スガ旅

夫婦で世界の大自然を歩いた旅の記録

vía de la plata(銀の道)⑥

DAY6

Calzadilla de los Barros → Zafra(18km)

今日はそんなに歩かない予定なので、7時前に起床。8時前に出発。

朝ごはんを期待してバルを2軒回ったが、どちらも開いてなかったのでそのまま町を出て歩き始めた。

町を出て農道をまっすぐ歩いていたはずが、いつの間にかルートから外れていることに気がつく。Googleマップ上では正規ルートに合流できそうだったので、そのまま突き進んでみると、道だったであろう場所が川になっていた…

これは膝より深そう、どうしよう…
後ろから犬に吠えられながら、渡れそうな場所はないか探す。来た道を戻るのは嫌だ…
幸い少し戻ったところに川幅の狭い箇所があり、2歩くらい水に入ったが何とか渡れた。靴はずぶ濡れ。

遠くに巡礼者の姿が見え、草むらから急に飛び出す自分が恥ずかしかった。歩いていたのはスペイン人のおじさま二人組で、振り返って「えっどこから来たん?」という顔をしていた。

雨は酷くなり、カッパから出ている足がずぶ濡れ。すぐ止むだろうとレインパンツを履かなかった。お尻までどんどん濡れてくる。

おじさまたちと3人もくもくと歩いていると、急に奇跡のような東屋が出現。このタイミングで最高すぎる。迷わず3人とも直行。屋根の下で雨が弱くなるのを待った。東屋の下で濡れたズボンを脱ぎ、レインパンツを履いた。一気に足が温まった。アムステルダムからずっと持っていたファッジがちょうどあと3個だったので、おじさまたちと仲良く1個ずつ食べて元気を出した。

雨が上がり、おじさまたちは出発。次の町に食べる場所があるといいね!と言って別れた。私はもう少し休んでから出発した。

ここから1時間弱歩き、町に到着。が、どこも店が閉まっている…。
明らかに暗いけど店の中に人がいるのが見えて入ってみるとやっぱり休業日。開いてる店はある?と尋ねると、向かいの店を指差してくれた。

向かいの店に行ってみると、やっぱり電気はついていない。恐る恐る扉を開けると中に人がいたので、「ご飯を食べたい」と拙いスペイン語で伝える。
店の人はご飯は今日はないと言って、違う店を教えてくれた。

おじさんに言われた通り道を進んでいくと、ようやく開いてる店があった…!
店に入りカウンターに駆け寄り、「朝食が食べたい」と若い男の子に伝える。
「あるよ、ボカディージョとか、トスターダとか…」
「トスターダにバターとジャム、それとカフェコンレチェも!」と急いで注文。ものの3分ほどで運んできてくれた。2.9€。今日初めての食事で心から嬉しかった。

バターもジャムもたっぷり塗って、幸せと一緒に噛み締めた。コーヒーもとってもおいしかった。
次から次へと男性が来店して、カウンターはぎっしり。午前中からお酒を飲んでる人も。スペインのカフェ・バル文化は根強い。どこの店もいつも人でいっぱいだ。社交場なのだ。とりあえずカフェ行くか、みたいな。

トイレも借りてスッキリして、次の町サフラを目指す。と言ってもここから3km強なのであっという間だ。

サフラで日曜日に開いているスーパーに目星をつけていたので、真っ直ぐにそのスーパーを目指した。スーパーのある通りに入ると、スイスから来ている女の子がこちらに歩いてきて再会を喜んだ。足は大丈夫?と聞くと、何だかすごく調子が良くなったの!と喜んでいた。そして、私の黄色のジャケットがとてもかわいいと褒めてくれた。

彼女と別れていざスーパーへ。日の出前に歩くことが多くヘッドランプの電池が心配だったので、電池をゲット。そしてクッキーとポテトチップス、インスタントコーヒーも買った。スーパーの出口で外袋を捨ててジップロックにそれぞれ移し替え、ばっちり補充完了。

次の町まではあと5km、アルベルゲは1軒、ベッドは6個。
もしこのアルベルゲが満床だったら、そこからさらに15km歩かなければならない。
雨もまたいつ酷くなるかわからないし、今日はこのままサフラに泊まることにした。

アルベルゲはすぐに見つかり、扉を開けるとスペイン人のおじさま二人組もちょうどチェックインをしていたところだった。

オスピタレロはサンドラといってとても親切な女性だった。朝食は宿泊費に込みで15€、夕食は10€、絶品のコースだけど食べる?と言われ、もちろん!と返す。これで夕食の心配をしなくて良くなった。肉も食べれる!

中庭もすごく素敵で、とても居心地のいいアルベルゲ。部屋は男女分かれていて、女性部屋は今のところ私だけだ。部屋にシャワーも付いているし、お湯も出る。とにかく最高だ。

サンドラにコインランドリーの場所を聞くと、徒歩1分の場所にあった。Googleマップには出てこなかったので、聞いてよかった!

シャワーを浴びてコインランドリーに行くと、ちゃんと両替機もあって何も心配いらなかった。洗濯5€、乾燥2€。ドロドロになった衣類を洗濯出来て、気分も晴れやか。

コインランドリーから帰って、お湯をもらってコーヒーを入れ、買って来たポテチを食べながら太郎とテレビ電話。話したいことがたくさんありすぎて、ついつい1時間も話してしまった。日本は夜中なのに。

電話を切ると、もう1人のオスピタレロのフアンマが、こっちが温かいよとこたつに誘ってくれた。温まりながら、彼の猛烈スペイン語が分からなすぎてGoogle翻訳を使いながら明日の行程についてアドバイスを受けた。

明日は今日より強い雨が降り、明日のセクションは泥道だから道路沿いを歩いた方が安全だという。また、8時9時は雨が強いから、弱くなる10時に出発したらいいと教えてくれた。
オスピタレロはカミーノ経験者が多く、道に詳しい。本当に頼りになる。どの道が一番好きかと聞くと、どの道もそれぞれ違って素晴らしいけど、この銀の道が一番美しいと言っていた。

夕食は7:30。みんながバーに集まっていたので覗くと、カナダ人の男性もいた!今日は4人でディナー。スペイン人のおじさま二人組は、ミゲルとフアン。リタイヤして2人とも孫もいると言っていた。カナダ人の彼はケン。
フアンは少し英語が話せるので、私たちの通訳となってくれて4人で楽しく話しながら食事をした。

食事はスープとお肉とポテトと付け合わせ。

そしてデザートにプリン。
どれも絶品でため息が出た。本当にここにして良かった…!

みんなで明日の迂回路について話し、フアンもミゲルも、どの道を選んでも正しい、神は許してくださる、と言っていた。フアンは私がこれから進もうとしているサナブレスの道の上り坂はタクシーを使ったと言っていて、「神もこれくらいは許してくれる」と言っていたのが面白かった。「ビザかマスターカードあれば余裕っしょ」とも言っていた。みんな自由でとてもいい。

フランス人の道はみんな経験者で、フアンに至っては5回歩いたらしい。だけど、ガリシア州はもう人が多すぎて、若い巡礼者のお祭り騒ぎに嫌気がさしてもう行かなくなったという。確かにフランス人の道は若者の大人数のグループが多いし、多分歩いているうちにグループがでかくなるんだろうな。

夜遅くまで騒ぐ人もいるし、周りの人に配慮しない人も多かった。その点この道は素晴らしい静寂に包まれていて、一人一人が自立していて、謙虚だ。景色を楽しむには最高の道だし、私もまだ6日しか歩いていないけれど、この銀の道が大好きだ。

食事後、「2つ目のスタンプをあげる」と言われ、クレデンシャルを持ってバーへ。

フアンマとサンドラが二人がかりで素晴らしいスタンプを押してくれた。こんなスタンプは初めてで感動した。

サンドラが受付の時に、「サンティアゴまでいくの?」と聞いたので、そうだよと答えると、

「poco a poco(少しずつ)」と言ってくれた。
毎日歩く距離がまちまちだけど、止まらなければいつかは必ず着く。千里の道も一歩から、だ。

歩いた距離
19.7km
使ったお金
朝ごはん2.9€
スーパー9.19€
アルベルゲ15€
夕食10€
コインランドリー7€
合計44.09€(≒6,975円)

———————————————————————

気持ちが弛まぬよう、旅行ブログランキングに登録してみました。クリックして頂けると励みになります!

にほんブログ村 旅行ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 旅行ブログ 世界一周へ
にほんブログ村