スガ旅

夫婦で世界の大自然を歩いた旅の記録

私たちのカミーノ⑯

34日目

Portomarin → Portos

夜中から咳が定期的に出てしまい、周りの人に悪いと思って何度もトイレに行き咳き込んでいました。辛い…。

宿の食堂で朝ごはんを食べ、暗いうちに出発!
橋を渡る所で立ち止まっていた欧米人巡礼者に何か話しかけられ、全く聞こえなかったので聞き返すと、私の顔を見て「あ、いいわ、気にしないで」と言われちょっと落ち込む。英語が分からない訳じゃなくて聞こえなかっただけなのになあ。

日が登ってからも霧がかかっていて景色が見えません。でもその方が足を止めずにサクサク歩けます。

8kmほど歩いて一回目の休憩です。プリンのようなチーズケーキを頂きましたが、濃厚過ぎてちょっと重い…。サリアを過ぎてからは、スタンプを集める巡礼者が多いせいかスタンプはセルフサービスに。だいだいカフェのカウンターか外のテーブルに置いてあるので、何も頼まなくてもスタンプを押しやすいです。

霧が晴れて景色が見えてきた所で、イタリア人巡礼者の写真を撮ってあげました。お返しに撮るよ!と言われて貴重な夫婦写真を撮ってもらう事ができました。

雲が下に流れて雲海になり、空中散歩のよう。歩き始めるとそんなに咳も出なくて調子が良いです。

今日の目的地は決めていませんが、人が少なそうな村を選んで泊まる予定です。マリアとの距離も縮まってきたので会えるのが楽しみ。

日本の弁当屋の割箸が落ちていました。昨日は「エビチャーハンの素」が落ちていました。

ポルトマリンから約19km地点にあるポルトス。アルベルゲは1軒だけですが、ベッドが空いていたのでここに泊まることにしました。
部屋にいたアジア人女性に出身を聞かれたので答えると、何と彼女も日本人!彼女の名前はキョウコさん。アメリカ在住だそうで、アメリカ人のお友達と一緒に歩いているそう。

シャワーと洗濯を済ませてテラスでコーラを飲んでいるとキョウコさんがやって来て、色んなお話を聞かせて下さいました。アメリカ在住歴が長いせいか、たまに私にも英語で話したり、日本語で何て言うんだっけ、という場面があったり。
キョウコさんはシアトルの山の中に自分でログハウスを建てたらしく、写真をたくさん見せてくれました。
家を建てている間は2年間テント生活をしたというたくましいキョウコさん。自分で家を建てるのは私の夢でもあるので、彼女から聞く話は刺激がいっぱいでワクワクしました。
海外に住むこと自体私たちにとってはかなりハードルが高いのに、外国で土地を探して山の中に住むなんて、タフな女性もいるもんだなあと驚きました。

35日目

Portos → Arzua

やはり夜になると咳が出るようで、咳が出るたびに目が覚めてしまい今日も寝不足。

宿で朝ごはんを食べ、出発です!
今日の目的地をマリアに伝えると、マリアのいる場所からは30km以上あるけれど絶対に行く、とのこと。

今日の目的地はアルスアというちょっと大きめの町。キョウコさんたちも同じ目的地のようで、プルポが食べられるよ!と喜んでいました。

身体は回復しているものの、夜間の咳が悩みです。個室なら気を使わずにいられますが、集団部屋だと我慢して余計苦しい。どうにかならないものでしょうか…。

次の大きな町、パラス・デ・レイまでは約6kmほどの道のり。その間にも小さな村をいくつか通ります。


木のトンネル。

歩き始めた時は暑くて汗ばかりかいていたけど、もうすっかり秋の空気です。一ヶ月以上の間、Tシャツ2枚にトレッキングパンツ1本を洗濯しながら使い回し、どれもクタクタになってきました。毎日化粧もせずに日焼け止めだけ塗って、歩いて食べて出して寝るだけの生活ももうすぐ終わります。


サンティアゴまで残り69km。

カミーノを歩き終える寂しさは一切ありませんが、何も考えずにただ矢印に従って前に進むだけで良かった生活が終わるのは少し寂しいです。そろそろサンティアゴの後の予定を考えなきゃなあ…。


大量の栗が上から落ちてきます。


日本語!

順調に歩みを進め、パラス・デ・レイに到着です。

街角のカフェで休憩していると、たくさんの巡礼者がサンティアゴ行きのバスに乗り込んでいました。
足が痛くて歩けなかったり、時間がなかったりなど色々な理由があると思いますが、幸い私たちはまだ歩けます。疲れているし体調も万全ではないけど、歩けないほどではない。

巡礼路沿いには救護院の跡があったり、慰霊碑があったり、昔は命をかけて歩かれてきたこの道。今は寝床にも食にも困らず、交通機関も使える便利な時代です。


「Jesus loves you」

ゴールが近づくにつれて風景も変わってきました。少し前は何もないメセタを歩いていたんだよなあ。

上からどんぐりや栗が容赦なく落ちてくるのですが、夫には当たらず私の頭に当たります。なぜ…。

途中休憩で食べたボカディージョ。でかい…!


鼠返しのついた食糧庫。

マリアと連絡を取ると、順調にこちらに近づいていたので宿を予約。アルベルゲですが、3人の値段で4人部屋を確保出来ました。

橋の向こうにアルスアが見えてきました。

マリアは夕方以降に到着予定ですが、ベッドの確保も済んでいるので心配なしです。後2日でゴール予定ですが、最後にマリアと歩けるのが楽しみです。

町に入るとすぐにプルポ屋さんがありました。店内はものすごく混雑していたので、私たちは先にチェックインを済ませることに。

チェックインを済ませ、シャワーを浴びてくつろいでいると、夜到着のはずのマリアが突然現れました。

再会するなり長い長いハグをするマリア。やけに早くない?と言うと、「そうなの、自分でもびっくりよ!」と嬉しそう。
マリアを部屋に案内し、プルポ食べに行くけど行く?と聞くと、「プルポはそんなに好きじゃないから後で合流するわ!洗濯もしたいしシャワーも浴びたいし、ああ、もうあなたたちを追いかけなくてもいいのね!最高!」ともうゴールしたかのように達成感に満ち溢れていました。

マリアを置いて私たちはプルポ専門店へ。グラスよりボトルの方がコスパがいいからとか言ってボトルワインを頼む夫にイライラ。

先ほどまで大混雑だったのに、私たちが行った時はガラガラでした。良かった。

3度目のプルポ。味付け方法はどの店も一緒ですが、ここのは塩が効いてて私好み。残ったオイルをパンにつけて食べるのも美味しくてたまりません。


肉も!

ここのお店は日本人巡礼者のファンが多いのか、巡礼者から頂いたという日本手ぬぐいも飾られていました。まさかスペインの田舎町でkenemaの手ぬぐいを見かけるとは…。

夫と2人だと会話もそんなにしないので30分程で完食。宿に戻り、夜になってからマリアの夕食に付き添って女2人で出かけました。夫は部屋でYouTubeを見ると言って留守番。
お互い会えなかった期間の出来事をたくさん話し、再会を喜びました。マリアは結局一度もバスに乗ることなく自分の足でここまで来ました。そのことがすごく嬉しかったし、カミーノ初日に一緒に路頭に迷った仲の彼女と一緒にカミーノを終わらせる事が出来ることに、運命しか感じませんでした。

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