スガ旅

夫婦で世界の大自然を歩いた旅の記録

私たちのJMT(ジョンミューアトレイル)⑩

19日目(DAY133)

Wood Creek Trail-Glen Pass-Bullfrog Lake Trail(11.3マイル/18.2km)

朝6時過ぎに起床。寒くてなかなかテントから出られません。

朝ごはんにインスタントラーメン一人前を半分ずつ食べました。今日は長い一日になりそうで、出発準備もなかなかはかどらず…。

朝8時半に出発。今日の行程は、グレンパス(標高3,635m)を越えてキラサージパストレイルの分岐まで下る予定。明日は待ち望んでいたリサプライ日で、オニオンバレーまで下ってそこからインディペンデンスの町まで降りるのです。VVRぶりのシャワー…!そして待ちに待ったピーナッツバターとポテチとコーラ!

インディペンデンスでの宿はあらかじめ予約しており、宿泊の他にリサプライ品の保管、洗濯、トレイルヘッドへの送迎込みのフルパッケージでお願いしています。サンフランシスコから送った私たちのバケツがもう宿に届いているはずで、その中にはしばらく飲んでいないコーヒーや、クラッカー、ラーメンなんかも入れています。

トレイルヘッドへの迎えが午後3時のはずなので、それまでに私たちも下山しないといけません。当初の行程では今日はグレンパス手前のレイレイクスで宿泊予定でしたが、明日パスを越えて3時までにトレイルヘッドに着ける自信がなく、VVRのフェリーの二の舞を踏まぬよう、今日中にパスを越えることにしました。

標高差1000m以上の登りですが、ピーナッツバターが手を振って待っているような気がして頑張れます。
昨日は最下部まで降りて来られたので、今日は出発と同時に登り始めます。

急な登りとフラットな道を繰り返し、確実に高度が上がってきています。1時間ごとに休憩を取り、残しておいた1本のエナジーバーを二人で分けて食べます。

午後1時、当初のキャンプ予定地だったレイレイクスに到着。順調!ここでお昼休憩を取ることにします。


川と違って流れのない湖では水が汲みにくい。

インスタントラーメン一人前を、また二人で分けて食べました。「一杯のかけそば」みたいだね、と話しながら、やはり私が多めに食べてしまいました。

午後2時、パスに向けて出発です!

一時間ほど急な登りを登っていたら、夫が上で手を振っていました。もう着いたのか!ピンチョパスと同じく意外に簡単だった!と思っていたら、「あそこパスっぽいね」と。

あそこ…?

えっバカじゃないの?

でも確かにてっぺんに人が歩いてるのが見える…。

文句を言っててもオニオンバレーはこっちに来てくれないので、渋々登り始めます。

風も強く、横は切れ落ちていて普通に怖い。おまけに雪もある。

くそっアメリカではこれをハイキングと呼ぶのか…。何かに負けそうになりながらも必死で登ります。向こう側にはピーナッツバターが待っている!

下も上もあまり見ないように前だけ見て登っていると、次第に目線の先にてっぺんが見えてきました。

最後は深いトレースのついた雪渓を渡り、パスに到着!

感動よりも恐怖!これがハイキングなんですか…!

20分ほど休憩し、下山開始。下りもかなり急で、左足首に激痛が走ります。左足首を守るように降りていたら、右足首もぐにゃっとやる始末。

慎重に時間をかけてゆっくり降り、キラサージパスの分岐までやってきました。ところが近くに川が見当たらず、水を確保する必要があったので、さらに0.3マイル歩いてブルフロッグレイクトレイルの分岐まで行きました。

ブルフロッグレイクトレイルまでの下り途中、若いハイカー集団とすれ違いました。一人は日本語が話せる女の子で、「去年の夏に日本にインターンに行きました!」と快活に話していました。彼らはJMTではなく湖を巡るループというトレイルに挑戦しているそう。色んなトレイルがあって面白いなあ。

すでに何張かテントが張ってあり、一番人気のなさそうな川のすぐ側に設営。蚊がすごいけど、明日のことを考えたらどうだっていい。

「Are you Japanese?」

急に声をかけられたと思ったら、日本人男性でした。
JMTをノースバウンド(北向き)に歩いていて、今日で4日目とのこと。
VVRはどうだったとか、マンモスレイクはどうだったとか情報交換して別れました。

私たちはサウスバウンド(南向き)なので、標高をだんだんと上げていき高山病対策にもなっていると思いますが、ノースバウンドの人のスタート地点はマウント・ホイットニー。スタート地点が4000m越えです。タフなんだなあ、と思いました。また、南に行くほどパス越えがハードになってきたので、ノースバウンドの人は後半は楽だろうなあとも思いました。

とは言え、私たちの残りのパス越えはあと1つ。そのあとは最終ゴールのマウント・ホイットニー。

よくここまで頑張ったなあと感動。とりあえず、明日は久々に自分を甘やかしてあげたいと思います。

夕飯には「スリーシスターズシチュー」というフリーズドライ食を食べました。私の実家である雑貨屋のロゴにもなっている「スリーシスターズマウンテン」にちなんだ料理かと思いましたが、ネイティブ・アメリカンの伝統的な料理だそう。コーンや野菜、フルーツが入ったスープで栄養満点でした。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):19.1km


20日目(DAY134)

Bullfrog Lake Trail-Kearsarge Pass-Onion Valley Trailhead(6.3マイル/10km)

今日は待ちに待ったリサプライ日。嬉しすぎて全然眠れませんでした。朝6時過ぎにテントを出て、マッシュポテトを夫と仲良く半分こ。

出発準備もサクサク進み、8時には出発。

ブルフロッグレイクを通過します。カエルの鳴き声を聞き、そうか、ブルフロッグってウシガエルのことか…と納得。


小さいけれど美しい湖。

今日はオニオンバレーへ下るだけだ〜と思っていたら、なぜか登りが続く…。


警戒心ゼロの雷鳥の親子。

1時間ほど歩くと、恐怖のパスが立ちはだかりました。えっ今日パス越えあるの…?

予想外の展開にテンションが下がりましたが、これを越えなくては食糧にありつけない。もうこうなったら何だって登ってやる。
確かに「キラサージパストレイル」と、トレイル名の中にしっかりと「パス」の文字が入っているのに完全に見落としていました。昨日のうちにグレンパスを越えておいて本当に良かった…!
ただ、今日パスがあるということは、同じ道でここに戻って来るため明日もパスがあるということ。辛すぎる…。

貧血気味なのかエナジー不足なのか、少しフラフラでしたがゆっくりしっかり登ります。

小一時間ほどでキラサージパス(標高3,569m)到達。先にいたおじさんが写真を撮ってくれました。彼もリサプライのため、オニオンバレーへ下るとのこと。

ここから地獄の下りが始まります。急な斜面を下れば下るほど、明日ここをまた登ってパス越えするのか…と泣きたくなりました。
回避したいけど出来ない。明日のことは明日考えよう。


道路が見えた!

ちょうどお昼頃、オニオンバレートレイルヘッドの駐車場に到着。お迎えが3時だったか記憶があいまいだったので、調べようとするも圏外。さっき山の上の方では一瞬電波が入ったのに…!

しかたなく、荷物を夫に預けて空身で電波の入る場所まで登り返すことに。

途中すれ違ったカップルに、「何か落し物でもしたの?」と聞かれ、宿のシャトルが来るはずなんだけど電波が入らなくて調べられないから、電波のあるところまで戻るんだと言うと、「後からくる男性もシャトルに乗るって言ってたから聞いてみたら?」と。彼らにお礼を言って別れ、すぐ後から来た男性はパスで写真を撮ってくれたあのおじさんでした。

今日どこに泊まるの?と聞くと、私たちと同じモーテル!シャトルの時間が分からないことを伝えると、「3時ピックアップだよ、ヒッチハイクした方が早そうだな…」と言っていました。おじさんにお礼を言ってトレイルヘッドまで一緒に降りて、「また3時にね!」と別れました。

まだ2時間あまりあったので、水を確保すべく川へ。川でゆっくりしようと思ったものの日差しが半端じゃなく、水を汲んで日陰のある場所まで移動しました。

暇なので最後のフリーズドライを昼ごはんにして食べ、スマホのパズルゲームをして時間を潰しました。


夫はその間も釣り。

3時少し前、駐車場の一番目立つ所に移動すると、同じくマウントウィリアムソンモーテルに行くという人たちが5,6人集まっていました。
ノースバウンドで進んでいるというお母さんに、「ミューアパスの雪はどうだった?クランポンは必要?」と聞かれ、クランポンは必要ないけど、ミューアパスよりマザーパスに気をつけて!と助言しました。

シャトルの時刻を教えてくれたおじさんの姿は見えないままシャトルが到着。シャトルと言っても車内はお菓子の空箱など散らばっている汚い車でしたが、宿まで送ってくれるのは本当にありがたい…!

ノースバウンドでJMTに入っているドイツ人のソロハイカーと同じ車に乗り込み、彼は南のパスの状況を、私たちは北のパスの状況を提供し合いました。
遠くにインデペンデンスの町が見え、Googleマップで見ても小さいのは分かっていましたが、町の周りが限りなく砂漠!本当に何もありません。
町の北側はネイティブ・アメリカン居留地となっていることをドライバーのおじさんが教えてくれました。

モーテルに到着。チェックインをすると、真っ先にウェルカムドリンクを頂きました。夫はビール、私はアイスティー。

その後、すでに部屋に私が送ったリサプライバケツが置いてあること、部屋に置いてあるバスケットに洗濯物を入れてフロントに持って行くと、洗濯から乾燥まで1時間でやってくれること、洗濯中に着るものがなければ貸してくれること、明日朝食後にまたシャトルでトレイルヘッドまで送ってくれることを案内されました。ここは天国ですか…?

フロントにはリサプライバケツが山のように積んであり、中にはハイカーが寄付したフードや日用品、ガスなどが沢山入っていたので、洗濯物を出してからしばらく夫とバケツを漁り、ナッツとリッツ、多めに残っているガス缶などをありがたく頂きました。中には「五目ご飯」や「お赤飯」のフリーズドライなどもあり、日本人も沢山来ていることを知りました。

部屋はコテージで、キッチンなども付いています。1泊じゃもったいない…!

荷解きする前にとりあえずフリーフードから頂いたリッツを一気食いしました。量を気にせず食べられる幸せ…!
久々のシャワーはやはりなかなかシャンプーが泡立たず、5回目くらいでやっとスッキリしました。
30代に入ってから引っ込むことのなかったお腹周りがスッキリしていてちょっと嬉しくなりました。

宿のお母さんがとても気さくな方で、パンを買いたいんだけどお店はあるかと尋ねると、「道路の向こう側にシェブロン(ガソリンスタンド)があるわよ、夕ご飯はそこのサンドイッチもいいし、この通り沿いにおいしいタコトラックもあるわよ!」と教えてくれました。

とりあえずシェブロンに行き、念願のパンとピーナッツバター、大量に入ったm&m'sとポテチ、コーラを購入。
レジの男性はネイティブ・アメリカンで、どこから来たのか、と聞かれたので日本ですと返すと、
「私たちインディアンは日本人が大好きです。日本には本当に感謝しています。日本人はとてもよく働き、私たちに仕事もくれました。」と言われました。
私たちは何もしていないからお礼なんて言わなくていいよ、でもありがとう!と返し、何だか日本人でいることが誇らしい気持ちになりました。どこかの日本人の方、ありがとう!

帰り道、宿のお母さんおすすめのタコトラックに寄り、チキン・ビーフ・ポーク・チョリソーのタコスを計10個テイクアウト。

夕飯だけで全種類の肉を食すという偉業を達成しました。

VVRのハンバーガーの時と同様、食後に胃がもたれ吐き気がしていましたが、頑張って夜遅くまで起きて胃を休め、ポテチも食べることが出来ました。
私、恐ろしいほど貪欲になってる…。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):14.4km


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私たちのJMT(ジョンミューアトレイル)⑨

17日目(DAY131)

Deer Meadow-Bench Lake(13.5マイル/21.7km)

朝6時半過ぎ、夫が先に起床。私がテントから出る前に、マイランとイーサンは出発したようでした。

今日はマザーパス(標高3,688m)越えなので、お昼にフリーズドライを食べることにして、朝ごはんは二人でオートミール(2袋)を分けて食べました。やっぱり私の方が多く食べてしまう。

洗濯物を取り込み、乾いたズボンを履いてお湯を沸かしていると、なんだかズボンの中に違和感。
虫?と思ってズボンの上から触ると、でかい。
熊もびっくりの声で絶叫して夫を呼び、半泣き状態でズボンを下げると、大きな蛾でした。
ついに私のメンタルは崩壊、さらに絶叫して大騒ぎ。大きな蛾が私の太ももで死んでいました。

夫に取り除いてもらったけれど、精神的ダメージがかなりでかく、しばらく落ち込んでいました。
たかが虫だけど、全部が嫌になりそうでした。

9時前、少し遅くなったけど気持ちが落ち着いてから出発。
昼過ぎにはマザーパスに着けるかね〜なんて呑気に話していましたが、そんなに甘くはありませんでした。

今日も朝から灼熱地獄。マザーパスの前に湖があるはずなのですが、一向に着かない…。

とんでもないスイッチバックを登り、登っても登ってもさらに岩山が立ちはだかります。


本日もスガソーラーシステムを発動させました。

お昼前、やっと湖に到着。もう二人ともお腹が空きすぎてバテバテです。

ちょうどいいスポットを探してお昼休憩にします。マザーパスまではまだまだみたい。

昼ごはんにフリーズドライを二人で分けて食べた後、15分ほど昼寝しました。体力が回復すると信じて…

午後1時過ぎ、マザーパスに向けて出発。

登っても登っても、越えられなさそうな岩山しか見当たりません。くそっどれがマザーパスなんだ…。


湖があんなに遠くになりました。

「あれがマザーパスだね」と夫。

えっあれってプロが登るやつじゃないんですか。全然越えられる気がしないのですが大丈夫でしょうか。

降りてくるハイカーに、「トレイルは雪で通れないから、岩をよじ登ってね!楽しいわよ!」と言われ、さらにテンションが下がります。誰か嘘だと言ってくれ…こんな危険なパス越えあるのか…

雪渓を越え、岩をよじ登り、落ちたら終わりの気持ちで死に物狂いで午後4時半にパス到着。達成感よりも明日からのパス越えが恐怖に変わりました。

サミットではなく「パス」だけど、私たちにとってはサミットみたいなもの。山登りは好きだけど、毎日山登りは辛い。

夫の時計では誤差があったけど、実際は3,688mのはず。富士山は3,776mなので惜しくも届かず…!「富士山のようにでっかく、ミナナロー(3776)」で覚えてました。

とりあえず休憩するも食べるものがなく、水で空腹を満たします。

午後5時下山開始。明日もパス越えがあるので、なるべく降りた地点でキャンプしたい…!


マザーパスの下りも壮絶!

なんだか他の星に来たような、現実的でない風景です。

午後7時前、力尽きたところでキャンプ。

今日の夕飯はフリーズドライのパッタイ。かなり寒かったので、からくて美味しかった!

身体を拭くことも出来ずに寝袋にイン。ベタべタして気持ち悪いけど、あと3回寝たら私の今一番求めているオニオンバレー…!

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):15.5km


18日目(DAY132)

Bench Lake手前-Wood Creek Trail(14マイル/23km)

朝6時過ぎに起床。かなりの寒さだったけれど、コクーンを寝袋内に入れて寝たので朝までぐっすり眠れました。
足先も冷えず非常に優秀。今日はゾンビの夢を見ました。

朝ごはんにフリーズドライを食べ、8時過ぎに出発。
背中がやたらと痛いので、鎮痛剤を飲みました。
今日はまだマザーパスの下りの途中だったので、下り切ってから次のピンチョパス(標高3,672m)への登り。ピンチョパスからまた下って、次のグレンパスの登りの始めまで行く予定。怒涛の3日連続パス越えです。ピンチョパスって名前の響きが割と好きです。

まずは1時間ほど下ります。


草に朝露がついていて綺麗でした。

渡渉ポイント。私たちはログを使って上手く渡れましたが、私たちの前のおじさんと後のおじさんは滑って落ちたみたいで濡れていました。

最下部に到着です。ここからピンチョパスまで4マイル。昨日よりは楽かも…?

と思いきや、登りが始まるとすぐにバテてしまう私。夫はそこまでお腹が空いていないのに、お昼休憩にしてもらいました。

午後1時前、ピンチョパスに向けて出発!

昨日のマザーパスと違い、すぐにパスの取り付きまで行けました。雪は残っているものの、マザーパスほどではありません。

取り付きからはずっと急なガレ場を登りますが、きちんと道になっているので、ゆっくりゆっくり登ります。
1時間ほど上り詰めると急に到着!もっと上まで登るのかと思っていたので拍子抜けしました。嬉しい!


ピンチョパスの向こう側。

昨日と同様行動食がないので、水をしきりに飲んで休憩。

ここから一気にグレンパスへの最下部まで下ります。ここから12km…。夕方までに着けるのでしょうか。

ガレ場の下りが足に響き、途中から左足首に激痛が走ります。つらい…。

渓谷沿いを下って登って下って…。下りのはずなのにたまに登りがあってイライラ。

6時前、最下部に到着!ここから橋を渡ってキャンプ地に行きます。

立派な吊り橋ですが、一人ずつしか渡れません。

落ちるんじゃないかってくらいグラングラン揺れました。

川沿いにフラットな場所があったので設営!蚊もいなかったので、川で頭をゆすぎ、身体を拭きました。生き返る…!日も落ち始めていたので洗濯はせず。

夕飯は恒例の米とふりかけ。空腹を満たすには米が1番!しじみスープも飲みました。
私の食欲がひどく、またしても夫以上に食べてしまいました。

明日はグレンパス越え。グレンパスまでは8マイルほどあるので夕方になるかな…。何よりガスが残りわずかなのが心配。
最悪インスタントラーメンをバリバリ食べることになるかもなあ。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):22.9km

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私たちのJMT(ジョンミューアトレイル)⑧

15日目(DAY129)

Evolution Lake-Muir Pass-Starr Camp(9.6マイル/15.4km)

朝6時半起床。標高は3,100mくらいだったのに、不思議と寒くありませんでした。

キングスキャニオン国立公園では標高10,000フィート以上は焚き火禁止のため、昨晩も今朝も焚き火はなし。そのためいつもより早く準備が出来ました。

私の朝ごはんはオートミール(2袋)、夫はクリフバー1本のみで罪悪感。岩の上に置いておいた水洗いのみの洗濯物も乾いていて、カリフォルニアの乾燥具合にちょっと怖くなりました。

午前8時出発。今日はいよいよミューアパス(標高3,644m)を越えますが、JMTの象徴とも言えるミューアハットを生で見ることができます。
ミューアパスまでの道のりは長く、いくつもの湖を越える必要があります。

まずは昨日の目的地、エボリューションレイクを目指します。朝の空気は冷たいけれど、蚊も少なく一番歩きやすい時間。

大きなエボリューションレイクに到着。ここでキャンプできた人たちが羨ましい!

ミューアパスに向けて水も補給します。

大きな川に差し掛かると、飛石が敷かれていました。靴を脱ぐ手間が省け、大変助かります!

ミューアパスへの道は絶景の連続。3,300mを越えた空中庭園のようです。

ミューアパス手前のワンダレイクへ登って行きます。

ワンダレイクの圧倒的な美しさに感動。どの湖もものすごい透明度です。泳ぎたいけど冷たそう。

ワンダレイクを過ぎるといよいよミューアパスに向けての最後の登りです。お腹すいた…

雪渓もまだ残っていますが、きっとこれでもだいぶ溶けたのでしょう。

ゆっくりゆっくり登り、午後1時半頃やっと到着!

ドキュメンタリー映画でも見た、あのミューアハットに来れた!

youtu.be


クリエイター集団がJMTを歩くドキュメンタリー映画。出国前に3回は観ました…!


到着すると、すでに休憩中のハイカーから「おめでとう!」と声をかけられました。もうここで終わっていいくらい満足。

私の前に到着したハイカーは、「めっちゃ腹減った!」と言ってお湯を沸かしてパスタを食べ始めました。しかもパスタを茹でる間m&m'sをむしゃむしゃ食べていました。
くそっ羨ましい…!パスタが羨まし過ぎて、ミューアハットの感動よりもまた食べ物のことばかり考えてしまいました。

反対側から到着したファンキーなおじさんが、せっかくだからと言って私たち夫婦の記念写真を撮ってくれました。

ミューアハットはこじんまりした避難小屋で、とてもかわいらしかった。

午後2時過ぎ、下山開始。今日はStarr Campというキャンプ地が目標だけど、行ければもう少し先まで行きたい。

ミューアパスからの下りの南側は、登ってきた北側よりも雪渓がたくさん残っていて、踏み跡がない場所は迂回路があるはずなのにそれらしき跡が色んな場所に散らばっていて分かりにくい!

踏み跡がある雪渓も、もう弱くなっている箇所が多く踏み抜いてしまう場所も多々ありました。

深めのスプーンカットをトラバース中に滑って転んでしまい、ザックを下にして仰向けにハマってしまって身動きが取れなくなり焦りました。まるでひっくり返って起き上がれない亀状態。
仰向けのままザックを一度外して雪渓の上でバランスを取りながら体制を立て直し、無事に渡り終えました。びっくりした…。でもシエラの青空は綺麗だった。

そのあともトレイルが水没して迂回したり、なんだか予想を遥かに越えて大変な下りでした。同じ方向のハイカーも、みんな「今日はハードだね…」とゲッソリしていました。

午後5時前、目的地のStarr Campに到着。もうくたくたに疲れたのでここまでにしました。

近くに川があり、とてもちょうどいい岩もあったので、久々に川で髪を洗いました。

水洗いだけだけど、気持ちいい!あとで見たら虫の死骸がたくさん流れていたけど、そんなんもはやどうでもいい。

夕飯は米を大量に炊いてごま塩ごはんと味噌汁!

お腹いっぱい米を食べて、久々に満足できました。


残すパスは4つ、終盤に差し掛かってきたなと実感…。

食後はVVRでバラで1つだけ購入したココアを一口一口大切に飲み、心から幸せを感じました。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):17.4km


16日目(DAY130)

Starr Camp-Deer Meadow(11.8マイル/19km)

今日も6時半起床。向かいの山が朝日に照らされて綺麗でした。

昨日の米が効いているのか、二人ともあまりお腹は空いていません。
夫と相談し、朝は抜いて昼ごはんにフリーズドライを食べようということになりました。何も食べないのも良くないので、夫はサラミとチーズを、私はジップロックに入れた原型をとどめていないミニドーナツのクズをスプーンですくって食べました。

8時に出発。今日はパス越えはないものの、明日のマザーパス越えに備えて少し登っておきたいところです。

キャンプ地からはひたすら下りが続きます。絶景の連続で、まだ私にも景色に感動する心が残っていることに感動。

1時間も経つと、だんだんお腹が減ってきました。今日はなぜか9時過ぎから猛烈に暑い…。いつもは10時半くらいまで動きやすい気温なのに、おそらく日陰が少ないからでしょう。トレイルの白い砂や白い岩は太陽が反射し、上からも下からもモワッとした熱気が襲ってきます。まだ下りは終わらないのか…


モンスターロック。


まるで剥製のごとく動かなかった鹿。


本日からスガソーラーシステムも稼働。

しばらく降りると、ビショップパストレイルとの分岐がありました。ビショップパストレイルからビショップの町に降りる人も多く、昨日ミューアハットで出会った奥様もビショップに降りて、オニオンバレーへショートカットすると言っていました。
ビショップパストレイルに向かうハイカーを羨ましそうに眺めながら休憩。いいなあ。コーラ飲みたいなあ。


私たちはこっち。

そこから更に下ると、今日の行程の一番標高の低いポイント(標高2,472m)に着きます。ここからはマザーパス(標高3,688m)に向けて登りになるので、11時前ですがお昼ごはんにします。
フリーズドライのラザニアを二人で分けて食べました。美味しい…そして足りない…。

ラザニアを平らげた後、力を振り絞って登りに入ります。汗が滝のごとく流れ落ちる。


でもいい景色はちゃんと撮影する元気はある。

自分から嗅いだことのないような臭いにおいがして、メンタルも崩壊寸前。今すぐ川に飛び込みたい。

今日の目的地まであと4㎞。どうでもいいから早く川に入りたい。

午後3時半、獣臭のする二人がやっとたどり着いたキャンプ地は、目の前に川が流れる理想的なサイト!

急いで設営し、ズボンもまくらずにジャバジャバと川へ入り豪快に頭をゆすぎました。冷たいけど気持ちいい…!
流れが強くて全身浸かることは出来ないので、手ぬぐいを絞ってテントの中で全身拭きました。その後、着ていたものも全部水洗い。バケツの水がすぐに真っ黒になるくらい汚れていて切なくなります。

洗濯物を干し終わり、晩ごはんの準備を始めていると、二人のハイカーがやってきて、設営場所を探しているようでした。
私たちのすぐ横がフラットだったようで、ここに張ってもいいかと聞かれたので、もちろん!と返答。良かったら焚き火もしてるからこっちでごはん食べてね、と言うと、すぐに嬉しそうに焚き火の方へ移動して来たかわいい二人。

二人はカリフォルニア在住で、セクションハイクのよう。私たちとは反対方向で歩いていて、オニオンバレーから来て今日が4日目とのこと。
二人とも日本に来たことがあって、今までの旅行先でベスト3に入るくらい京都が良かったと話していました。好きな日本食は「モチ」だそう。
私たちの旅行の話も興味津々で聞いてくれて、アルゼンチンの料理は最高だから絶対行った方がいい!と言っていました。行きたい…!

私が日々の中で疑問に思っている英語を投げかけると、丁寧に二人で解説してくれたり、思いがけず楽しい夜になりました。

寝る前に連絡先を聞いてくれて、今後の動向も教えて!と嬉しいことを言ってくれました。


イーサンとマイラン。二人とも28歳。

VVRに向かっているそうで、どうだった?と聞くので、天国みたいなところだよ、と教えてあげました。私たちが明日越えるマザーパスは彼らが今日越えたばかりで、「本当に美しいから覚悟して!」と言われました。


この頃からささくれがどんどん悪化。

  • 実際の歩行距離(iPhoneヘルスケア調べ):16.9km

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