂にも入れずご飯も食事というよりはカロリー摂取と言った方がいいようなもの。
毎日蚊とハエと戦って、身体中刺されてかゆいし、重いザックで肩や背中はアザだらけ。
トイレのためにスコップで穴を掘っているだけで蚊に刺されまくるし、食事も排泄もゆっくりなんてできない。
何で私、スルーハイクしようって言ったのかな…。

2015年、仕事帰りに日比谷シャンテで見た映画でPCT(パシフィック・クレスト・トレイル)を知り、アメリカにはこんなに長いトレイルがあるのか…!とものすごく興奮して色々と調べたところ、PCTの他に東海岸にあるアパラチアン・トレイル、そしてPCTの一部となる西海岸のJMTがある事を知りました。

youtu.be


世界旅行に出かけるならば、ぜひ歩いてみたいと思い夫に相談。夫は、セクションハイクでいいんじゃないの?と言っていましたが、何度も来れる場所じゃないし、セクションハイクは休みが取れなくてスルーハイクを渋々諦めてするものだと思っていたので、絶対にスルーハイクと決め込んでいました。

これが1週間とかだったら、こんなに苦労することなかったんじゃないか、とネガティブな気持ちが溢れ出てきました。

そんな私とは裏腹に、すれ違うハイカーはみんな生き生きとした表情で「今日も素晴らしい日だね!Happy trails!」と明るく声をかけてきます。みんな辛くないのかな…

言い出しっぺの私よりもむしろ夫の方が覚悟が決まっていて、「3週間風呂に入れない覚悟で来てるから、臭さとか不快感とかどうでもいい」と、めちゃくちゃ男気溢れています。

今日で12日目。トータル24日間の予定だから、ちょうど半分。嬉しかったり悲しかったり、怖かったり辛かったり、毎日歩いてご飯食べて寝ているだけなのに、気持ちのアップダウンも激しい。

正午過ぎ、やっと登り終えたのか、フラットな道に入りました。昨日夫が少し話したというサンフランシスコからのカップルと再会し、全く同じ行程で進んでいることを知りました。

ヨシュアとクリスティーナ。とてもいい人たちで、「毎日台湾のティーセレモニーをしてるから、今度一緒にしようね」と言われました。
それ以来、私たちの食後のお茶の時間もティーセレモニーと言うようになりました。

この後の休憩中に、私のザックにかけてあったフリースが消えていることに気がつきました。いつもよりラフにくくりつけていたせいか、途中の木の枝か藪かにひっかけて来たのでしょうか…。
夫がすぐに探しに行ってくれましたが(優しい)、しばらく戻ってみたけど無かったとのこと。だいぶ手前で落としたみたい。長年連れ添ったマウンテンハードウェアのセール品のフリースとここで別れることになるとは…。それよりも、"Leave No Trace(痕跡を残さない)"の精神を大事にしているトレイル上に物を落としてしまったことが一番申し訳ない。ごめんなさい…!

今日のキャンプ地の手前にベアクリークの渡渉ポイントがあり、流れも激しいし一人で渡るのは危険と聞いていましたが、私たちが通るときには水かさは膝上くらい、流れはたしかに強いけれど、危険はありませんでした。

無事に渡渉を終え、ファイヤーサークルのあるキャンプ地を見つけて設営。

まだ4時前だったので、川で汲んだ水で手ぬぐいを濡らし、身体を拭き、汗を吸った服もゆすいで干しました。少しはさっぱりしました。夫は今日も釣りを楽しんでいました。

5時頃に米を炊いてフリーズドライのビーフシチューと一緒に食べました。

常にお腹が空いている私を心配してか、夫が「もっとご飯食べる?スープもいる?」と自分の分を分けてくれたのが本当に嬉しかった。夫よりたくさん食べるのにすぐにバテて申し訳ない。

今日はいつも以上に蚊が多く、早々にテントに入りました。明日はセルデンパス越え。JMTのハーフポイントまで行けるといいな。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):16.2km


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私たちのJMT(ジョンミューアトレイル)⑤

9日目(DAY123)

Deer Creek-Fish Creek(12.9マイル/20.8km)

ディアクリークにてキャンプした私たちは、朝8時出発の予定が寒すぎて寝袋から出られず、7時頃やっとテントから出てラーメンを食べ、9時に出発。

昨晩はかなり冷え込み夫も私も夜中の3時に凍えて目が覚めてしまい、あまりよく眠れませんでした。標高3000m付近でのキャンプなので当たり前ですが、日本と違って3000mを越えても木が生えているので油断していました。

今日は本来なら7.4マイル(12km)先のパープルレイクで行程を組んでいましたが、今後のリサプライなど色々考慮して、その先のフィッシュクリークまで進むことにしました。

パープルレイクまではダックトレイルパス(標高3,089m)という峠を越えるため、ディアクリークからずっと登りが続きます。汗をかかないようゆっくりゆっくり登り、景色を眺めては写真を撮り、のんびりと進みました。


夫とはペースが違いすぎるので、基本1人。

途中、初めてパックトレインに遭遇!馬が荷物を運んでくれるのですが、かなり高価なようです。

どんどん上に登って行きました。私も乗せていってほしい。

最後の登りが終わると、湖が見えてきました。14時過ぎ、パープルレイクに到着です。

ここで大休憩を取ろうと決めていたので、ザックを降ろしてお湯を沸かし、コーヒーとミニケーキで一息入れました。


リスの兄弟?かわいかった。

先ほど私たちを追い越したパックトレインが戻ってきました。と思ったら、お兄さんが「オレンジ食べる?」と聞いてきました。

食べる!と夫が即答。ちょっとこれ持ってて、と手綱を渡されて嬉しそうな夫。

立派なオレンジを4つも頂きました。山でフルーツが食べられるなんて贅沢…!

この後、正規のJMTルートだとここからさらにバージニアレイクまで登り、一気にフィッシュクリークまで下るルートなのですが、休憩していた場所に、バージニアレイクと反対方向の道にフィッシュクリークと書いてある道しるべが。

地図を見てみると、フィッシュクリークトレイルというものがあり、バージニアレイクを通らずにフィッシュクリークまで川沿いに歩くルートでした。

夫も釣竿を振りたいし、サイドトリップみたいでいいかもね、とJMT正規ルートから外れてみることにしました。

プチ遭難

パープルレイクからずっと下りが続き、あまりハイカーが通らないのか地面が踏み固まっておらず砂埃が舞う…!馬の糞は落ちているので、パックトレインが通る道なんだな、と安心して下りました。

下りきると、川沿いに出ます。右に行くとレッズメドウ方面、左に行くとJMTとフィッシュクリークの合流地点。私たちはもちろん左に進みました。

川沿いは川沿いだったのですが、川からは距離があり、あまり人が入っていない雰囲気。止まる度に蚊に囲まれるので、急ぎ足で進みました。

午後5時を過ぎて、目の前に川が出てきました。橋もないし、そのまま進もうとする夫を止め、一旦地図とGPSで現在地を確認することに。

蚊のせいで見落としていたのか、どうやら道を外れているようでした。ここで川を渡るルートもマップには載っていないので、とりあえずGPSを見ながらトレイルに戻ることに。

しかし、GPSではトレイル上にいるはずなのに、一向に道も踏み跡も見えない…。GPSを信じて進むか、先に進むのを諦めてJMTに戻るか悩んでいましたが、とりあえず道が出てくるかもしれないからとGPSを頼りに藪の中を歩き続けました。
私はすでにロストした事に焦り、半泣き状態。

するとかなり流れの激しい川にぶつかり、ここがおそらく昔のルートで、GPSのマップが更新されていないことに気がつきました。

元来た道まで引き返し、最初にぶつかった川の先に踏み跡があるかどうか、夫が渡渉して調べに行ってくれました。
川の向こうから、大きく丸サインをする夫。
良かった…!道がある…!

ここも流れが割と早かったので、戻ってきた夫と手を繋いで慎重に渡渉。渡った先に道がありましたが、やはりあまり人が入っていない様子。

トレッキングポールをカンカンと定期的に鳴らし、熊と鉢合わせないように祈りながら進みました。明らかに馬の糞ではない糞や、大きな獣の足跡もありました。

ひたすら登り続け、20時前にふらふらになりながらもJMTルートに合流。夫と抱き合って喜びました。すぐ横にキャンプサイトがあったので、テントを張ってお湯を沸かし、コーヒーを飲んで落ち着きました。

バージニアレイクを通っていればこんな事にはならなかったはずだけど、本当に戻って来れて良かった…。釣りどころではない、恐怖のフィッシュクリークトレイルでした。もうルートを外れる事はないでしょう。

昼間に馬のお兄さんからもらったオレンジを夫と2個ずつ食べ、ありがたいね、美味しいね、と言いながら二人で泣きそうになりました。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):22.8km


10日目(DAY124)

Fish Creek-Silver Pass-Upper Vermillion(12.9マイル/20.8km)

今日はバーミリオンバレーリゾート(VVR)というリサプライポイントまで約13マイルの行程。トーマスエジソンレイクの右端からフェリーが出ているので、それに乗らなくてはなりません。(フェリーを使わず歩くとさらに+8km)

VVRにはキャンプ場もあり、スルーハイカーは無料で宿泊可能。さらにビール1本無料というサービスもあります。シャワーやランドリーもあり、昨日の遭難事件を癒してくれそう。

フェリーは午後の便は16時半頃らしいので、それまでに辿り着けるかが勝負です。

今日はリサプライ出来るからと、朝からフリーズドライフードを食べ、9時半に出発。

出発からすぐに登り始め、シルバーパス(標高3,277m)越えが始まります。

雄大な岩山がそびえ立ち、どれがシルバーパスなんだとドキドキします。

どんどん高度を上げて行き、3200mくらいまで上がりました。毎日高地にいるせいか、高山病の症状はありません。

登りつめて空しか見えなくなって来たところで、降りてくるハイカーに魔法の言葉「Almost there!」を頂きました。

いよいよ越えられるのか…!と喜びながら登ってみると、美しい湖を眺めながらのフラットな道に入りました。

シエラネバダの山々は峠付近に湖が多く、殺伐とした岩山の目の前にのどかで平和な風景が広がります。

このまま下りに突入すると思いきや、シルバーパスをまだ越えていませんでした。


あの雪渓の上がシルバーパス…!

一度休憩し、エネルギーを補給してから雪渓越えに挑みます。

予想に反して15分ほどで峠越え完了。踏み跡もしっかりついており、短い雪渓でした。

12時半、ここから10キロ以上の下りです。標高は2,415mまで下がる予定。

あと4時間で間に合うかどうか心配ですが、いつもよりも足早に下り始めました。

リサプライの心配をしていない夫は、いつもよりもゆっくりしていて珍しく私が先に降りていきます。

確かにゆっくりと景色を眺めながらおりたいところですが、このリサプライを逃すと10日後まで食料補給が出来ず、飢えと戦う事になる…
夫の頭の中では今の食糧で10日は持つだろうと思っているらしく、私の頭の中では6日分くらいしかない食糧に不安を感じていました。

急ぐ私に対して不機嫌な夫と気持ちが噛み合わぬまま、とにかく下り続けました。

夫の電波が入ったのでフェリーの時刻を調べてもらうと、16:45の便。ここから1.5キロ先のフェリー乗り場まであと15分しかない…!

今までの亀の歩みはなんだったんだというくらい、重いザックを背負ったまま小走りでフェリー乗り場に向かうも、5分前にすでに出港してしまっていました…。

あまりに落胆して膝から崩れ落ちていた私に、そこにテントを張っていたご夫婦が話しかけてきました。

「フェリーを逃して本当に残念ね、食糧はある?晩御飯でも朝食でも、私たちに言ってくれたら分けてあげるわよ!」

優しい…でも今日の食糧はあるんです!ありがとう!と断り、今後の行程を考え直す事に。

食糧を出してみると、やはり10日は持たない状態だったので、VVRには明日の朝の船で行き、リサプライしてから歩いてJMTに戻ることにしました。


船が1日2便ってどういうことだ!

歩いて戻るルートが昨日のような藪漕ぎの道じゃないことを祈り、今日はここにテントを張ることにしました。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):17.8km

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私たちのJMT(ジョンミューアトレイル)④

6日目(DAY120)

Emerald Lake-Trinity Lakes(10.8マイル/17.4km)


実家で思う存分お風呂に入る夢を見て、すっかり寝過ごしてしまいました。朝7時過ぎに起床です。

今日も熊に襲われず無事に目を覚ますことができました。ユーコンの櫛田さんの教えを守り、毎晩万能ナイフを枕元に置いて寝ています。

朝から蚊の大群に囲まれてオートミールを食べました。止まると寄ってくるので立ちながらぐるぐる回って食べています。本当にストレスです。

朝9時過ぎ、出発です。エメラルドレイクを越えるとルビーレイクがあり、そこを過ぎると当初の宿泊予定だったガーネットレイクがあります。

ガーネットレイクは蚊も少なく感じ、何より景色が素晴らしく、ここに泊まれたら最高だったねーと夫と話しながら通過しました。

その後しばらく下ってシャドウレイクに到着。すでにぐったり疲れていたので、今日レッズメドウまで歩くのはやめて、手前で一泊して明日町に降りることに決めました。これで最初に計画した通りの日程に戻ります。

シャドウレイクからロザリーレイクまでは地獄のスイッチバックがありますが、息が上がらないようゆっくりゆっくり登って行き、そこまで汗もかかずに登り切ることが出来ました。

ロザリーレイクからはデビルズポストパイルまでずっと下りです。これで明日の行程が楽になりました。トリニティレイクスあたりでキャンプ地を探しましたが、やはり蚊がひどい…!夫は今日こそは焚き火がしたいと言っていたので、ファイヤーサークルのあるキャンプ地を探します。

トリニティレイクスを過ぎた辺りに近くに川もあり、ファイヤーサークルもあるキャンプ地を発見。蚊はいるけれど、もう仕方ないね、ということでここにテントを張りました。

何だか疲れ過ぎて動きが鈍い私の横でテキパキとテントを設営し、お湯を沸かしてくれた夫に感謝。今日シャワーを浴びられると思っていたけど浴びられず、テントの中で身体を拭きました。早くシャワーを浴びたい、石鹸で洗いたい…。

今日はご飯をたくさん炊いて、ふりかけをかけて味噌汁と一緒に頂きました。とろろ昆布を少量持って来ていたので、味噌汁に入れました。やっぱり日本の味は落ち着く…。

毎日標高3000m付近でハイキングをしてキャンプをしていますが、風邪も引かずに何とか無事にやっています。

明日町に降りて食料の補給をする予定ですが、カロリーや軽さよりも、やはり美味しさを優先しないと辛いことが分かりました。クリフバーはカロリーも高く行動食にぴったりですが、好んで食べられるナッツやおかきみたいなお菓子の方が減りが早いので、ナッツを大量に買おうと思います。あと、パンとハムとチーズも買えたらいいな。ベビースターラーメンは初日に完食してしまったけど、もう手に入らないだろうなあ。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):18.3km


7日目(DAY121)

Trinity Lakes-Devils Postpile-Reds Meadow(6.1マイル/9.8km)

ついに今日はシャワーを浴びられる!
その事だけを考えて、夜中の1時頃から数回目が覚めてしまい、朝6時半には覚醒。夫を起こし、今日はキャンプ場ではなくどうしても宿に泊まりたいとお願いしました。夫はキャンプ場でいいじゃんと言っていましたが、一度宿に泊まって全バッテリーの充電をしたいのと、時間を気にせずシャワーを浴びて、服の洗濯がどうしてもしたいと懇願。夫は渋々承諾してくれました。


「宿に泊まれる!」と恍惚の表情の私。

レッズメドウに着いたら電波が入るはずだから、そこで宿を押さえてバスでマンモスレイクの町まで降りる!頭の中はいかにスムーズにシャワーに辿り着けるか、それだけでした。

レッズメドウまでの道のりは下りのみで、2時間あれば着くだろうと軽く見て、朝ごはんはレッズメドウでハンバーガーを食べると決め、朝8時半に出発。

心なしか足どりがいつもより軽く、汗をかいても後で流せるのが分かっているので不快感も半減。シャワーが私を待っている!

もうすぐデビルズポストパイルに入ろうというときに、今回2度目の渡渉ポイント。
くそっここでタイムロスしてる訳にはいかないんだ…!
重いはずのザックを背負ったまま靴を脱ぎサンダルに履き替えて、速攻で渡渉。冷たいけどそんなことはどうでもいい。シャワーが待っているんだ。

夫に、すごい勢いで渡ってたね、と言われながらすぐに靴に履き替えて下山再開。

午前10時半、デビルズポストパイルに入りました。JMT/PCTはこちら、という道しるべのとおりに進むと、なぜかまた山を登っていく羽目に。

今日の登りは想定外、一気に体力が消耗して行きます。よろよろと登りながら、すれ違う爽やかなハイカーに「ハッピートレイル!」と声をかけられるもハイキングを楽しむどころか完全に早く下界におりたい私。

そして正午少し前、ついにレッズメドウに到着!お腹が空き過ぎて倒れそうです。カフェの外にザックを放り投げ、チーズバーガーとコーラを注文。

至福の時…!W田くんとメーちゃんがよく、「美味しすぎて終わって欲しくない」と言っていた気持ちが痛いほどよく分かるチーズバーガーでした。

さあ、次は宿の予約…と思ったら、私だけ電波が入りません。夫のスマホを強奪し、宿を早急に決め、予約完了!あとは下界に降りるだけです。

レッズメドウからマンモスレイクの町までは、バスを乗り継いでいく必要があります。
まずはレッズメドウのジェネラルストア前から出発するバスに乗り、スキー場まで降ります。1人8ドル。

スキー場からは町の中を巡回する無料バスに乗り換え、町まで降ります。

午後3時、ようやく宿に到着。チェックインの際、「さっき予約してきたばかりだよね、何かあったの?」と聞かれ、本当はキャンプするはずだったけど、どうしてもシャワーを浴びたかったんだ、というと、「それは大問題だ!」と笑っていました。

今日の宿、シエラ・ロッジは朝食も無料で付いていて、ホテル内にコインランドリーも完備。さらに部屋にはバスタブ付きのお風呂とミニキッチンも付いていました。神がかっている…!

夫に先にシャワーを譲り、夫がシャワー中にコインランドリーの場所と値段を確認し、必要なコインをフロントで両替。全て効率良く動かないとゆっくりする時間がなくなる…!

夫と交代で、ようやく私のシャワータイム。しばらくシャンプーが泡立たず、4回くらいシャンプーしました。土と汗と垢が身体から落ちていくことに感動しながら念願のシャワーを堪能しました。

洗濯もし、食器も全て洗剤で洗えて完全にリセット出来ました。夫は、あと4日も不快な状態で居たら慣れるよ、と言っていましたが、私は自分で思っていた以上にひ弱でした。ユーコン川の時はカヌーに乗っているだけでそんなに汗もかかなかったし、蚊も少なかったので不快な想いはしていなかったし、TMBはほぼ毎日お風呂に入れたし、やはり蚊も居なかった。

JMTに来て初めて、たった1週間の自然の中での生活に心折れそうになりました。ここで一度リセットしないと先が辛くなるので、この一泊は私にとって非常に重要な一泊でした…。

スーパーで食糧の買い出しをし、メキシコ料理屋さんで晩ごはん。エンチラーダのプレート料理、これで10ドル。安い!

明日からの活力のため、少し気持ち悪くなりながらもたくさん食べました。
マンモスレイクの町の中の移動は無料のトロリーバスが走っていてとても便利ですが、全然時間通りに来ないです。さらにめっちゃ寒いです。

宿に戻ってもう一度風呂で温まり、綺麗なベッドで眠りにつきました…。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):14.9km


8日目(DAY122)

Reds Meadow-Deer Creek(6.4マイル/10.2km)


7時半に起床。化粧はしないので顔を洗ってすぐに朝食へ。夢にまで見たトースターがあったので、トーストを3枚、ピーナッツバターとジャムをこれでもかというほど塗ったくって食べました。このままずっとトーストを食べ続けていたい…。

重くなったザックを背負い、重い足取りで出発です。バスを乗り継ぎ昨日と同じレッズメドウに到着。
足りないフリーズドライ食を買い足し、パッキングをし直します。最後の水洗トイレ、最後の石けんでの手洗い。全てが愛おしく、離れがたい。
私に活力をくれたレッズメドウに別れを告げ、出発です!

今日の行程はレッズメドウからディアクリークまでの約7マイル(11㎞くらい?)。ひたすら緩やかな登りです。レッズメドウの次の行程を短めに設定していた自分を褒めてあげたい。

レッズメドウを11時に出発し、1時間に1回ずつ休憩を取りながら、かなりのスローペースで進みました。

私が遅いので夫がかなり離れて前を歩いているのですが、ハイカーと英語で会話する機会がここ1ヶ月でかなり増えたせいか、寡黙な夫も少しずつ英語で会話をするようになってきました。非常に嬉しい。

午後3時頃、今日のキャンプ予定地のディアクリークに到着です。いつもよりも早く到着出来たので、夫はすぐ近くの川で釣り三昧。この環境を楽しんでるなあ。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):14.9km

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