スガ旅

夫婦で世界の大自然を歩いた旅の記録

私たちのカミーノ①

私たちにとって初めてのスペイン旅行。
どこへ行くかと言うと、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路を歩きます。
ゴール地点であるスペインの西の果て、サンティアゴ ・デ・コンポステーラはキリスト教の三大聖地の一つと言われ、ここを目指す道がいくつかあります。

スペインの北側、海沿いを歩く「北の道」、
サンティアゴ・デ・コンポステーラのすぐ上から歩く「イギリス人の道」、
ポルトガルのリスボンから行く「ポルトガルの道」など、他にもたくさんの巡礼路があります。

私たちは一番メジャーな「フランス人の道」を歩くことにしたので、出発地点はフランスのサン・ジャン・ピエ・ド・ポーとなります。総距離800km。初日にピレネー山脈を越えてからは平坦な道を歩くようなので、1日あたり20km〜25kmを目安に、35日くらいかけて歩く予定です。


出典元:pilgrim.es

「サンティアゴ」は聖ヤコブのスペイン語名で、イエスの弟子です。サンティアゴ・デ・コンポステーラに彼の遺骸があるということから、世界中のキリスト教徒がここを訪れています。

巡礼は宗教的な理由だけではなく、ただ健康のためとか、スポーツ感覚でとか、キリスト教信者以外にも広く開かれているので、皆様々な思いを胸にこの道を歩きます。

巡礼の道沿いにはある程度の間隔で村や町が点在しており、巡礼者であれば巡礼用の宿泊施設(アルベルゲ)に一泊5€〜15€くらいで格安で泊まることができます。

大体の行程を考えて印をつけてみたらこんな感じになりました。


軽く吐き気が…

無事に歩き切れますように…。

0日目

Bayonne → Saint-Jean-Pied-de-Port

まずはバイヨンヌからカミーノスタート地点のサン・ジャン・ピエ・ド・ポーへ移動。

バイヨンヌで借りたアパートの鍵を夫に返しに行ってもらい、川の近くのカフェで朝ごはんを食べました。
足の調子も元に戻ったようです。

クロワッサンとパン(小さなジャム1瓶が付いて来たのがグッときた)、コーヒーとオレンジジュースのセットです。

その後、正午の列車に乗りサンジャンピエドポーまで1時間ほどの短い移動です。車内ではカミーノを終えてきたと言う男性に急に話しかけられ、お互い母国語ではない英語がうまく分かり合えないまま目的地に到着。何人だったんだろう。

電車に乗る人も降りる人もほぼ歩く格好をしていました。降りた人たちが歩いて行く方について行くと、巡礼事務所にたどり着きます。その時はシエスタ中で30分後に開くようでしたが、かなりの人が待っていたので時間をおいて行くことに。

駅の方に戻ってレストランに入り、ランチを注文しました。


カルボナーラ、固かった。

ランチを食べ終わった後に再び巡礼事務所に赴き、巡礼手帳を発行してもらいます。この手帳を見せることで、巡礼者用の宿泊施設(アルベルゲ)に泊まることが可能になります。各施設でスタンプを押してもらうので歩いてきた証明にもなり、ゴールのサンティアゴ・デ・コンポステーラでこれを見せると巡礼証明書がもらえます。

フランス語デスクに座ってしまったため、たどたどしいフランス語でやりとりしましたが、巡礼事務所のスタッフは神レベルで優しい…!
「サンティアゴ・デ・コンポステーラまで行くのよね?」と聞かれたので、「はい、明日からスタートします」と答えると、「違うわ、あなたのカミーノは日本を出た時から始まっているのよ!ブエンカミーノ !」と何だか素敵なお言葉を頂きました。
巡礼事務所のスタッフは皆さんボランティアだそうです。

事前に宿泊施設を予約していなかったため、おすすめのアルベルゲを教えてもらい、さらに不用な荷物をゴール地点まで送りたいのでダンボールが欲しいとお願いすると、奥から小さなダンボールを出してきてくれました。子猫が1匹入るかな、くらいの大きさだったので残念ながら私たちのサブザック2個とテントは入りそうもなく、お礼を言って巡礼事務所を後にしました。

とりあえず寝床を確保する為、事務所の方に教えてもらったアルベルゲに行ってみると、そこも空きベッドはないとのこと。そこの宿のオーナーも親切な人で、他の宿にベッドが空いてないか電話で聞いてくれました。場所はある、と回答を頂いたので、そこに行ってみることに。

到着するとすぐに奥の建物に案内され、1階のリビングスペースに仮設で置かれたベッドで良ければ…と言うことだったので、即承諾。1台25€のベッドに2人で寝ることにしました。

荷物を送るため、サブザックとテントを持って巡礼事務所の隣にある配送専門店へ。
ダンボールが見つからなかったので、バラで送れるか聞いてみると、大きなボストンバッグを出してきてくれて、これなら入る?と貸してくれました。

ゴール地点への配送と到着まで1ヶ月以上の間の保管のサービスで、70€。大変助かりました…!


巡礼者の目印のホタテも購入。

8時前には夫も寝てしまったので、外で一人で夕食。食パンにピーナッツバターを塗って4枚食べました。

疲れていたのか、私も9時には就寝してしまいました。2階、3階は個室が何部屋かあるので、私たちのベッドの前は人通りが激しかったです。

1日目

Saint-Jean-Pied-de-Port → Roncesvalles

朝ごはんを頼んでいたので、7時にレストランに行き、みんな揃って朝食。ボールなみなみのコーヒーが嬉しかったです。1人6€。

初日の今日はピレネー山脈を越えてスペインに入ります。朝8時頃、日の出と共にいざ出発!
すれ違う人、追い越して行く人に「ブエンカミーノ!」と声をかけられます。

JMTの時よりはかなり荷物を減らしたので軽いのですが、カミーノ的には大荷物っぽい。みんな小さなリュックで歩いています。
巡礼路ではバッグのポーターサービスも充実していて、次の宿まで毎日ポーターサービスを利用する人も多いです。水と軽食くらいを持ち歩き、あとの荷物は1回5€くらいで運んでもらえるようです。


のどか〜

バイヨンヌ生活で余ったパスタやオレンジをまるまるザックに放り込んで来たので、地味に重い。早く食べて減らさなくては…。

11時頃、オリソンに到着。まだピレネーは越えていません。かなり広いテラス席のあるバルを通ったのでコーヒー休憩にします。

注文中に、横にあったガトーバスクが目に入り、無意識的に注文。

山歩きならぬ食べ歩きがスタートしました。幸せ。

サンティアゴ・デ・コンポステーラまで765kmの石板が出てきました。気が遠くなります。

ゆるくだけど、ずっと登りです。遠くまで人が歩いているのが見えるのが辛い。

午後3時前、やっと下りになりました。どこで越えたのか分かりませんが、ピレネー越えは終わったようです。つまりもうスペインです。

ひどい傾斜の下りがずっと続きます。足が痛くなり、前を歩いていたおじいちゃんのペースでゆっくりついていきます。夫はもう見えないくらい前に進んでしまいました。

午後4時半、今日の目的地のロンセスバージェスに到着!一番近くのアルベルゲが300人収容なので、入れるだろうと思って行ってみると、ベッドに空きはないとのこと。オスピタレロ(アルベルゲの管理人で、巡礼者のお世話係)の提案で、空いているアルベルゲまでタクシーを使って行くことになりました。
お気づきでしょうか。初日にして早くも完歩脱落です。
カミーノ巡礼のガイドブックに、「全ては巡り合わせ。広い心で受け入れましょう。」と書いてあったので、くだらないこだわりは捨て、流れに身を任せることにします。


中庭でひたすら待機。

待つこと2時間、ようやく私たちの番が来て、8人でタクシーに乗り込みます。

到着したのは5km先のキャンプ場。2段ベッドのベッド1台12€です。夕飯もお願いしました。

案内された部屋には前の村で宿を確保できず、途方に暮れていた面々。不思議な絆で結ばれた予感。

急ぎシャワーを済ませて夕飯会場へ。巡礼者はみんなでテーブルを囲んで食事を頂きます。ワインとパンが置かれ、スープ、メインと料理が運ばれてきます。

話好きなアメリカ人の奥様2人とオーストリアの奥様、オーストラリアのおじ様に囲まれて楽しいひと時を過ごしました。

この道を歩く人には日本のお遍路が有名なようで、「Japanese Camino」についてあれこれ聞かれました。自分の国のことなのに無知過ぎて悲しくなったので、帰ったら歩くかな…。

2日目

CAMPING URROBI → Zubiri

朝6時半頃起床。外はまだ暗かったけど、身支度を整えます。7時過ぎに出発したオーストリアの奥様が、すぐに帰ってきました。「寒すぎて無理!」

彼女に倣って日の出まで少し待って、日の出とともに出発です。

フリースにダウンを着ても凍えそうな寒さの中、朝食を求めて近くの村へ。

20分ほど歩くと1軒のバルが目に入ったので、すぐに入りました。カフェコンレチェとトスターダを注文。2人で6€。


つまりカフェオレとトースト。

バゲットを縦に切って焼いただけだけど、美味しい…!ずっとここで食べ続けていたいけれど先に進まなくては。

一応マップも買いましたが、巡礼路には至る所に黄色い矢印があります。この黄色い矢印を頼りに進んでいきます。


またはこの看板。

子猫がいるとついつい立ち止まってしまいます。


子猫と遊んでエネルギー補給。

途中で商店に寄り、食パンとハムとチーズ、オーロラソースを購入。これでいつでもランチができます。

カミーノの黄色い矢印Tシャツのご夫婦に遭遇し、思わず写真を撮らせていただきました。私も欲しい。

休憩スポットを見つけ、お昼にします。通りがかる人に羨ましがられ、優越感。

午後2時、目的地のスビリに到着です。
とりあえず目に入ったアルベルゲに入り、ベッドはあるかと尋ねるも空いてないとのこと。
次に行ったアルベルゲもフル。その近くにあったアルベルゲで、スビリの村全体でキャパオーバーだと告げられました。なんてこった。

タクシーを呼ぼうか?と聞かれましたが、とりあえず次の村まで歩いてみることに。

歩くこと2時間、ようやく次の目的地に到着すると、村に入る橋に数人ザックを抱えたまま座り込んでいます。その中には昨日一緒に宿にあぶれた中国人のジンとドイツ人のマリアも。これはもしや…

「この村もオールフル!みんなで宿のある場所まで移動しよう!」とジンがみんなをまとめてくれていました。

マリアがベッドの空きを調べてくれ、フランス人兄弟がタクシーを2台手配してくれ、私たちは幸運にも何もせずにベッドの確保をすることができました…!ありがとう皆さん…!

タクシーで15分ほど移動し、Santísima Trinidad de Arreという教会のアルベルゲに入りました。1人8€。

2段ベッドがたくさん並んでいて、シャワーは熱湯か冷水のみでちょうど良い湯加減に調整出来ず、ささっと済ませました。その後みんなで近くのレストランで夕食を食べに行くことに。

アメリカ・オーストラリア・ドイツ・フランス・スペイン・中国・日本の超グローバルグループでディナー。巡礼者メニューでは、まずパンとワインがドンとテーブルに置かれます。

私は一皿目がサラダ、二皿目にお肉をオーダー。デザートもついて10€です。ヨーロッパでの外食としては安いけど、毎日食べたら出費がかさむ…

皆でワイワイ語りながら、2日目の夜は更けてゆきました。


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