スガ旅

夫婦で世界の大自然を歩いた旅の記録

私たちのカミーノ⑨

19日目

Carrión de los Condes → Terradillos de los Templarios

今日はいよいよ恐怖の17km無補給です。恐怖の、と言ってもさほど心配していません。17km贅沢出来ないだけです。アルベルゲの食堂で朝食を済ませ、ヨシ君と別れて出発です。

町の真ん中に巡礼者の像がありました。この前を通って町を抜けます。


町のはずれに立派な教会がありました。

道が二手に分かれますが、私たちは17km先のカルサディージャ・デ・ラ・クエサを目指します。

7kmほど歩いた所でしょうか、急に看板が出てきました。

えっ、2km先にバルがある…?しかも2軒…。
看板を眺めていると、近くに車を止めていたおじさんが話しかけてきました。「オアシスってバルに行った方がいいよ!この先ずっと休めるところはないからね!手前にフードトラックがあるけど、そっちよりオアシスの方がいいよ!」と。

そんなことを言われたら、フードトラックの方に行ってしまいます。ちょうどマリアも休んでいたので、フードトラックでコーヒーを頼んで休憩。
オーストラリアから来たサリー(この間のサリーとは別人)に、自分の杖に名前を書いて欲しいと言って杖とマジックを渡されたので、漢字で名前を書きました。帰って娘さんに見せると言って大喜びでした。
横で見ていたオーストラリア人のアリーも漢字に大興奮で、このままタトゥーにしたいと言っていました。やめた方がいいと思う。

タトゥーと言えば、マリアのタトゥーがとてもかわいい。太陽と月のデザインで、陰と陽を表すんだとか。喜びや楽しみ、悲しみや不安は常に一体なんだよとマリアに教わりました。どちらもずっと続く訳ではなく、バランスが大事なんだとか。
海外に出てから老若男女問わずタトゥーをしている人が大多数ですが、日本ではまだまだ「タトゥー=怖い人」というイメージが強いんだよ、と話すと笑っていました。

マリアたちを見送り、持ってきたミカンを食べてしばし休憩をしていると、みんなとは反対方向から歩いてくる男性が。私が手を振ると男性はニコニコしながらこちらに来て、私たちのテーブルに座りました。
どこから来たの?と聞くと、男性は「ドイツだよ。ドイツの自宅から歩いてサンティアゴまで行って、フィステーラとムシアを回って、今はドイツの家に帰るところさ。」と言いました。
男性は悟りを開いたように穏やかな目をしていました。ムシアではイルカ2匹に出会ったそうで、きっとあれは亡くなった息子と妻だと思うんだ、と幸せそうに話していました。
私たちの持っていたミカンを4個渡して、気をつけて帰ってねと言うと、毛むくじゃらの腕でギュッと抱きしめられました。獣のにおいがしたけれど、何だか神々しい体験を分けて貰えて嬉しかったです。

たまに逆方向に歩いている巡礼者を見かけるのは、徒歩で帰ってるということか…と驚きました。とはいえ、何百年も昔はみんなそうだったんですよね、サンティアゴがゴールではないんですよね。
クリスチャンでもない私たちのしていることは結局「巡礼者体験」でしかないんだな、と少し残念に思う反面、何不自由なく長期間徒歩旅を続けられることをありがたく受け止めました。

それにしても、みんなあれだけ「恐怖の17km」とか言っていたのに、普通にバルがあったことに拍子抜けしました。何の心配もする必要はなかった…。

残り10km、何もない道を黙々と進みます。

17kmが終わり、村に入りました。マリアが休憩していたカフェに入り、一緒に休憩。
後ろの看板に書かれている「CAMA」はベッドの事なので、ここで宿泊も可能です。

次の村まで6km。途中猫を見つけて遊びながらゆっくり歩きました。


かわいい…

次の村でもコーラ休憩をし、さらに3km先のテラディジョス・デ・ロス・テンプラリオスまで頑張りました。52ベッドのアルベルゲはとても綺麗でしたが、どこか事務的な感じでした。部屋は4人部屋で、先客が2名居たので夫も私も2段ベッドの上となりました。

シャワー後、ビールとコーラを買ってテラスで休んでいると、日本人の方に話しかけられました。1人は宮城県出身の元気な女性で、もう1人は何と札幌出身の男性。こんな場所で同郷の方にお会い出来るなんて、とても嬉しかったです。

夕食時、札幌出身のイトウさんと相席させてもらい、久々に会話を楽しみながらの食事を楽しみました。イトウさんの優しさが溢れ出る話し方に、もしかして先生かな…?と思っていたのですが、教師時代もあったとのこと。やっぱり…!!
楽しい時間を過ごした上にすっかりご馳走になってしまい、本当にありがとうございました…!
帰国したら札幌まで会いに行く約束をして、就寝。

20日目

Terradillos de los Templarios → Bercianos del real Camino

目を覚ますと7時半。すっかり寝過ぎたようです。宿のカフェでトスターダを注文するも、ないと言われて渋々菓子パンをかじり、出発です。

まずは3km先の次の村を目指します。

40分ほど歩くとすぐに村に到着です。近いのでさらに次の村まで休憩はおあずけ。

村の真ん中で、かわいい犬がすり寄って来ました。動こうとしてもベッタリくっついて来て、なかなか出発出来ません。

離れたかと思うと、私たちの前を先導して歩き始めました。きちんと黄色い矢印の指す方へ向かっていきます。首輪をしているので飼い犬のようですが、村を出てしまって大丈夫でしょうか。

きっとテリトリーなんだろうと信じて、とりあえずついて行きます。
次の村が見えてきた頃に急に姿が見えなくなりました。一緒に歩いた距離、3km。とてもかわいい道案内をありがとう。

前を歩くのはアメリカ人のシェーンとクリスティーン。彼らも仕事を辞めて世界中を旅行中なんだとか。

アメリカ人はウルトラライトスタイルなので、すぐに分かります。彼らはサンティアゴからさらにポルトガルまで歩くと言っていて、サンティアゴからバルセロナに飛ぼうと思っていた私たちの予定を考え直すきっかけとなりました。

出発してから6kmくらい歩いたので休憩です。今朝食べられなかったトスターダを注文。

とっても大きなトスターダが出てきて大満足です。テラスで朝食を取っていると、先ほど道案内をしてくれた犬が前の村に向かって歩いていくのが見えました。本当にありがとう!

村を出る際、七三分け(に見える)の犬がいました。

引き続きメセタを歩き続けます。気持ちいい。

基本的に歩くときはお互い1人になるので、たまにイヤホンで音楽を聴きながら歩きます。後ろから自転車が来たりするので安全のために片耳だけ。「音楽を聴きながら歩いたら自然の音を楽しめないじゃないか」と言う人もいますが、楽しみ方は人それぞれ。私はその時の風景に合った音楽を聴いた方が足取りが軽くなる気がします。

しばらく歩くとわりと大きな町、サアグンに到着です。

近くのカフェでトイレも兼ねて休憩し、さらに先に進みます。

5kmくらい進んだところにも村がありましたが、今日はもう少し進みたかったのでそこでも休憩のみ。そこからさらに6km進み、村の入り口にある大きなアルベルゲへ。

ご覧の通り、かなり巨大です。昨日のアルベルゲとちょっと似た雰囲気ですが、疲れたのでここでストップ。ここも4人部屋ですが、嬉しいことにシングルベッドが4台でした。大部屋の場合はそんなことはないのですが、 少人数の部屋の場合、だいたい自己紹介が始まります。それが毎度ちょっと疲れる…。
名前をさらっと言われた5秒後には名前を忘れてしまうので、たまにメモして忘れないようにしています。この部屋の人たちの名前は忘れてしまいました。

テラスに出ると2週間程前に出会ったベルギー人のおじさんに再会!嬉しくて思わず抱きつきました。2週間前、禁煙するんだと言っていた彼がタバコに火をつけたので指差すと、「2日しかもたなかったよ」とのこと。禁煙に失敗したとしても、頑張って歩き続けていることがわかってとても嬉しくなりました。

アルベルゲのレストランで巡礼者メニューを食べて、シングルベッドにて早めに就寝しました。

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私たちのカミーノ⑧

17日目

Castrojeriz → Boadilla del Camino

宿の朝ごはんを頼んでいたので、起床して身支度を整え、宿の食堂へ。コーヒーはオーナーがエスプレッソマシーンで入れてくれて、パンは自分でトースターで焼きます。食べ放題だったので、6枚も食べてしまいました。

遅く起きて来たマリアと別れ、私たちは先に出発です。


謎の「T」と記念撮影。

カストロへリスから次の村までは、約12kmくらい。その間に山を越えますが、緩やかな丘のような感じなので問題ありません。登り始める前に雨が降り始めたので、木陰でザックカバーをセットし、レインジャケットを着ました。
同じ木陰で休んでいたアジア人の男の子にどこの出身かと聞かれ、日本だよ、と答えると、ニッコリ。彼は台湾出身でした。


丘の上には十字架。

丘の上に着く頃には雨も止み、歩きやすくなりました。ベンチがあったので持っていたお菓子で休憩。

「メセタ〜!」と叫びたくなるような風景が続きます。見る分には美しいですが、ここを歩くと思うと正直胸は高鳴りません。


終わったひまわり。

次の村に入る橋の手前に1軒のアルベルゲがあり、トイレだけ拝借しました。村に入った所でランチをしようと思っていたら、チラシをもらったのでそちらのカフェに行ってみることに。
目玉焼き、ベーコン、トーストとコーヒーのセットを頼み、エネルギー補給しました。少し入り組んだ場所にあるカフェでしたが、マリアもチラシをもらったのか同じカフェに入って来て、二人で顔を見合わせて笑いました。

マリアをカフェに残して私たちは出発です。次の村まで約9km。雲が一日中空を覆ってくれたおかげで、木陰のない道を楽に進むことが出来ました。本当に何もない。

ひたすら歩き続け、次の村で宿を探すことに。70ベッドあるという大きめのアルベルゲに飛び込み、無事にベッドを確保出来ました。古い建物ですが、スタッフがとても感じよく、楽しんで仕事をしているのが伝わってきます。

そしてマリアも到着。示し合せた訳ではないのですが、次の村は6km先なのでみんなここでストップするのかもしれません。

中庭にはぶどうやりんごがなっていて、みんな芝生に寝転んだりしてリラックスしています。私と夫はカフェでビール・ケーキ・コーヒーを頼みテラスでリラックス。すると、午前中に出会った台湾人の男の子が話しかけてきました。
彼の名はペイ・ジュン。20代の男の子で、手には「Husband」と書かれた本を抱えていました。
とても人懐っこく、疑問に思った事はストレートにガンガン質問してきます。

マリアが夕食を食べていたので、横にお邪魔して私たちも夕食。そしてペイ・ジュンも来たので4人で夕食となりました。
何でも知りたがるペイ・ジュンは、マリアにドイツの歴史について説明させ、私に日本の天皇と政治の仕組みについて説明させ、自分はどうして今の台湾が出来たかを説明してくれました。

それにしても海外の若者たちの政治に対する関心、自国の歴史をきちんと説明できる知識と英語力に驚かされました。私は日本語でも説明が危ういので、ヒヤヒヤしました。

18日目

Boadilla del Camino → Carrión de los Condes

朝ごはんを頼んでいなかったのですが、美味しそうだったので宿で食べていくことに。

夫が席に着こうと椅子を引くと、先客がいました。

朝ごはんはたっぷりのカフェコンレチェとオレンジジュース、そしてたっぷりのパン。パンが1人一皿だと知らず、自分のパンが来る前に隣の人のお皿からパンを食べてしまう夫。自分のパンが運ばれて来たことで気がつき、隣の人にパンを返すも断られてしまいました。向かいに座っていたブラジル人の女の子が、その一部始終を観察していて爆笑していました。

今日もお寝坊のマリアを置いて、先に出発です!


スペインは白馬が多い。

まずは隣の村のフロミスタまで、約6kmの行程です。
割と大きそうなので、フロミスタでお金を下ろす予定です。

教会の屋根に大きな鳥の巣が。この手のタイプの鳥の巣をよく見かけるのですが、かなり立派です。何の鳥の巣なのでしょうか。

川沿いをひたすら歩き続けること1時間、フロミスタに到着です。

聖地までの距離を書いたサイン。エルサレム・ローマ・サンティアゴがキリスト教の三大聖地です。

5kmほど続いた水路はボートでの移動が可能なようで、ここがスタート地点のようです。その先は小さなダムのようになっていました。


小さな橋からの眺め。

現金が少なくなっていたのでフロミスタのATMでお金を下ろし、カフェで休憩。マリアもすぐに追いついて、一緒に休憩をしました。
私は日本にいる姉にLINE電話をかけ、日本を出る前に手続きをし忘れてしまった年金納付の保留をお願いしました。国際電話で日本の役所に電話するとどのくらい待たされるのか不安だったため、姉と父にお願いして代理で手続きしてもらえることに。助かった…!

フロミスタを出発し、今日の目的地を目指します。明日はみんなが恐れる17kmの日陰なし、村なし区間があるとの事で、そのスタート地点まで行く予定です。
ジョンミューアの時は毎日補給なしで森の中を歩いていたのに、今は17km村がないだけで不安になるなんて。

左足の甲の痛みが酷くなり、これ骨折してないか…?と不安になりながら歩きます。夫は「骨折してたら歩けないよ」と言うけれど、私はとっても不安。

途中にカフェのある公園を発見したので休憩。マリアも追いついて一緒にボカディージョを食べました。汗をかいたので、コーラが美味しい…!


スペインはかわいい植物が多い。

さらに10kmほど進み、今日の目的地であるカリオン・デ・ロス・コンデスに到着です。

この村にはシスターが切り盛りしている教会併設のアルベルゲがあり、シスターによるバンド演奏も聴けるとの情報があったので、まずはそこにアタックしてみるも満室。シスターに他のアルベルゲを紹介されたので、そちらに行ってみることに。
向かう道中、同じ宿を目指す日本人の男の子に出会いました。彼の名はヨシ君。

紹介されたアルベルゲも教会の横にあり、建物の中には小さなお御堂(聖堂)もあります。入り口のベルを鳴らし、ひたすら待つこと10分…。ドアが開き、初老の女性がスペイン語で入れ入れと誘導してくれて、無事にチェックイン出来ました。


中庭にはマリア像が。

受付の際に、1人一つずつおメダイを頂きました。さらにこのアルベルゲ、全てシングルベッドです。久々に二段ベッドからの解放です。
もらった不織布のシーツをベッドにセッティングしていると、まさかの偶然でマリアが入ってきました。マリアは私の横のベッドに案内され、とても嬉しそう。私も嬉しい。
その後洗濯を済ませて、明日の長丁場に備えてヨシ君と3人でスーパーに買い出しに行きました。マリアは夕食の時に合流すると言っていました。
スーパーで買い出しを済ませて適当なバルに入り、3人で乾杯。ヨシ君はお遍路も経験済みで、日本一周、北海道一周も経験済みという強者。日本一周がヌルっと終わってしまったので、海外進出してかっこよく終わらせようと思った、と言っていました。
1日に歩く距離が私たちの倍くらいなので、きっとヨシ君と話せるのは今日が最初で最後でしょう。久々に好きなタイプの男子と日本語で話せることが嬉しいのか、夫がものすごく楽しそうでした。
ヨシ君は観光に興味がないし、甥っ子に早く会いたいので早く終わらせたい、と言っていました。めっちゃさっぱりしてる。

その後マリアも合流し、まさかのペイ・ジュンも偶然通りかかり合流。ペイ・ジュンは予想通りヨシ君にも質問攻めで、そんなに早く歩いてどうするんだ、歩いている時何を考えているんだ、との問いに、ヨシ君は「右足、左足、右足…しか考えてない」と答えると、ペイ・ジュンは口を大きく開けたまま言葉を失っていました。

帰り道、マリアと2人で歩いていると、マリアがこう言いました。「カミーノに来るまで、どんな出会いが待っているんだろう、どんなことが起こるんだろうってずっとワクワクしてたの。そしたらあなたたちに出会えた。こんなこと、誰が想像出来たかしら?私に日本人の友達が出来るなんて!」
私も、ドイツ人のこんなにかわいいお友達が出来るなんて、日本を出る時は想像もしていませんでした。彼女は忍耐強く私の話を聞いてくれるし、何でも親身になって考えてくれる。思い返せば彼女とは初日に出会っていて、カミーノ上では最も古い友人です。
一日のうちにものすごい数の出会いがあり、毎日自己紹介を繰り返し、顔見知りはたくさん出来るけれど、やっぱり彼女は特別な存在です。

さあ、サンティアゴ・デ・コンポステーラまで残り約400km、ようやく折り返し地点です!

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私たちのカミーノ⑦

15日目

Burgos → Hornillos del Camino

ブルゴスにて丸一日休養をし、今日からまたカミーノ再開です。朝ホテルを出て、巡礼路付近のカフェにて腹ごしらえ。朝食を済ませて外に出ると、日本にいる夫の親友・W田くんからLINE電話が来ました。
W田くんは夫の高校時代の友人たちとバーベキューをしていたらしく、みんなで顔を見ながらテレビ電話をしました。遠く離れていても、こうやって定期的に気にかけてくれる友人がいるって幸せですね。

ブルゴスは都会なので、街に入るにも街を抜けるにも時間がかかります。これだから都会は嫌いです。


分かりにくいけど矢印が。

公園を抜けて、街を出ます。

さて、ブルゴスを過ぎるといよいよ「メセタ」と呼ばれる広大な高原に入ります。樹木はほぼなく、夏にここを歩くのはかなり地獄だと聞くので、少しの不安を抱きながらメセタに足を踏み入れます。
私の愛用アプリ「Buen Camino」によると、自分自身と、また神と向き合うのにもってこい、とのことです。

小さな村を2つほど過ぎると、次の村まで日陰のない道が約8km。いよいよメセタに入ります。


昔の道標でしょうか。かっこいい。



道標の上に誰かの靴が置かれています。


もう9月も後半に入ったせいか、暑いは暑いのですが、想像していたほどの苦しみは今のところありません。夏だったらキツかっただろうな…と思いますが、個人的にはぶどう畑よりもこの荒野感がとても好きです。

何もないので空がとても広く感じます。夫も私も空を見上げながら歩き続けました。

やっと次の村、オルニリョス・デル・カミーノが見えてきました。疲れたのであの村で宿を探すことにします。

教会の横にあったムニシパルのアルベルゲに行ってみるも、ベッドは1台しか空いてなく、2人は泊められないと断られてしまいました。オスピタレロと話している後ろでマリアが手を振っていました。マリアは早めに着いてベッドをゲットできたみたい。

他のアルベルゲも「満室」の看板が出ていて、部屋貸しをしているバルにダメ元で聞いてみると、大きめのベッド1台が空いているとのこと。2人でもOKだったので、そちらに泊まることに。

バルのオーナーについて行くと、部屋というか屋根裏部屋でした。屋根裏にベッドが8台くらい置かれていて、一応トイレ・シャワーも一つだけありました。次の村まで歩くよりはマシかな…。
シャワーを浴びて教会前のレストランに行き、ハンバーガーを食べました。


レストランの女性トイレの絵が可愛かった。

食後、教会に入ってみると、ちょうどミサ中でした。「あめのきさき」をみんなで歌っていて、私も分かるところだけ一緒に歌いました。
私は中学・高校とカトリックの学校に通っていて、さらにシスターが寮母さんという寮生活を送っていたため、この歌はとても深く心に残っています。
私を6年間育てて下さったシスターたちは私の親のような存在であり、私にとって教会が心安らぐ場所なのも、多感な時期を過ごした寮や、楽しい時も苦しい時も、いつもそばに居てくれたシスターと同じ香りがするからでしょう。

ミサが終わると神父様と記念撮影をしたり、とってもアットホームな教会でした。ドイツ人の早起き美女、モナとも教会で再会できました。(彼女はいつも朝5時頃から歩き始めるので、アルベルゲにはいつも一番乗りで入れるそう)

本当に小さな村ですが、とてもきれいで心地よく、癒されます。ブルゴスのような都会よりもずっといい。

初めてのスペイン旅行だったら、普通はバルセロナとかマドリードとか行くだろうに、こんなよく分からない田舎の村にいることがとても私たちらしい。カミーノを歩いてなかったらこんな村来ないだろうし、来れないよなあ、としみじみ思いました。

16日目

Hornillos del Camino → Castrojeriz

こちらの宿は朝食付きだったので、朝起きてから1階のキッチンへ。パンとお菓子、ハムやミルクなどが用意されていて、セルフサービスとなっていました。
次の村は6kmほど先となるので、ゆっくり朝食を食べてから出発です。

町を出たところでマリアと遭遇。今日はマリアと一緒に歩くことにしました。
先日ブルゴスでニコラの心にズカズカと土足で踏み込んでしまったことについてずっとモヤモヤしていたので、マリアに話してみました。
私たちとマリアが離れていた5日間の間、マリアはニコラと歩いていたので、もちろんニコラの話は知っていました。マリアは、「自分のことを話すか話さないかは自分で選択出来るの。ニコラはあなたに話そうって思ったから話したんだし、私もそう。だから悪いなんて思わなくていいのよ」と私を元気付けてくれました。


オンタナスの村の入り口。

私は、いつも単なる好奇心で「どうしてカミーノを歩いてるの?」と色んな人に聞いていました。その答えが全て幸せな理由とは限らないということを、今頃気がつくなんて。
私が「ニコラはとっても苦しかっただろうね。そんなに重いものを背負ってここまで来たんだね。」と言うと、マリアは「みんなこの重いバックパックを背負っているのと同じよ。様々な思いを背負って歩いているのよ。」と言っていました。

その後マリアは、今付き合っている彼のことを話してくれました。また、ドイツの家族のことや親友のこと、マリアがスペイン語、ヘブライ語を話せる理由など、今日一日でマリアについてとても詳しくなりました。

マリアが仏教に興味があると言うので、般若心経の英語版を検索して見せると、「これ知ってる!私も好きよ!」と言われて驚きました。
般若心経は英語では"Heart Sutra" と言うらしく、有名でした。私が無知でした。

マリアは夫にもとても優しく、マリアが言ったことを夫が理解出来ているか、いつも確認してくれます。
夫も優しいマリアが大好き。

今日は一日3人で仲良く歩き、あっという間に目的地のカストロへリスが見えてきました。私たちは狙っているアルベルゲがあったので、村の入り口でマリアと別れました。

アルベルゲ・オリオン。11€といつもよりは高めですが、ここのアルベルゲの夕食で韓国料理が食べられるそうなんです。

ベッド空いてますように…!と祈りながら受付に行き、無事にベッド確保に成功しました。夕食ももちろんオーダー!
ベッドに寝袋をセッティングして廊下に出ると、他の安いアルベルゲに行ったはずのマリアが…。
他のアルベルゲまで歩くのが面倒になったのか、「私も韓国料理食べたい」と言っていました。かわいい。

夫が夕食まで昼寝すると言うので、教会に行ってみようと外に出ると、マリアもついて来ました。ドイツにいる彼と電話で話したみたいでご機嫌です。

教会に着くと、まさかの休館日でした。教会に休館日ってあるの…。

さあ、待ちに待った夕飯です。ビビンバです。英語ではビビンバップでした。
宿のオーナーから食べ方の説明があり、テーブルに韓国人が居たら聞くといい、と話した途端同じテーブルのオーストラリア人たちが一斉に私たちを見つめていました。
ナムルが乗っていなかったので、ビビンバというよりタコライスに近い味でしたが、久しぶりのどんぶり飯にテンションが上がりました。調子に乗ってコチュジャンを入れ過ぎて、くちびるが真っ赤になりました。

夕食後、中庭でコーヒーを飲んでいると、マリアが急に「子供は欲しくないの?」と聞いて来ました。
もちろん欲しいし不妊外来にも一度通ったけど、今は最重要ではないかな、と話すと、横で聞いていたオーストラリア人のサリーが、「大変な思いするのはいつも女よね…」と参戦して来て、なんだか地元の女子会みたいで面白かったです。スペインの田舎でオーストラリア人とドイツ人と日本人が何の話してんだか。


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